IS、零   作:歩輪気

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12話目


零、宣戦、酢豚

 ──────────────3組

 

 

「そういえばさぁ、今日2組に転校生が来るらしいよ。あ、リバース(赤)」

「へー、そうなんだ」

「しかもいきなりクラス代表になったらしいよ」

 

 次の日の朝、3組では2組に転校生が来ることで話題でもちきり……ではなかったがまあまあ話題になっていた。ちなみに今はクラスの女子3人とU〇Oを楽しんでいる。家でもよく姉さん達とやってたからルールは分かる。

 にしても転校生か……多分昨日の鈴音ちゃんだな。

 

「その子なら昨日あったよ。あ、1(赤)で」

「え?そうなの?」

「ああ、中国から来た代表候補生らしいよ」

「へぇ、にしても代表候補生かぁ、なかなか手強そう。あ、ワイルド(黄)」

「でも専用機持ちって今の所うちと1組だけだから優勝はかも?ドロツー(黄色)」

「うわ……あ、零君、デザートフリーパス楽しみにしてるからね!応援するから!」

「うん、頑張るよ。5(黄)」

 

 さて、次で手札が無くなるな。

 しかし多分鈴音ちゃんは専用機を持っている。何故?昨日楯無さんから聞いたから知ってる。転校生が来ることは生徒会長であるあの人が知らないわけがないからな。質問料として手料理作ることになったけど。

 

「その情報、古いよ「ドロフォー」「ドロフォー」「ドロフォーだよー」

「まじか!」オーイ

 

 なんてこった、あがる直前でまさかこんな自体になるとは……まさか。

 

「もしかしてはめた?」チョットー

「「「サアナンノコトヤラ」」」ネェ

 

 くそ、姐さん達といいなんでこうもカードゲームで俺を嵌めたがるんだ。

 というか可笑しくないか?

 確かドロフォー重ねるのってルール違反じゃなかったか?

 

「ねぇってば!」

 

 3組の扉から聞き覚えのある女子の大声が聞こえた。

 

「はい?」

「ハイじゃないわよ!さっきから呼んでるでしょ!」

 

 その女子はツインテールをブンブン揺らしながら怒っている。ああ、やっぱそうか。

 

「鈴音ちゃん、昨日ぶり」

「ハロー零、昨日は助かったわ。あとアタシのことは鈴でいいわよ」

「そう?じゃあそうさせてもらうよ」

 

 鈴ちゃん……面倒だから鈴でいいか。

 

「ところで鈴、うちのクラスに何かよう?」

「まあねー、2組もクラス代表が専用機持ちになったから、アンタに宣戦布告しに来たのよ」

「へーそうなんだー(棒)」

 

 宣戦布告ねぇ、この様子だと一夏の方にも喧嘩を売ったのか?まあ俺には関係ないか。それにクラス代表は誰とぶつかるか分からないし、というか4組の方はいいのか?確かまだ完成してないんだろ?

 

「あ、戻んなきゃ。そんじゃ、またね」

「うん、また」

 

 鈴は教室の扉を開けたまま2組の教室へ戻っていく。

 さて、これで一応専用機持ちがそれぞれのクラスにいることになるわけか。というか多くないか?2年でも楯無さんとフォルテさん、3年に至ってはレイン1人しかいないってのに。1年だけ超過供給だ。それだけ各国もやけになってるってことか。

 

「はーい!SHR始めるわよー!」

 

 おっと、座るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────ー屋上

 

 

 鈴から宣戦布告を受けてから数時間後、俺は屋上でレインと一緒に昼飯を食っていた。なんでも弁当を作ってくれたんだとか。

 

「そんで、その凰とかいう奴とやりあうのか?」

「さあな、初っ端から当たるかもしれないし2回目で当たるかもしれないし。とりあえずまずは鈴がどんなISを使ってくるか把握しないとな」

「ふーん、ま、頑張れよ。観客席から応援してやるから。とりあえずほれ」

「ん、サンキュー」

 

