IS、零   作:歩輪気

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15.5話目

ちょっとした小話 文量も少なめ

※修正させて頂きました。


雨、拗

 ────────────第3アリーナ

 

 ピシュンッ!

 

「うお!」

 

 放課後の第3アリーナ、ドローンから放たれるビームをスラスターを上手く利用しながら上下左右に躱していく。

 あれから一週間、俺はうさぎからプレゼントされたシュミレーションで訓練を続けている。

 これのお陰で前よりも回避も旋回も軽く熟せるようになった。初めの方は毎度のようにリンチを受けてたが、今では弾道をある程度予測できるようになったし大半は勘で躱せるようになった。うさぎには後で礼の1つでも言っておくか。

 

 あと時々箒も来ているが、今日は部活で来れないとか、あいつ部活やってたのか。まあいい。

 にしても箒の奴も変だよな、一夏には秘密にして欲しいって、何が恥ずかしいんだ?これも『乙女の戦い』ってやつなのか?

 

「そこ!」

 

 俺はビームを右に躱しながらクロスマッシャー(ガンモード)を展開し、そのままドローン目掛けて弾丸を放つ。

 

 チュドォォォォォン!!

 

 そして見事命中した。

 

 ちなみに今はビーム砲を躱しつつ素早く動く相手ドローンを撃沈する訓練をやっている。基礎が出来上がってきたからだってさ。まあ当たんないけどな、さっきのもまぐれだ。

 あのドローンは自動修復プログラムがあるから撃沈しても暫くすれば治るらしい。全く、天才さまさまだ。

 

「やらせ!」

 

 ライザーファングを盾にしてビームを防ぐ。

 

 そしてそのままファングをドローンに向けて射出する。

 このライザーファングはちょっと頭で命令すればあとは自動でやってくれる優れものだ。自分で当てるよりも確率は高い。

 

 ザシュッ!ザシュッ!

 

 ドガァァァァァァン!!!

 

 そしてファングは浮遊してるドローンを全て切り裂く。

 

『コンプリート』

「そりゃどうも」

 

 キューブから発音のいい声が聞こえると同時に、辺りのドローンが粒子化される。

 さて、今日はこれでお終いだ。さっさとピットに戻ろう。

 

 それにしてもこのキューブ、小さいから持ち運びが出来て便利なうえにそれにISにも仕舞える。これなら何処でも訓練ができるというわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「零」

 

 ピットに戻った俺を待っていたのは、ジト目で仁王立ちしているレインだった。しかも低い声で俺の名前を呼んだ。なんか怒ってないか?

 

「レイン?どうしたんだよ?」

「どうしたじゃねえよ。今日は俺と一緒にやりあう約束だろうが」

「約束……あ」

 

 そういえば今日はレインと一緒に訓練をする約束をしてたんだった。シュミレーションに夢中になりすぎてすっかり忘れてたよ。

 

「ずっと教室の前で突っ立って待ってたんだぞ」

「ごめん……」

「……おめー、また例の訓練用シュミレーションとか言うやつやってたのか?」

「え?まあ、はい」

「……そうかよ」

 

 何だがレインが拗ねてる。約束破ったのはまずかったか。

 

「ごめんごめん、今度から約束忘れないようにするから」

「……そうじゃねえよ……たく」

「ん?」

「……もういい」

「おい待てって、怒らせたのはごめんって」

「怒ってねえよ」

 

 嘘だ、レインが低い口調で早歩きになる時は大体何か怒ってる時だ。

 小さい時にレインが大切にしてたゲーム機を壊した時もこんな感じだったからな。

 

 しかし約束のことじゃないとしたらなにで怒ってるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────────ー

 

 

「……えっと、これはどう言う状況ですか?」

 

 夕方頃、フォルテさんから呼び出しを受けて2人の部屋に向かった俺を待っていたのは、ベッドで体操座りをしながら俯くレインの姿だった。

 一体何があったんだ?

 

「とりあえず先輩から話は聞いたんすけど……聞いた限りだと零君が悪いっすよ」

「そうなんですか?」

「そうっすよ」

 

 フォルテさんは呆れ顔で俺を見る。そんなにやばいのか?

 

「とりあえず今日私は知り合いの部屋に泊まらせて貰うんで、詳しい内容は本人から聞いて欲しいっす」

「はあ」

「いいっすか?絶対謝るっすよ?先輩を泣かしたら許しませんからね?」

「あ、はい」

 

 そう言いながらフォルテさんは何処かへ行った。

 

 ……とりあえず聞いてみるか。

 

「…………レイン?」

「………………」

「もしかして今日の約束のこと、やっぱり怒ってるのか?」

「………………」

「俺もシュミレーションに夢中になりすぎてた、今度からちゃんと気をつけるから」

「………………」

「本当にごめん」

 

 反応してくれないか……。

 

「…………本当に悪いと思ってんな?」

「え?う、うん」

「……じゃあこっち来いよ」

「?」

「いいから」

 

 俺はレインに言われた通りに隣に座った。一体何がしたいんだ?

 

 ギュッ

 

「レイン?」

「うっせえ、今日1日こうさせろ」

 

 そう言いながらレインは俺を強く抱きしめる。いつもみたいに締め上げるのとは違って今回は結構優しい。

 

 その日はこうやってレインに抱きつかれながら眠った、次の日目が覚めた時には元のレインに戻っていた、結局何で怒ってたのかは教えてくれなかったな。

 

 そういえばこの一週間レインと訓練してなかったが……もしかしてそれと関係あるのか?まあ元に戻ったからいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『これじゃあ一夏のこと馬鹿に出来ねえじゃん』

『ハーレム主人公の運命ってやつかねー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────────ー

 

 

「zzz…………」

 

 零、昔っから寝顔は変わんねえな。こいつの寝顔見てるとさっきまで怒ってたのがアホらしくなってくるぜ。

 後でフォルテには礼を言わねえとな。

 

 にしてもよ、折角近くにいるのに流石に一週間もほったらかしにされたら俺もきついぜ。しかも相手がシュミレーションなんてよ…… そんな機械的な動きしかしねえもんより俺とやり合った方が経験になるだろこんちくしょう。

 

 

 それに最近の零、更識の野郎ばっかに構ってるし。この前なんて零の手料理食べさせて貰ってたし。

 

 

 よし、今度から俺ももっと攻めてみるか。

 

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