IS、零   作:歩輪気

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13話目

今他のを書いててこっちまで手が出しにくいです


零、届け物、本番

 ────────第4アリーナ

 

 

「おら!」

「くっ!」

 

 互いの剣がぶつかり合い、火花を散らす。

 あれから時間は経ち、今日はクラス代表戦前日、俺はレインと一緒にいつも通り訓練を行っていた。

 相変わらず手加減がない上に、クラス代表戦ということもあって、いつもよりもスパルタだ。一撃一撃が重い。

 

「もらった!」

「やらせん!」

 

 加速したレインから放たれた斬撃を、肩にある大型ソードビット『ライザーファング』を展開させ、防ごうとした。

 

 ガンッ!

 

「うごっ!?」

 

 しかし斬撃が来ることはなく、変わりに腹部へ激しい蹴りをくらった。

 

「横ががら空きだ。相手の攻撃は必ず真っ直ぐ来るわけじゃねえ、そういう所も気ーつけろよ」

「わ、わかったよ……」

 

 いってぇ……装甲があるとはいえかなり来るな。にしてもISの操縦はなかなか難しい。生身で出来ないことが出来る変わりに、生身だからこそ出来たことが出来ない。

 それを使い分けられるんだ、やっぱりレインは凄いよ。

 

「そんじゃ次行くぞ!」

 

 レインは休む間もなく、追撃仕掛けてくる。

 

「こちとらやられっぱじゃねえよ!」

 

 俺はスラスターを噴射させ、剣の刃が当たるギリギリを右に逸れて交わす。

 そして後ろを向いたまま両足の小型ワイヤーブレードを放ち、ヘル・ハウンドの片足と片腕に巻き付ける。

 

「なっ!?」

「当てれば!」

 

 そしてクロスマッシャー両刀をガンモードに素早く切り替え、ヘル・ハウンドにワイヤーブレードを巻き付けたまま円を書くように旋回しながら弾丸を放つ。

 しかしここは経験の差、両方合わせて6発中2発しか命中しなかった。やはり拳銃を撃つのとは少し違うな。

 

「舐めんな!」

 

 レインが体制を立て直し、ヘル・ハウンドの両肩の犬頭から炎を放つ。

 

「やられ!」

 

 炎を避けるため、そのまま下に逸れるように、移動する。しかしここでワイヤーブレードを解かなかったことを後悔する。

 

 ギュッ!

 

「やべっ」

 

 そう、ワイヤーが限界に達したのだ。そりゃあ有線だ、限界はあるよ。

 クロスライザーは引っ張られた反動でバランスを崩し、そして

 

 

 

 

 ズズァァァァァァァ!!!!

 

 

 

 そのまま地面に引きずられるように衝突する。かなり痛い。

 

「あーあ、大丈夫か?」

「だ、大丈夫……」

「……ったく、武装の特徴ぐらいちゃんと把握しとけよな。本番だったら死んでたぞ?」

「悪い、今度から気をつける」

 

 レインから差し出された手を掴み、立ち上がる。

 

『巻紙くーん、いますかー?』

 

 突然アリーナのピットから俺の名前を呼ぶ山田先生の声が響く。

 

「ん?山田先生?」

『巻紙君にお届け物ですよー』

 

 俺とレインは互いに顔を合わせ、首を傾げる。

 届けもの?一体なんなんだ?

 

「ちょっと行ってくる」

「おう」

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────ピット

 

「ありがとうございます」

「いえいえ、それでは」

 

 山田先生が笑顔で帰っていく。

 それよりも。

 

「……何だこれ」

 

 ピットについた俺を待っていたのは、両手で抱えられるサイズの小さいダンボールだった。

 一体誰からだ?送り主は…………アメリカの企業から?一体何を送ってきたんだ。

 

 ピルルルッ

 

 と思っていたら突然、というよりタイミングよく端末に連絡が入る。

 ……この番号は確か。

 

 ピッ

 

『もすもす終日〜?元気かな〜?天才美少女束さんだよ!』

「相変わらず痛いな(どうも束博士)」

『凡人には私の挨拶の意味が分からんよ』

 

 おっと、本音が漏れた。

 

「…………で、企業に成りすましてまで物を送り付けて来るなんて、今度は何ですか?」

『いやぁちょっとね〜。今の零君って頼りないからね〜』

「……ハッキリ言うと?」

『全然、めちゃくそ弱い』

 