 俺はレインから貰った弁当箱を開ける。中は、左半分に卵ふりかけがかかった白米、右半分には玉子焼きと小さい赤ウインナー、少量のパスタ、唐揚げ、レタスが綺麗に詰められていた。

 何とも美味しそうだ。

 

「随分可愛い弁当じゃないか」

「い、いいから。早く食えよ」

「急かさなくてもちゃんと食べるよ」

 

 何を恥ずかしがってんだ?まあいい。

 さて、まずは玉子焼きから。うん、不格好ながら味はちゃんと染み込んでる。唐揚げも油が多すぎず、さっぱりした味だ。

 

「ど、どうだ?前のと比べて美味いか?」

「ああ、美味い、前のやつよりも美味しくなってるよ」

「そうか、喜んで貰えて良かったぜ(あん時(零の入学初日)から何度も練習した甲斐が有ったぜ)。ほら、どんどん食えよ」

「そんな焦らなくても、ゆっくり味合わうよ」

 

 昔もこうやってご飯を作ってくれたっけ。マドカと出会う前はレインが作ってくれてたからな。

 

「ほら」

「ん?」

 

 レインが箸で自分の弁当から唐揚げを掴み、俺に差し出してくる。一体何がやりたいんだ?

 

「昔みたいに食わせてやるから、口開けろよ」

「お、おう?」

 

 レインに言われるまま、俺は口を開ける。

 

「あ……あーん」

「あーん……」

「どうだ?」

「モグッ……美味いけど?」

「そうか…………良かった……」

 

 いや、だってこれ俺に作ってきた唐揚げと同じやつだから味は同じだろ。

 

「さっきからどうしたんだ?顔赤いぞ?」

「う、うっさい、さっさと食え!鈍感野郎!」

「何怒ってんだよ?」

「怒ってねえよ!」

 

 プンプン怒りながらレインは弁当を食べ始める。本当にどうしたんだこいつ?俺が学園に入学する前は少なくともこんなんじゃなかったはずだが。

 

 

 

 パシャッ!

 

 

 

 …………おい、今やばい音聞こえなかったか?

 

 

「いやぁこれは大スクープよ……『IS学園1の人気コンビ、まさかの男性操縦者と秘密の密会。彼への愛の手作り弁当、泥沼な三角関係』…………これはいけるわ!」

 

 何やらカメラを持った変人が扉から現れた。スクールってことは新聞部とかそこら辺の奴か?いけるって何が。

 

「あっ!てめー新聞部の奴か!」

「どうもー!2人の密会はバッチリ撮らせて貰いましたー!」

「おいこら待てや!」

 

 笑顔で逃げる新聞部に、レインは鬼の形相……ではないが、怒った顔で追いかけていく。てかなんだよ密会って、ただ友人と昼飯を食ってただけだろうに。ん?食べさせあいってそんなにやばいことなのか?昔からやってるからわからんな。

 

 とりあえず残りを食べるか。昼飯の時間は限られてるからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────────ー

 

 

「ケイシーさんと密会してたそうじゃない」

「だから密会じゃないですって。てかなんで知ってるんですか」

「薫子ちゃんから聞いたのよ、新聞部副部長の。今日あったでしょ?」

「ああ、あの人」

 

 その日の夕方、俺は楯無さんから昼間の件で弄られていた。てかあの人副部長だったのかよ。他人のプライベートを隠し撮りするなんて随分と立派なマスコミ根性じゃないか。

 まああの後レインに捕まって写真は消されたけどな。

 

「さあ、出来ましたよ」

「ありがと……うん、美味しい♪」

「どうも」

 

 楯無さんは俺が作った料理を美味しそうに食べる。これは昨日の質問料だ。

 

「にしても何で俺のなんですか?」

「食べてみたかったから?」

「そんな理由で」

「風の噂で零君が料理好きって聞いたのよ」

「何処から吹いた噂ですかそれ……」

 

