草薙はふと、レヴィアタンのことが気にかかった
《災厄者》で操り、海底に返すことはできる。しかしそのためには、一定の距離まで近づかなければならない
それに適した異能持ちが、第零機関にいるのだが…
「クスクス。お久しぶりですわね、霊桜草薙」
「ああ、ちょうどよかった。呼ぼうと思ってたんだよ、夜架」
「あら、わたくしになにか御用が?」
「ああ。お前の
「そのつもりですわ。主様直々に、あの厄災へ対応するように命じられておりますの。殺すだけなら簡単ですけれど、あの子に罪はありませんわ」
夜架は妖艶な笑みを浮かべながら言う
こういうところが草薙が彼女を好きになれない要素の一つだった
「…そういや、
「…わたくしの恩恵は、《
「…たしかに、俺の恩恵にしろ主のにしろ、恩恵は三文字で人を示してるな」
「気にしていても仕方ありませんわ。とりあえず、あと一時間で浮上してきますし、装備を整えてはいかがですの?」
「その必要はない。どうせ、戦うわけじゃないしね」
草薙はレヴィアタンを憐れみ、戦わずに元いた場所に返そうとしているのだ
キャッチアンドリリース。…それにはサイズが桁違いではあるが
「わかりましたわ。では、帰りの手段を考慮してわたくしも一緒に飛びますわよ?津波なんか起こされても困りますし」
「起こさねぇよ…。まぁそうしてくれると助かる」
草薙はため息をつきながら、キーストーンゲートの屋上からレヴィアタンがいる方角を見た
夜架もつられてその方角を眺める
「怒ってる…だろうな」
「えぇ。カインの巫女…藍羽浅葱を殺すためとはいえ、レヴィアタンを悪用しようとしているわけですもの。利用されて怒らない存在はありませんわ。まぁわたくしを利用しようとしたらけします」
「怖いこと言うなよ…。お前の能力ただでさえおっそろしいのに」
草薙は夜架に視線を移し、反応を伺った
夜架はクスリと笑って、髪を耳にかけながら草薙を見る
そんな仕草にドキッとしたことを隠すように、草薙はまたレヴィアタンの方角を眺めた
「恩恵だけなら、貴方のほうが末恐ろしいと思いますわ、草薙さん?」
「それは否めんな。俺が起こした災厄は、わりと制御できなくなるし。異能込でようやっと一つの能力、って感じだ」
「そう考えると、わたくしの恩恵は児戯にも等しいかと」
そう言って夜架は空を見上げた