IS、零   作:歩輪気

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15話目

9月中は忙しいため、更新が止まります。もしかしたら隙を見つけて書くかもしれませんが。

※修正させて頂きました。


零、開封、焼きそば

 ────────────第4アリーナ

 

 無人機ISが襲撃してから早くも数日経った。あの無人機の件だが、表向きにはどっかの企業が開発中のISが暴走したってことで方が着いた。パイロットも架空の奴が救助されたとかなんとか。目撃者には口外禁止を言い渡されて事件は幕を閉じた。

 

 さて、俺は今第4アリーナのピット内にいる。背中の火傷の疼きも治まってきたし、今日は久々のアリーナでの訓練を行うことになったわけだ。ちなみにレインの方はフォルテさんとの約束で今日はいない、楯無さんも妹の専用機が何とか言いながら嬉しそうにどっかへ行った。つまり、今日は俺1人ということだ。

 

 それにしてもこの数日間は本当に大変だったよ。たった数日でいつの間にか授業は進んでるわ、楯無さんがしょっちゅう頭を撫でたり抱きついてきたりしてくるわ、それを見たレインが楯無さんと一悶着やらかすわ。授業に関しては3組の女子達からノートやらを見せてもらって何とか追いついたが。

 

 でも1番大変だったのは礼子姉さんとマドカからのメールと電話の頻度だったな。

 特にマドカは数時間に1回は必ず電話してきたし、メールも『おやすみ』に行き着くまで何十回も送り合う羽目になるし。可愛かったけど。

 礼子姉さんも礼子姉さんで掛けてそうそうレインみたいに怒鳴ってきたし、火傷の時の体の拭き方がどーだとかで何回もメールを送り付けてきたし。

 スコール姐さんに助けを求めても顔文字で誤魔化すし。

 おかげでこっちは寝不足だ。まあそれだけ心配してくれてるってことなんだろうけど。

 

 さて。

 

「これは一体なんだ?」

 

 以前うさぎから送られてきた小さいダンボールを開けたんだが。

 中にはキューブ状の白い機械が入っていた。大きさからして何かのゲーム機だろうか。電源らしきものが1つあるがそれ以外にボタンは見られない。

 

 とりあえず押してみるか。

 

 ポチッ

 

 俺は白い機械の電源らしきものを押したが、その瞬間そいつから変な音が聞こえてきた。

 パソコンやらを起動した時によく聞くあれか?

 

 ピルルルルル……ブチッ!

 

『もすもす〜?元気かな〜?天才科学者束さんだよ!』

「…………」

『返事をしないか若者よ』

「…………こんなの返事する気も失せる」

『マドっちに嫌われるよ?』

 

 起動した瞬間、ISの通信機からあのうさぎの超えが勝手に聞こえてきた。何勝手に通信いじってるんだあいつ。てかマドカは関係ないだろ。

 

「……で、これは何ですか?束博士」

『良くぞ聞いてくれました!これは超弱い零君を(クーちゃんに似合う)立派な男に鍛え上げるために私が開発した訓練用シュミレーションなのだー!』

「……怪しい」

『大丈夫大丈夫、見返りは(今のところ)特に求めてないから』

 

 超弱いは酷いだろ、これでも上手くなった方なんだぞ。

 

「……それで、訓練用シュミレーションって何をするんだ?」

『チッチッチッ、それはやってからのお楽しみなんだなぁこれが。とりあえずさっさとアリーナにレッツゴー!』

「……はぁ」

 

 とりあえず俺はよく話すキューブを持ったままアリーナへと移動する。

 この時間帯は他にも訓練やらで使っている生徒が何人かいる。

 

「あ、箒」

「ん?零か」

 

 入ってすぐの所に打鉄を纏った箒が打鉄の標準武器『葵』を振っていた。

 

「1人で訓練かい?」

「まあな、一夏の奴も織斑先生に呼び出されて今日は来れないと言っていた。だからこうやって1人で振るっていたところだ」

「へー、そうなんだ」

 

