──────────────???
「へーーーイ!エブリバァディー!」
「「「イェェエエイ!!」」」
「そこのムッチリボディのみんなー!痩せたいかー!」
「「「イェェエエイ!!」」」
「モテモテボディに戻りたいかー!」
「「「イェェエエエイ!!」」」
「痩せるためなら中枢神経もクラッシュする覚悟はあるかーー!」
「「「イエェェェェェェイ!!」」」
「そんじゃー12時間休み無しエアロビクス!張り切っていくぜぇぇぇい!」
「「「イエェェェェェェェェェェェイ!!!!!!!」」」
その日、とある空間にエアロビクスの音楽が響き渡っていた。そしてその音楽に合わせて、目が血走った少女達と女性達が踊り狂っていた。
ちなみに彼女たちの前では、赤毛にところどころ黒髪が混じった少女が笑顔で踊っていた。多分楽しんでいるのは彼女だけである。
「痩せる!痩せる!」
「目指せあの頃ボディ!」
「おさらば皮下脂肪!」
「こ、怖ぇ……」
必死に叫び踊り狂う彼女達を見て、雷は恐怖を覚えた。
何故このような事態になったのか、それは数分前に遡る。
──────────────数分前
その日、白騎士と白式は黎と雷のもとを訪れていた。正しくは『その日も』 であり、あれから彼女達は毎日のように通っている。
その度にこうして、雷が手作りお菓子をご馳走しているのだ。
「どうだ?一応この前の奴を改造したんだが?」
「うん!前より全然美味しい!」
「……確かに」
「ふうー、良かったぁ。前の奴は本当に食えたもんじゃなかったからな」
「私もあれは……うん」
「……土団子だな」
「ひ、ひでえ……」
過去の作品とはいえ、手料理の味を土団子と呼ばれた雷は酷く落ち込む。
「あれ、でも白騎士あのクッキー美味しそうにむぐっ」
「?」
「何でもない、気にするな」
白騎士は白式の口を塞ぐ。何故かその顔はやや赤かった。
その光景に雷は首を傾げる。
「でもまあ、白騎士はいつも俺の料理沢山食べてくれるから嬉しいな」
「……そうか」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
突然、少女の叫びが響き渡る。
「う、嘘ですわ!こんなもの!」
「嘘よ……こんなのって」
「そ、そんな……」
「ところがどっこい、嘘じゃありません。現実です」
「そ、そんな……どうして……」
体重計の数値を見た彼女達は顔を青くする。
IS達は今日、とある1つのことを思い知った。
「まさかISも太るなんてねぇ、こりゃあ新しい発見だ。まあピンクボールじゃないし当たり前かー」
そう、ISも『食べすぎると太る』ということを。ちなみに全ての元凶である黎は薄々気づいていた。
「通りで最近服がキツいと思ったら」
「わ、私達にそんな概念が……」
「ちょっと!そんなの聞いた事ないわよ!」
「まあまあ落ち着きなすって先輩方、私たちって一応生命体だからねー、食べれば太るよ。特にティア先輩」
「は、はい?」
黎は背中からとあるものを取りだす。それはティアが普段食べているポテトチップスであった。
「そ、それは……」
「そりゃあこんなビックサイズのポテチ毎日食べてればそうなりまっせ」
「うぐっ」
ティアは自分のお腹周りに着いた、この前まではなかったはずの脂肪を掴む。
「あ、あんた……あんな油っこいもの毎日食べてたの?」
「だ、だって……皆さん美味しそうなお菓子ばかり食べているものですから……つい」
ティアはこのビックサイズポテトチップスうす塩味を毎日食べていた。毎日である。毎日食べればどうなるか、容易に想像できる。
「ティア……流石にそれはないよ……」
「む!そういうラムさん(ラファール・リヴァイヴカスタムⅡ)こそ!この前カップラーメンを3個同時食いしていたではありせんか!見ていましたわよ!」
「ぎくっ」
「さ、3個!?あんた何やってんのよ!」
「だ、だって……この前テレビでやってたから……つい」
ちなみにこれはティアやラムに限った話ではない。ここにいるIS達全員同じような事をしでかしているのだ。
食文化の発展は、同時にIS達の健康問題にも課題を生み出しているのだ。
「で、でも私達が太ったくらいでそんな支障なんて」
「でますよ?」
「え、でるの?」
「私なりに調べたところ、①IS自体が重くなって動作が遅くなる②スラスターを噴射してもなかなか進まない③ジャンプ力が低下する④肥満によりサポートが遅くなる、と言った支障がでます。こんなの下手すれば初期化行きでっせ」
「そ、そんな…………」
IS達は突きつけられた現実に絶望する。
「…………」
「へー、ISも太るのかー」
「わ、私も太っちゃったかな?」
「白式は育ち盛りだから大丈夫だろ。なあ?白騎士」
「……あ、ああ、そうだな」
白騎士は目線をそらしながら返事をする。
「そういえば最近白騎士も『鎧がキツくなった』って言ってたよね?」
「そうなのか?」
「お、おい白式!」
「…………白騎士姐様」
「姐さん」
白騎士の背後にティアと甲龍が回り込み、両腕を固定する。
「お、おい貴様ら!何をする!」
「姐様も測ってくださいまし」
「勿論鎧を脱いでね」
「貴様らぁ、私を何だと思っている!」
「それはそれこれはこれですわ!」
「さっさと測れや騎士さんよぉ!」
「は、離せ!って何だこれは、全然離れない」
白騎士は悪しきオーラを纏った2人に連行されていく。
「……なんだろうね?」
「さあ?」
────────────数分前終了
これが数分前の真実である。その後、黎が密かに準備していたエアロビクスセットによって、今IS達は脂肪を燃焼している。
「で、何でエアロビクスなんだ?」
「この方が手っ取り早く痩せるんだって」
その光景を脇の方から雷と白式は眺めていた。
ちなみに雷はそれ程食べていなかったため、今回のエアロビクスには不参加である。寧ろ彼は無意識のうちに白騎士に餌付けをしていたのだが。
「でもよ、白騎士ってお菓子とか食べてたのか?」
「ううん、全然、雷お兄ちゃんのお菓子しか食べてなかったよ」
「(試作段階のやつとか捨てたって聞いたのに……何でだ?)」
雷は白騎士が肥えてしまった理由を考えるが、彼には結局分からなかった。
「あ、白騎士」
白式が指さす方を見ると、そこにはIS達と共に踊る白騎士がいた。その姿は体操服であり、もはや騎士でなかった。
「白騎士ー!お前さー!何で太っt「ふんっ!」ぎゃっ!」
白騎士は数十メートル先にいる雷に電子出席簿をクリーンヒットさせる。
「うわー……」
「レディに対してデリカシーが無さすぎますわ……」
「(やれやれ、白さんも随分とツンデレなようで)」
雷の行動に、一部のISを除いた全員がドン引きした。