真剣で家族に恋しなさい!    作:HidEnd

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幼少期
ただ新しい繋がりに


人は、生まれた環境で人生がほぼ決まるといってもいい。

 

親が比較的高い位の職についているのなら、子はそれを継ぐために育てられるだろう。

 

場所がとても治安が悪い場所ならば、何らかの事件に巻き込まれ命を失うこともあるだろう。

 

時がもしも戦乱の時代だったなら、問答無用で戦争に参加させられるだろう。

 

様々な理由がある中で、俺の場合親が悪かったといえる。

何の因果か知らないが、普通の家庭に生まれた俺はとてつもない威圧感を放っていたらしい。

 

威圧感、つまり気が半端じゃない量を有していたということだ。

 

武芸者でもなんでもない家庭なので、親は俺を恐れた。

何か悪いことをしたとしても怒られることなど無かったし、家族のヒエラレルキーは俺が常にトップに立っていた。

 

そんな家庭だったから、これはある意味必然のことだった。

 

五歳の誕生日を迎えた日、俺は捨てられた。

 

いや、正確には俺が捨てたというべきか。

俺の顔色を伺う母親、俺を叱ることすらできない父親。

心底、情けないと思う。

こんな家族はいやだった、偽造された関係とでもいうのが正しい。

 

だから五歳の誕生日を迎えたあの日、俺は両親を殺したのだから。

 

誕生日の前日、聞いてしまったのだ。

両親が、俺が寝静まった後にとある会話をしていたことに。

 

それは俺を捨ててしまおうという計画だった。

耐えられなかったのだろう、母も父も。

 

別にこのときは何も殺そうと思っていたわけではない。

俺のことは俺自身が一番わかっているつもりだ。

こんな化け物じみた威圧感を放っている子供を恐れるのは当たり前といえるだろう。

 

だから、俺は素直に捨てられてやろうと思っていたのだ。

その、当日までは。

 

車に乗って出かけた、俺たち家族。

これから俺を捨てるのだろうと思った。

何の未練も無かったのだが、とある出来事を前にして俺は考えを改めた。

 

俺を今から捨てるというのに、両親の顔は明るかった。

いつもより楽しそうに話す母、いつもより俺に話しかけてくる父。

 

何だというのか、俺を恐れているのではなかったか。

なのに、なぜ、この日だけ家族みたいなことをするのか?

まったく意味がわからなかった。

 

だから人気の無い所まで連れられてきたとき、俺は何かが切れた。

自分の中にある気を手繰り寄せ、爆発させた。

 

それによって乗っていた車は大破。

両親はあっけなく死亡した。

 

俺は自身を気で纏っていたため、無傷だった。

 

それは原因不明となり、事故として扱われた。

何事も無く葬式が行われた。

そして、俺の処遇。

 

誰も俺を引き取ろうとはしない。

こんな威圧感を放っている異質な俺を引き取る人など存在しなかった。

 

自然な流れで俺は孤児院へと入れられることになった。

 

だが、俺はなんの後悔も未練もなかった。

たとえ親を殺したのが自分であっても、捨てられるはずだったとしても。

 

その孤児院に入ったその日の夜、何故か俺は涙を流した。

悲しみを感じないのに、涙だけがあふれてくる。

そんな時だったか、あいつらに会ったのは。

 

「ねえ、どうしたの?」

 

そう話しかけてきたのは、俺よりも小さい少女。

年は四歳くらいだろうか。

その横にも同じくらいの少年がいた。

 

「俺が…、殺したんだよ。両親を」

 

懺悔のつもりだったのだろうか。

後悔もしてないのに、涙だけあふれる俺はもう壊れているのだろう。

それとも、まだかすかに残っていた両親への思いがあったのだろうか。

 

「殺した?俺たちとそう変わらない年のお前がか?」

 

横にいた少年は俺に問いかける。

非難の目を向けているわけではなかった。

むしろ、心配している目だ。

 

「お前らでもわかるだろう?この異質さ、この威圧感」

 

そういって気を思い切り高める。

少女はびっくりして、ひうっ、と声を出したがすぐに俺に声をかける。

 

「わ、わたしはそんなことおもわない!」

 

声を大きく荒げ、否定してくる少女。

心から、そう思っているみたいだ。

 

「…お前に何がわかるんだ。親を知らないお前たちが!」

 

それは言ってはならないことだったのだろう。

横にいる少年の目は怒りに満ち、少女は悲しそうな目をしていた。

 

「し、しらないけど…。あなたが苦しんでるってことくらいわかるわ!」

 

「俺が、親を殺したのにか」

 

「ハッ、だから何だってんだ。俺たちに怖がってほしいのか?」

 

「……変わってるな。お前らは」

 

変わってる、こんな俺に話しかけた時点で。

 

「ちっ、院長にお前の世話を頼まれてんだよ。さっさとしろ」

 

「……やさしいな」

 

「勘違いすんじゃねえ。後で院長にどやされんのがめんどいだけだ、後あいつに謝っとけ」

 

少女のほうを向く、先ほどの発言を非難しているのだろう。

 

「……ごめんな。こんな俺でも、友達……いや、家族になってくれないか?」

 

「うん!もちろんいいわ!」

 

俺たちのような偽者の家族じゃない、本当の家族に。

 

「なに恥ずかしいことしてんだ」

 

「タッちゃんも!」

 

少女はタッちゃんと呼ばれた少年と、俺と、自分の手を重ね合わせて、楽しそうに笑う。

 

「一子、お前は他人のことより、自分を心配したほうがいいんじゃねえか?」

 

「うっ、だ、だいじょうぶ!……それに、他人じゃないわ!」

 

「……そうだったな」

 

本当に、変わってる。

 

「今更だが、自己紹介をしないか?」

 

「そうね!わたし、一子!」

 

「ふん、忠勝だ」

 

「よろしくな、一子、忠勝。俺は……」

 

俺は、本当に感謝している。

このときお前たちに話しかけられていなかったら、俺はどうなっていたかもわからない。

 

「俺は…、恭夜」

 

もう姓はいらない。

その名前はすてたのだから、今新しく出来た繋がりに。

 

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