 一夏曰く、ココ最近箒はアリーナを借りて訓練することが増えたらしい。ま、努力するに越したことはないからな。

 

「零、それはなんだ?」

「ん、ああこれ?企業から送られてきたんだよ、何でも訓練用シュミレーションだとか何とか、とりあえず試してみようと思ってね」

「そうか」

『箒ちゃん可愛いよ、おっパイまたおっきくなったかなー』

 

 おいこら、本人に聞こえないからって耳元で卑猥なことを言うんじゃない。

 

「……で、どうするんだ?」

『あー、とりあえずそこら辺にそれを置いて数メートル離れてー』

 

 多分箒の体を観察しているであろううさぎの言葉通り、俺はキューブを置いて数メートル距離をとる。

 

「箒、危ないから少し離れてくれないかい?」

「ああ、分かった」

 

 さて、どんなのが来るのか。

 

「今から何をやるんだ?」

『そんなの簡単、今からビーム兵器を備えたドローンを沢山出すから、それを避けて回避力と反射神経をアップするんだよ』

 

 うさぎの言葉と同時に、空中に無数のドローンが現れた。円盤型で、下部には一丁の小型ビーム砲が取り付けられていた。

 一体何処から湧いてでたんだ。

 

『IS技術のちょっとした応用だよ』

「あっそ」

『そんじゃあ!早速シュミレーションスタート!』

 

 キューブから開始の合図がなる。

 

 ピシュンッ!

 

「危な!」

 

 と同時にドローンの一機からビーム砲が放たれた。結構速かったぞ。

 

『いいねいいね!やっぱり束さんは天才だ!』

 

 ピシュンッ!ピシュンッ!ピシュンッ!ピシュンッ!ピシュンッ!

 

 うさぎのキンキン声と同時に空中に浮遊する無数のドローンから一気にビーム砲が放たれた。

 ……ておいおい!こんな馬鹿なのありかよ!

 

「おわっ!」

 

 俺はとにかく無数に放たれるビーム砲を避け続ける。ていうか速すぎだろ。避けんのに精一杯だ。

 

『その調子その調子、どんどん交わしてクロスライザーのデータをおくれー』

「たく、これの何処がシュミレーションだ!」

『ペラペラくっちゃべってると当たるよ?』

「んなこと……」

 

 分かっていると言おうとした瞬間、クロスライザーの左足にビーム砲が被弾する。するとそれに続くようにクロスライザーに次々とビーム砲が被弾していく。集団リンチってのは多分こういうことを言うんだろうな。

 

 ドガァァァァァァァァァン!!

 

「ぐあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 俺とクロスライザーはそのまま後方へ吹き飛ばされる。威力は低いためか装甲に傷はない。

 

『ねえ?』

「ねえじゃねえだろ……たく」

 

「零!大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だよ」

 

 心配した箒がこちらに駆けつけた。まああんなもの見させられたら驚くか。

 俺も驚いてるよ。

 

「それにしても随分とハードなシュミレーションだな」

「ああ、企業の人たちもとんでもないものを開発したよ。けどこれならISを大破させる心配はないね」

「そうなのか?」

「ビーム自体がISが大破しないよう調節されてるからね」

 

 本当はお前の姉さんが作った、なんて言えないな。

 ま、折角の贈り物だ、有難く使わせて貰うとするか。立派な男とやらになってやるよ。

 

「…………なあ零」

「ん?なんだい?」

「その訓練、私も一緒にやっても良いだろうか?」

「え?」

『勿論OKだよ!』

 

 いきなり改まったと思ってたらどうしたんだこいつ?うさぎはうさぎでうるさい。まあ別に断るつもりは無いけど。

 

「いいよ」

「うむ、礼を言う」

『箒ちゃん超カワイイ』

 

