──────────マドカの愚痴
「…………零」
私の名前はマドカ……初めの方で説明したから名前だけでいっか。
家族である零がIS学園に入学してもうすぐ3ヶ月は経つ。だが私にとってはもうそれ以上、まるで1年以上会えていないような気分だ。
正直に言うと零がいなくて寂しい。寂しいどころか苦しい。
いつも見ていた零の笑顔も怒った顔も泣きそうなのを我慢している顔も最近見ていない、通信越しで表情が見えることはあるがそんなの見たとは言わない。
それに朝起きてもあいつはいない。いつもなら隣で可愛い寝顔をしているはずなのに。
でも零の方は何だかんだ言って学園生活とやらを満喫しているそうだ。私がいなくても平気なのだろうか……。
本当は私だって行きたいさ、それで一緒に飯を食べたり一緒に寝たり一緒におふ…………はダメか……。
とりあえずできるのなら私だって一緒にいたい。でもそんなことすれば織斑関連で面倒なことに巻き込まれるのは間違いない、折角零が命をかけて助けてくれたというのに、そんな真似なんて出来ない。
それに一応夏休みに戻ってこれるとも言ってたし、もう少し我慢すれば会える。
…………でも
「零と一緒にいたい」
そんな気持ちが日に日に増していく。
そういえばIS学園にはレインも通っていたな。ダリル・ケイシーとかいう偽名で。
今頃零と一緒にお昼を食べたり食べさせたり食べさせあったり抱きついたり添い寝したりしているに違いない。
何だろうかこの気持ちは。凄く心がモヤモヤする。
それに最近心配していることがある。零が他の女子とイチャイチャしていないかどうかだ。
いや、女子校だから話すのは仕方の無いことだ。でももし他の女子と恋に落ちそのまま口付けやらをしてしまったら、ましてやそれが織斑千冬だったら。いや、零のことだから織斑千冬に恋をするなど。
でも、確か織斑千冬に見とれてたってレインが…………。
…………………………。
「M、あなたどこに行くつもり?」
「スコール……」
「勝手に零のところに行くのはダメよ」
「けど……このままだとあいつが織斑千冬の毒牙に」
ギュッ
「ムグッ……な、何をするんだスコール。いきなり抱きしめるなんて」
「貴方って子は、零のことになるとすぐこうなんだから。大丈夫よ、あの子は織斑千冬に恋なんてしないわ」
「……本当にそうだろうか?」
「あの子、意外と一途なんだから(まあ、どうなるかはあの子次第ね)」
────────────オータムの愚痴
零の野郎がIS学園に行ってからもうすぐ3ヶ月、ハッキリ言うとそれ程生活に支障はねぇ。いつも通り任務をやって帰って寝てる。
毎日食ってたあいつの美味い料理が食えなくなっただけでそれ以外はいつも通りだ。Mは随分と荒れてるようだがな、まあそれもそうだ、会ってからずっと離れず一緒に暮らしてたんだからな。
私か? 別に寂しくもなんともねえよ。
それにあいつは私の義弟だぞ? そう簡単にくたばりもしねえよ……まあ無人機はちょっとだけ心配したけどよ。
それに上からも何も連絡がねえから逆に命狙われてねえかとか、それくらいだ。
それよりもだ、私が1番心配なのはあいつがIS学園の女どもを取っかえ引っ変えしてねえかってことだ。だって女子校だぞ? 私とスコールみたいな関係の奴がゴロゴロいやがる上にそれと同じくらい男に飢えた野郎だっているんだ。あいつが女を侍らせて遊ぶクズ野郎になるかもしれねえ可能性だって高えわけだ。もしそうなったらぶっ殺してやる。
そういえば、レインの話じゃ今あいつと同室になってる更識楯無が零に対してすげーアプローチしてるらしいじゃねえか。更識家だか対暗部用暗部だか知らねえがよぉ、零の野郎を嵌めようってんならタダじゃ置かねえからな。
………………それにしてもよぉ、何で私への返信はこんなに雑なんだ? マドカなんて結構な量送ってんのに全部ちゃんと答えてんじゃねえか。私だって同じくらい送ってんのに、何で『うん』か『そうだね』ばっかなんだよ。スコールが送ってもちゃんと返信してるしよぉ。
昔はこんな奴じゃなかったのに。いっつも私の後ろをついてまわった、姉さん姉さんうるさいのなんのって、転んだ時も絆創膏したらありがとうって笑顔で答えたのに今では治療拒否する上に話すらまともに聞かないんだぜ? こちとらどんだけ心配してると思ってんだよ。
「なあスコール?」
「オータム、貴方ちょっと飲みすぎよ」
「こんぐらい飲まないと落ち着けるかってんだ」
「マスター、お冷。もう水風呂で構わないわ」
「かしこまりました、少々お待ちを」
「(オータムもM並に荒れてるわね)」
────────────スコールの愚痴
…………ええ、2人の愚痴を見てもらえばわかる通り、私はこの情緒不安定な2人に挟まれながら暮らしてるわ。
私も零のことは心配よ?
でも2人はいきすぎよ。零はそんなにヤワじゃないわ、それにレインもいるんだから……レインもちょっとあれだけど、問題はないわ、多分。
それにしてもおかしいわね、サイボーグなのに節々が痛い。何処か錆びてるのかしら。
「スコール! 零がドイツの兎に誑かされてるそうだ!」
あ、これね。
次回とその次でトーナメント編は終わる予定です。