IS、零   作:歩輪気

22 / 41
??話目

久々の投稿です。今後の展開やシャルロットをどうするかで時間がかかりました。

今回はちょっとしたお話です。本編は次回投稿します。


??、??、食事

 ──────────────ドイツ

 

 ドイツ時刻正午。

 

 ここはドイツのローテンブルク内にあるとあるレストラン。中世の街並みを色濃く残しているここら周辺は、ドイツの中でも観光地として毎年多くの観光客が訪れている場所であり、いつもならこのレストランも繁盛しているはずだった。

 

 しかし、今の店内には清楚な格好をした男1人がご窓側の席に座っているだけで、他に客の姿はなかった。店内に流れるクラシック音楽に耳を傾けながら涼しい顔で目を瞑るその男は、何処か不気味な雰囲気を醸し出している。

 

「お待たせ致しました。シュニッツェルでございます」

 

 店員が男の座る席のテーブルに料理を運ぶ。このシュニッツェルはドイツだけでなく、様々な国で食されている料理であり、場所によっても使われる肉が変わる。

 

「ありがとうございます。もう1つの方は?」

「もう少々お待ちください」

 

 男が礼を言うと、店員は頭を下げて厨房へと戻り、次のシュニッツェルの調理を再開する。

 

「んー、遅いですねぇ……」

 

 男は時計を確認しながら声を洩らす。どうやら誰かと待ち合わせをしているようだ。

 

 

 

 

 カランカランッ

 

「いらっしゃいませ」

 

 数分後、店内へ新たなお客が入店する。白い布地に黄色い模様が染められた浴衣を纏った女性であり、彼女は入るや否や、うーんと言いながら店内をキョロキョロと見渡す。

 

「おおSさん!こっちです!」

「あら!Iさん!そこにいらしてましたか!」

 

 男、IはSを見ると、歓喜の声を上げて呼びかける。それに反応したSは、喜びに満ちた表情でIの元へ歩みよる。

 

「いやはや、時間になっても来ないので心配しましたよ」

「申し訳ございません、道に迷ってしまって。わたし、方向音痴なもので」

「以前も来ましたよ?」

「あら?」

「ふふ、Sさんは相変わらず面白い人だ」

「ふふ、それほどでも」

 

 IとSは互いに微笑む。

 

「さ、座ってください」

「ありがとうございます」

 

 Iは立ち上がると椅子を引き、Sはその言葉に甘えて着席する。

 

「あら?今日は他に人はいないのですか?」

「貸切です。折角のSさんとの再会のディナーなのですから、今日はゆっくりお話をしたかったのですよ」

「まあ、それは嬉しい。わたしもIさんと2人きりで話したいと思っていましたから」

 

 Sは手を合わせて笑顔を浮かべる。

 

「お待たせ致しました」

 

 とそこへ店員が新しいシュニッツェルを運ぶ。今回は鶏肉をあげているようだ。

 店員はIから会計分の紙幣とチップを受け取ると、そのまま笑顔で再び厨房へと戻る。

 

「まあ、美味しそう」

「Sさんが好きな鶏肉を注文させて頂きました」

「あら、覚えててくださったんですか」

「ええ、私にとってSさんは同業者です。大切なお方の好みの一つや二つ把握しておかなければなりませんから」

「大切なお方だなんて……わたしには勿体ないお言葉ですわ」

 

 Sは少し頬を染め、そんなSを見たIはニッコリと笑顔を浮かべる。傍から見ればまるで恋人のようだ。

 

「ところでIさん」

「はい、なんでしょう」

「何か嬉しいことでもありましたか?何だかいつもより笑顔が素敵ですよ」

「ふふふ、これはこれは私としたことが。つい顔に出てしまいましたか」

 

 Iは口元に手を当てて笑いながらポケットから端末を取り出し、小型空中ディスプレイを投影する。そこには、2人目の男性操縦者である巻紙零の写真が映し出されていた。

 

「あら、この子……例の男の子ですか?」

「ええ、そうです。例の博士からISを譲り受けたというあの子です」

「とても可愛らしい」

「……実は私、近々彼に会おうと思うのです」

「そうなんですか?」

「はい、どうにもこの気持ちが収まらなくて。1度お会いすれば落ち着くかもしれませんので」

 

 Iはカップを持ち、縁に口をつけて珈琲を飲む。

 

「めずらしいですね、Iさんがそこまで熱中なされるなんて」

「…………私、彼には……正確には彼と博士には感謝しているのです」

「感謝?」

 

 Iはカップを手前に置き、珈琲に映る自分を見つめる。

 

「戦場で命を終えるはずだった私がこうして珈琲を嗜めていられるのも、シュニッツェルを食せているのも、彼が現れてくれたおかげなのです」

「……そうですね、おかげでわたしもこうして──さんと一緒にいられる時間が増えたのですから」

「おおSさん、本名はダメですよ?」

「あらわたしったら、失礼いたしました」

 

 Sはほほほっと笑いながら謝罪する。

 

「……さて、冷めてしまいますから早速食しましょう」

「ええ、いただきます」

 

 2人はナイフとフォークを持ち、シュニッツェルを切り分けていく。

 

「そう言えば、今度のお仕事はここで?」

「ええ、主からのご命令で。なんでも禁じ手を犯そうとしているものがいるのだとか」

「それはそれは。ではわたしももうそろそろお仕事の連絡が来るかも知れませんね」

「はい。その時はよろしくお願いしますね」

「はい」

 

 パクッ

 

「(あら、美味しい)」

「(んー、これはなかなか……主にも食べて頂きたいものですね)」

 

 

 

 




原作買い直しました。

バラですが。

IとSは名前の頭文字です。ISのことではないです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。