 その後、俺と箒はこのうさぎ特製訓練用シュミレーションで一日中ドローンからビームを避ける訓練を行った。お陰で身体中が痛いったらありゃしない。背中の火傷もぶり返した気がするよ。

 にしてもあのドローンのビーム砲、箒を撃つ時は確実に威力と弾速を落としてやがった。

 

 ……全く、シスコンってのは拗らせると面倒だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────IS学園地下特別区画

 

 

「お疲れ様、山田先生」

「あ、織斑先生お疲れ様です」

 

 ここはIS学園地下のとある場所、そこでは真耶が端末を弄り、黒い物体の解析を行っていた。

 

「それで、何かわかったか?」

「いえ、まだ何も……殆ど丸焦げになってしまったので」

「コアもか?」

「はい」

「そうか……」

 

 真耶は数日前に襲撃してきた無人機ISの解析を行っていた。しかしレインがヘル・ハウンドの怒りの炎でコア諸共丸焦げにしてしまったため、解析に行き詰まってしまっていた。

 

「それにしてもケイシーの奴、まさか丸焦げにしてしまうとはな」

「大切な友達をあんな目に合わされたのがよっぽど答えたんでしょう」

「しかしだな、もしそれが有人機だったらどうなっていたことか」

「黒焦げですから……解体する時絶対吐きます」

 

 真耶は黒焦げた人間の遺体を想像して顔を青くする。このIS学園でそのようなもの、誰でも見たくはないのだ。

 

「あ、そういえば今日巻紙君と篠ノ之さんがアリーナで一緒に訓練してましたよ」

「篠ノ之が?」

「はい、何でも巻紙君の企業さんから送られてきた訓練用シュミレーションだとかで一緒にビームを避けてました」

「ふむ」

 

 千冬は顎に手を当てる。箒は実の姉である束が原因でIS学園に入学することになったも同然であり、本人も入学して暫くは乗り気ではなかった。そんな彼女が数日前の襲撃事件以来、自ら進んで訓練を行うようになったのだ。

 千冬は箒に何があったのか確証はないが、襲撃事件をきっかけに彼女の中で何かが動いたのだろうと納得した。

 

「まあ、めげずに己を鍛え上げているのならそれでいい」

「そうですねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────────

 

 

「はぁ……疲れた」

 

 あのクソみたいなシュミレーションを何とか耐えた俺は、疲れた体を引きずるように寮室へ向かっていた。

 にしてもあのシュミレーション、レベルがおかしすぎるだろ。あんな弾速軍事用でもなきゃ有り得ねえよ。これが天才のなす技か?

 それと箒に撃つ時、絶対手加減してたろ。それぐらいのことは俺でも分かるぞ。

 とりあえず今日は自室でゆっくり寝よう。

 

 

 

 ガチャッ

 

 

 

「おかえりなさい!」

 

 何て気持ちで部屋の扉を開けた俺を出迎えたのはエプロン姿の楯無さんだった。勿論服の上から着ている。

 

「どうしたんですか、随分と機嫌が言いようですけど」

「ふふ、知りたい?」

「別に。興味無いです」

「もう、そこは聞いてちょうだい」

 

 何か何時もより増してテンションが高いな、さっきからずっと満面の笑みだ。

 

「…………何かいい事でもありましたか?」

「ひーみーつ♪」

「そうですか……」

 

 まあ何となく予想はしてたけど。

 

「あら、冷たい」

「企業から送られてきたシュミレーションが鬼畜過ぎて疲れたんですよ。もう今日は寝ます。おやすみなさい」

 

 俺はそのままベッドに飛び込もうとしたが、その前に楯無さんが後ろから俺の服を掴んだ。

 

「離してください」

「まあまあそう言わずに。今日は私が夕食を作ったの。良かったら食べてちょうだい」

 

 楯無さんは笑顔で俺を引っ張る。本当はこのまま寝たいけど確かに腹も空いてる。まあ折角作ってくれたんだ、大人しく食べるか。

 

