物語の始まり
「もうこっちに来てから随分経つな…」
俺の名前は架神 悠…じゃなくて『兵藤 悠』、おっさんによって転生した人間だ。
おっさんに転生してもらってから早十数年、今は立派に高校生をやっている。
この世界に転生したときに、おっさんの言う通り頭の中に色々な事がぶち込まれた。
まず俺の特典は『ジオウ編のディケイド+ケータッチ』だ。どういうものかというと、まずジオウに出てきたディケイドと同じ力を貰えたらしい。
そのうえケータッチはジオウ版ディケイドに合わせているらしい。
次にこの世界についての説明だが、この世界はどうやら戦闘物の中でも大分敵のインフレがやばい世界らしい。
しまいには神さえ出てくる始末らしい。
・・・流石に特典持ってても神相手はやばいんじゃないのか?
だからこの世界でも生き抜くためにこの十数年、日常を送りつつ自分を鍛えていた。
勉強に関しては・・・まあ前世の記憶があるから何とかなった。
それで今はこの『駒王学園』に入学できた。
『きゃーーーー!!』
過去を振り返っていると外の方で女子の悲鳴が聞こえた。
「・・・またか、あの馬鹿共は」
俺は悲鳴の原因を察し重い腰を上げて悲鳴の場所へ向かう。
悲鳴がした場所であろう剣道場に向かう途中、こっちに走ってくる三人組の影を視認できた。
「あっちから来てくれたか、手間が省けた」
「げっ兄貴!? やばい!」
相手も俺を視認したのか真ん中の一人はブレーキをかけるが両サイドの二人は止まる気配がない。むしろ俺を仕留める雰囲気を感じる。
『うぉぉぉ!!そこをどけぇぇぇ!!』
「どくか、このアホ共っ!」
『そげぶっ!?』
俺は襲い掛かってきた二人の拳を躱し、その勢いを利用しラリアットを二人に食らわせ気絶させた。
「さて、何か言い残すことはないか・・・一誠」
「・・・」
唯一ブレーキをかけたのは『兵藤 一誠』俺の双子の弟だ。
現在気絶しているのが一誠の友達の『松田』と『元浜』、三人揃って『変態三人組』と呼ばれている問題児だ。
「・・・兄貴、これだけは言いたい」
「なんだ」
「たとえやられたとしても俺の心は砕けねえ!」
「無駄にかっこいいセリフを覗き行為後に言うなこのアホ!」
俺の渾身の拳骨を頭に食らい一誠は地面に倒れた。
「ったくこの三バカは・・・少しは懲りろよな」
ため息をつきながら俺は三人の襟をつかんで引っ張り出す。
「とりあえず、後で剣道部の人たちに謝罪しとくか」
そう呟きながら俺は三人を連れて教室に向かった。
これが俺の学園生活。いつもの日常だ。
「さて、ちょっと遠出にはなったけど買い物も無事済んだな」
時を飛ばして放課後、俺は母さんに頼まれ町はずれのスーパーで買い物を済ませた。こっちのほうが値段安いしな。
一誠? あいつは二人と共に除きの罰で校庭の草むしりをやっているよ。
母さんに伝えたら『またなのね…』とあきれた感じで了承してくれた。
「それじゃさっさと帰るか、早く家で寝たいし」
そう言い俺はそそくさと路地裏に入り辺りに誰もいないことを確認する。
「よし、誰もいないな」
誰もいないのを確認し壁に向けて手を差し出す。
するとそこから銀色のオーロラのようなものが現れる。
そのオーロラをくぐると、家の近くの路地裏に到着する。
俺がくぐり終えるとオーロラはスッ…と消えていった。
これも特典で貰ったディケイドの力の一つだ。
中学の頃、休みを利用してこれを使って一人で国内やら国外やら色んなところに行ったのはいい思い出だ。
フホウニュウコク?ナニソレオイシイノ?
まあそんなことはさておいて俺が路地裏から出て家に向かうと一誠とばったり会う。
「よっ一誠、草むしりは終えたか」
「何とか終わったよ!おかげで腕がパンパンだ!」
「おお…俺が言うのもあれだがよく途中でやめなかったな?誰も見てなかっただろうに」
「そんなことしても兄貴にはすぐにばれそうだしばれてプロレス技喰らうよりましだと思ってな」
「そりゃ正解だ、そんなことしたら筋肉ドライバーかましてたわ」
「・・・マジでやめなくて正解だったな」
二人で雑談していると、一誠は真剣な表情で俺の方を向く。
「ところで兄貴、実は頼みたいことがあるんだ」
「なんだ、宿題なら手伝わんぞ」
「違うって! 実は・・・俺彼女が出来たんだ」
「・・・んっ?済まないよく聞こえなかった。なんだって?」
「彼女ができたからデートのプラン一緒に考えてくれないか!」
「・・・・・・一誠よ」
俺は真剣な顔で一誠の肩を掴む。
「?」
「画面越しの女は彼女とは言えないぞ」
「二次元じゃねえよ!?ちゃんと三次元で彼女が出来たんだよ!」
「・・・マジで?」
拝啓、おっさんへ。
転生してから十数年、問題児の弟に彼女が出来ました。