 よく分からない人だ。

 でも不思議とマドカやレインと一緒にいる時と同じように安心できるのは何故だろうか?やっぱり昔会ってたのか?…………ダメだ、思い出せない。

 

 

 

『毎日酢豚奢るなんて約束するバカが何処にいんのよ!この馬鹿ァァァァァァッ!!!!!』

 

 突然廊下から叫び声が聞こえてくる。中まで聞こえるって相当だな。

 

 

 

 ズコッ

 

『ぎゃんっ!』

 

 

 

「…………今転けませんでした?」

「ええ、転けたわね。多分この部屋の前よ」

 

 とりあえず部屋の扉を開けて外を確認する。

 そこには顔面から大胆にずっこけ、うつ伏せで倒れる鈴がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────ー数分後

 

「なるほどねぇ、そんなことがあったの」

「ぐすっ……はい」

 

 事情を聞いた楯無さんが鈴を優しく宥める。

 何でもアリーナでの訓練の際、一夏と箒が同室だったことを知って、早速2人の部屋に乗り込んだらしい。そこで一悶着終えた後、一夏に幼い頃にした約束を聞いたところ、忘れていた……というよりも、勘違いして捉えられていたらしい。

 それで1発ぶん殴って逃げてきたと。

 箒も木刀を使わず言葉で追い返そうとするとは、成長したものだ。

 

 それにしてもなんだよ、『料理が上手くなったら毎日酢豚作ってあげる』って。あれか?日本の『毎日?毎朝?俺の味噌スープを作ってくれ』とかいう

 告白の真似か?そんなもん一夏どころか俺でもわかんねえよ。

 

 てかそもそも毎日味噌スープってなんだよ、味噌じゃないけど家では毎日のように料理をしてたぞ、姉さんもマドカも、え?それとは違う?違うのか?

 

「織斑君も鈍感ねぇ、ちょっとは察してくれればいいのに」

「ホントですよ……ぐすっ」

「よしよし、今は思いっきり泣きなさい」

「ぐすっ、うえぇぇぇぇぇぇん!!」

 

 鈴が大声で泣き始めた。

 

「というかそれその時普通に告れば「零君?この状況でそういうことは言わないものよ?」…………あ、はい」

 

 楯無さんから妙な圧がかかった。

 それにしても……楯無さんに泣きつく鈴を見てると昔を思い出すな、マドカもああやって泣きついたりしてたっけ。俺も小さい頃礼子姉さんによく泣きついてたらしいが。

 

「それで、鈴はどうしたいんだい?」

「……と、とりあえず謝りたい……かな?流石にぶったのは悪いし……でも、それが出来たら苦労しないわよ……」

 

 ふむ、ここは前の箒みたいに両者ともに謝るのがベストだが。そうなると鈴の一夏への思いが周りに漏れる可能性があるな、それに一夏のことだから10回程言わないと理解出来ないだろう。

 となると手は1つか。かなり雑だけど。

 

「じゃあ、今度のクラス代表戦で優勝したら一夏に謝るってのはどう?」

「優勝?」

「ああ、そうやって目標を立てた方がやりやすいでしょ(多分)」

 

 てか宣戦布告してきたんだからそのぐらいはやってもらわないとな。

 クロスライザーの力を早く発揮させないといけないし。

 

「優勝か……うん、分かったわ。そうする」

 

 そう言うと鈴は立ち上がり、部屋の扉の前まで歩く。

 

「えっと、お世話になりました」

「いいえ、それよりもクラス代表戦、頑張ってね。私も応援してるから」

「はい!……それと零!」

「はい」

「アンタも手加減なしでやるんだから、覚悟してなさい!」

 

 鈴は部屋から出る。随分と立ち直りが早い早い。

 

「…………なんだったんですかね?」

「乙女の覚悟」

「?」

 

 とりあえず一夏のせいで妙なことに巻き込まれたことは確かだ。

 あいつ、いつか後ろから刺されるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




UN〇でドロの重ねがダメなの、書いてる時に知りました。
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