 楯無さんは俺を強引に机の前に座らせると、台所から大皿を持ってくる。

 確かこれは……焼きそばか。前にレインと会った時にマドカと一緒に食べたことがある。マドカも美味そうに食べてたな、その後俺も真似して作ったが、なかなか上手く作れなかったな。礼子姉さんは美味そうに食ってくれたが。

 

「はーい、召し上がれ」

 

 とりあえず俺は楯無さんが作った焼きそばを啜る。

 普通に美味い、俺の何かより全然。

 

「どうかしら?」

「……美味しいです、凄く」

「そう、満足してくれて良かった」

 

 俺の反対側に座る楯無さんはさっきと変わらず笑顔だった。

 よっぽどいいことが会ったんだろう。

 てか訓練行く前に妹の専用機がどーとか言ってたか、多分それだろ。前に妹がいるとか話してたからな。

 

 俺も早くマドカに会いたい。

 会って可愛い笑顔を見たい。

 

「あ、零君」

「はい?」

 

 楯無さんに呼ばれたので前を向くと、いきなり頬を拭いてきた。

 

「ソースついてたわよ」

「ああ、どうも」

 

 そう言うと楯無さんは微笑んだ。こういうのは子どもじゃないんだからやめて欲しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あーんやっといて何言っとんのこの人は』

『違いね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────ドイツ軍基地

 

 

『隊長、少しご相談が』

「うむ、どうした」

 

 午後9時(ドイツ時間)、ドイツ軍基地内のとある室内。ドイツ軍IS特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』の隊長であるラウラ・ボーデヴィッヒは、端末越しに部下であるクラリッサ大尉と何やら話し合っていた。

 

『はい、実は今度渋谷で限定販売されるシー〇〇ライ〇ーの入手を追加でお願いしたいのですが』

「うむ、分かった」

『それともう1つ、同日に限定販売されるブレ〇〇ライ〇ーもお願いします』

「うむ……ところでクラリッサよ」

『はい?なんでしょうか?』

「これらは本当に手に入れなければならないものなのか?」

『はい勿論、この2つは日本の渋谷でしか手に入らないものでして、ネットで買おうとしても転売で高値で売られてしまうのがオチです。ならここは隊長のお力をお借りして是非手に入れて頂きたいと』

「……はぁ、そうか」

 

 クラリッサの言葉に首を傾げながらも、ラウラは答える。

 

「しかしこんなもの手に入れてどうするのだ?ていうかと〇〇ちマスクなんぞ何の役に立つのだ?」

『バハハーイごっこができます』

「は?」

『バハハーイごっこです』

「そ、そうか……」

 

 ラウラはとある任務から、正式にIS学園へと入学することになった。

 そこでクラリッサはこのチャンスを逃さんと、日本でしか手に入らないホビー等の入手をラウラに頼んでいるでいるのだ。

 

『あ、それと隊のメンバーからお菓子の追加の申し出がありました』

「分かった分かった、後でメールでまとめてくれ」

『……それと隊長、お渡しした寝巻きの試着はお済みになりましたか?』

「ああ、したよ。なかなか着心地が良いではないか。裸でなくてもこれなら眠れるな」

『そうですかそうですか……うへへ』

「どうした?」

『いえ、何でもありません』

 

 クラリッサの変態のような笑いにラウラは気が付かなかった。

 ちなみにラウラは今、クラリッサから渡された子どもが着用するようなパジャマを身に纏っている。

 

『ではおやすみなさい』

「うむ」

 

 ラウラは通信を切る。そしてそのまま保存フォルダを開き、とある写真を表示する。そこには、2人目の男性操縦者である巻紙零が写っていた。

 

「……零、もうすぐお前に会えるのだな」

 

 ラウラは零の写真を見つめながら、彼との出会いを思い出すのであった。

 

「会ったら……そうだな、会ったらまずは…………何をしようか?」

 

 まあいい、会ったその時に考えればいい。

 

 ラウラは心の中でそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

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