 分かってはいたけど直で言われると結構傷つくな。確かに動かせるようにはなったし武装も使えるようにはなった。でも弱いのは確かだ。

 

『そこで!今回はそんな零君を(クーちゃんに似合う)立派な男に鍛え上げるために束さんからプレゼントだよ!』

「………………」

 

 怪しい。

 

『そんな疑わなくてもへーきへーき、怪しいもんじゃないから安心してよ(んなもん渡したらクーちゃんに殺されるわ)。そんじゃま、束さんは忙しいからもう切るねー、取り扱い方は説明書見ればわかるから、じゃっ』

 

 プツッ

 

 うさぎから一方的に通話を切られた。

 疑わない方が可笑しいだろ……まあいい、とりあえずレインとの訓練を再開するか、ダンボールの中身は今度開ければいいし。

 

「お、もう終わったのか?」

「おう」

「んじゃ始めるか」

 

 にしても、立派な男に鍛えるってどういうことだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────当日

 

 

「あっという間に試合当日」

「誰に話しかけていますの?」

 

 そして迎えた試合当日、1回戦は一夏と鈴が当たった。俺は4組とやり合うそうだ。少し残念だな、一夏と鈴とやり会えないのは。一夏もセシリアさんとの訓練で瞬時加速を早くも学習したらしいし。俺?連続旋回と回避なら覚えた。加速はまあまあだ、これでもレインとの訓練で上がった方なんだよ。

 

 

 

『あっし達の力はまだまだこんなもんじゃないでっせ』

 

 ………………。

 

『おいこら無視すんな』

 

 

 

 

 ちなみに俺は今、セシリアさんと一夏の応援に来ている。何故かって?セシリアさんから是非って頼まれたからだよ。鈴の方は楯無さんが応援しに行ってるから心配ない。

 あれから鈴とすれ違う度に『あんたもぶっ飛ばすから覚悟しなさい!』と言われた。一夏に関しては避けていたとか、一夏から相談を受けてたから知ってる。

 

 しかしなんということか、男が俺しかいないとはいえこうも親しくしてくるとは…………下手に仲良くするよりもいっその事突き放した方が楽だったかもな、もう遅いけど。

 

「では鈴さんのISについておさらいしますわね。鈴さんのISは中国が開発した第三世代IS『甲龍』、武装は大型の青龍刀『双天牙月』、そして両肩の龍咆と腕部の崩拳から放たれる『衝撃砲』ですわ」

 

 衝撃砲……確か空気を圧縮して放たれる弾丸か。砲身と弾が見えないから回避もしづらいとか、燃費のいい甲龍とは相性抜群だな。

 

「ありがとう、セシリア」

「副代表としてサポートするのは当然ですわ」

 

 セシリアさん、本当にちゃんとしてるな。正にイギリス貴族のお手本だ、どいつもこいつもこういう人だったらいいのだが現実はそう甘くない。

 これは本当に1度チェルシーさんとエクシアちゃんに挨拶しないとな。

 

「そんじゃ、僕とセシリアさんはピットに戻るよ」

「おう、ありがとな零、違う組なのに応援しに来てくれてよ」

「どういたしまして」

 

 礼を言うならセシリアさんにしろ。

 さてと、とりあえず戻るか。あ、そうだ。

 

「(隠れてないでいってやったらどう?)」

「(っ!?)」

 

 物陰に隠れていた誰かさんにこっそり話しかける。

 部外者はさっさと出ますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひえー、緊張するなー」

「…………い、一夏!」

「え?箒?」

「あ、その、あのな」

「?」

「…………が、頑張れ!そして勝ってこい!」

「…………おう!絶対勝つぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────ー

 

 

「来たわね、一夏」

「おう(あれ、何か鈴の奴可笑しくねえか?)」

 

 定位置についた一夏と鈴は互いに言葉を交わす。しかし鈴の顔は何やらニヤついており、何処か得体の知れない狂気が出ていた。

 

「手加減なしでいくわよ。いい?」

「それはこっちのセリフだぜ!」

 

『それでは試合を開始します』

 

 3.2.1.ビィィィィィッ!

 アリーナに試合開始の合図が鳴り響く。

 

「先手m「先手もらったぁぁぁぁぁ!!!!」は!?」

 

 一夏は瞬時加速をかけながら素早く雪片弐型を展開し、鈴に突撃を仕掛けるが、鈴は一気に後退しつつ、両肩の龍咆から衝撃砲を連射した。

 

「んなのありかよ!?」

「手加減しないって言ったでしょうがァァ!!」

 

 鈴は今も衝撃砲を連射する。一夏は突然のことに直ぐに体制を立て直せず、何発か被弾した。

 

「こんなの避けるのに精一杯だって!」

 

 そんなことを叫んでいると

 

「でやぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「うぇ!?前!?」

 

 衝撃砲の嵐の後ろから、双天牙月を展開した鈴が一夏に突撃する。

 一夏はギリギリ雪片弐型で受け止めるが、その衝撃はかなりのものである。

 

「おい!そんなのありかよ!」

「正々堂々ってのはねぇ!馬鹿みたいに真っ直ぐ行くわけじゃないのよ!あ!?」

「(え、何この鈴怖い)」

「おら次!」

「え?ぎゃあ!?」

 

 鈴は双天牙月で雪片弐型を下に払うと、そのまま衝撃砲を撃ち込む。

 

 何故鈴がこうなってしまったのか。それは試合開始直前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 ────────────その時

 

 

「鈴ちゃん、頑張ってね」

「あ、ありがとうございます……でも、本当に一夏とやりあえるか不安です…………」

「何言ってるのよ、優勝して織斑君に謝るんでしょ?」

「でも……嫌われたらどうしよう……」

「織斑君は試合に負けて相手を嫌いになるような男なの?」

「ち、違うわよ!アイツはそんな奴じゃない!」

「じゃあやっちゃいなさい。手加減無用で叩きのめしちゃいなさい。これは鈴ちゃんの……乙女の戦いなんだから」

「乙女の……戦い?」

「そうよ、これは乙女の戦いなの。鈴ちゃんのプライドと夢をかけた……ね」

「プライド……夢……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────その時終わり

 

「それがなんでああなるんですか?」

『まさかあそこまでなるなんて私も思わなかったわ』

 

 楯無さんは通信越しに悪びれるつもりもないような声で返事をする。

 鈴が何故あんな狂ったように戦っているのか、原因は楯無さんだったのだ。

 それにしても一体なんなんだ『乙女の戦い』って。そんなもの初めて聞いたぞ。まさか姉さん達もそんなものを持っているのか?

 あと隣で箒がめちゃくちゃ心配そうな顔で一夏を見ているが今はそっとしておいてやろう。

 

「てか鈴も鈴で影響受け易すぎませんか?」

『追い詰められた女の子程怖いものはないのよ』

 

 え、何んだよそれ。

 今まで任務で味わったのとはまた違った恐怖心が俺を襲った。死にかけるのとは訳が違う何かが。

 ん?となるとマドカやレインも。

 

 

 

 

「うをぉぉぉぉぉぉ!!負けられるかぁぁぁぁぁ!!」

 

 なんて思ってたら一夏が鈴に瞬時加速をかけて突進した。零落白夜を解放して……。

 

「あれって確か下手すればパイロットごと切り捨てるやばい兵器じゃなかったですっけ?」

『織斑君がそこまで理解出来てるかしら?』

 

 何とも恐ろしいことを平然と言えるものだこの人は。それにしても零落白夜か…………戦闘向けではあるがスポーツ向けではないな。玩具の剣相手に真剣を使うようなものだ、そんなもの誰が聞いてもおかしいと気づく、俺のような環境で育った奴でもな。

 

 しかし世の中には小学生に真剣を持たせたヤバいやつがいたとか、一体何処の誰なんだか。

 

 一夏も早く零落白夜の怖さを自覚出来ればいいが。

 

「あぁぁ!」

「うげっ!?」

 

 しかし鈴には零落白夜だろうがそんなものお構い無しだ。双天牙月で雪片弐型を容易く切り払い、一夏の肩装甲にもう一方の双天牙月で切りかかる。

 正直俺でも今の鈴には勝てる確率は低い、でも一夏よりは高い、これだけは何故か分かる。

 

「おら!とどめぇぇ!!」

 

 鈴が一夏に腕部を向ける。これは終わったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ズドォォォォォォォォン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何!?」

 

 突然、一筋のビームがアリーナの遮断シールドを貫く。

 その衝撃は強く、アリーナ全体に大きな揺れを走らせた。

 

「何よ……あれ」

 

 アリーナの中央に煙を立てながら現れた謎の影、それは

 

「……あ、ISか!?」

 

 それは、禍々しい雰囲気を纏った、通常よりも一回り大きいISだった。

 

 

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