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「…………で、他に言いたいことはあるかしら? 0」
「何でこんなことになったのか全くわからないです」
「貴方ねぇ」
今、私の目の前で零がスコールに説教されている、オータムは頭を抱えてなにやらウーウー唸っていた。
私たちに何があったか、何故零が正座しているのか、何故オータムが唸っているのか。それは今から数分前に遡る。
──────────数分前
「姉さん、それって前に盗んできたやつ?」
「その言い方やめろ0」
今日、オータムが数週間前にイギリスから盗……強奪してきたISを展開していた。何でもBTシステムとシールドなんちゃらを搭載した発展機だとか。それで上層部の奴がデータやらが目的で盗んでこいと命令したとか。
全くイギリスも秘密裏にとんでもないものを作るものだ。
「色々見てーもんは終わったからくれるってよ。お古ってやつだな」
「全く、こんなにISがあっても乗るヤツが居なきゃ宝の持ち腐れだっつうの」
「しゃあねえだろ、仕事なんだから。文句なんて言えねえよ」
そう言いながらオータムは零から飲料水を受け取る。私にも専用のISがあれば何か役に立てるのに。どうせならあのISを私に譲ってくれないだろうか? 少なくとも護身用に持ちたいものだ。
いい加減私だって本物のISを操作したいさ、零の……いや、何でもない。
「そういえば今度IS学園に男が入学するらしいわよ」
「あーあれだろ。ブリュンヒルデの弟とかいう奴。全く無駄な仕事が増えそうだな、こちとら最近休みすらねえっつうのに」
「…………」
ブリュンヒルデ……織斑千冬のことだ。そしてその弟は織斑一夏、私の元姉弟達の名前だ。オータムとスコールはあえて名前を出さない、私に気を使っているんだ。
織斑という名はとうに捨てたのに、やはり引きずってしまうものなのか。
「おいM」
「ん」
零に呼ばれて横をむくと、いきなり頬に冷たい感触が襲った。冷えた缶飲料だ。
「まーた嫌なこと考えてたろ」
「……まあな」
「……お前は織斑じゃない。マドカだろ?」
「うん」
「ならそれでいいじゃないか」
そう言うと零は私に缶飲料を渡す。相変わらず言っていることがよく分からない。でも昔から不器用なのは変わってないな。
「……ん? なんだこれ」
「どうした?」
ふと、零が何やら部品を拾う。
「なんだこれ、こんなものあったか?」
「いや、少なくとも昨日はなかったはずだが……」
「なあ、スコール姐さん! これ何かわかるかー?」
「えーなにー? あら、なにそれ」
「なんかそこに落ちて」
零が何か言いかけた次の瞬間、部品が突然光だし、零を一瞬にして包み込む。
「………………」
「「「………………」」」
「「「「……………………は?」」」」
光が止むと、そこにはISを纏った零がいた。
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これがさっき起こった真実だ。そして初めの方に戻る。
「正直俺は何もしてないよ。そもそも何であんな所にISが落ちてるんだよ」
「それもそうねぇ……ちょっとオータム、いつまで唸ってるのよ」
「唸らずにいられるかぁ!」
珍しくオータムが怒っている。ていうか泣いている。それはそうか。弟のように可愛がっていた零がいきなり目の前でISを纏ったんだから、でもそれ以上にオータムは零が実験室送りにされたり、他のメンバーから命を狙われるのを恐れているのだろう。長年一緒にいるからわかるよ。
「ん? 誰だ?」
突然零の端末に着信が入る。件名は書いていない、どこの誰か分からないものからだろう。
ピー……ピッ
と思ってたら勝手に通話が入った。新手のウイルスか?
『ハロ〜? やあやあ元気かな! 天才美少女束さんだよ!』
「「「………………」」」
「うわきっつ(束博士でしたか)」
『おいこら本音漏れてんぞ』
束……あの篠ノ之束か? 織斑千冬の友人とかいうあの天才科学者の。確か数年前に依頼してきたやつか。
「……はあ、なるほどね。詳しい事情はわかんないけど原因は貴方だったわけね」
『ピンポーン、大正解』
「なんつーことしてくれるんじゃこのクソうさぎぃ…………」
オータムがとうとう泣き始めた。
全てはこの天才の仕業だったという訳だ。何ともはた迷惑な天才なんだろう。織斑千冬も振り回されてることに違いない、そこには同情しよう。
「で? 何で俺にISを動かせるようにしたんだ?」
『ヒーミーツー、トップシークレットなんだなぁこれが。ま、この前クーちゃんとデートしてくれたそのお礼と思ってもらってOKだよ』
「ああ、あの時の……全然嬉しくないお礼だな」
……………………おい
「零、デートとはどういうことだ。あの時お前はデートじゃないって言っただろ? てかくーちゃんって誰だ?」
「ちょ、M、マドカ、どうしたんだ。いきなりつか…………が、ぐるし……」
「嘘ついたのかお前ー」
「あらぁ、Mも随分と成長したわねぇ(違う意味で)」
「ちくしょぉぉ…………零がどんどん遠くへ……」
『あ、そうそう。もう世間にはこの情報流れてるから』
「それはどうも(とんでもねえことしてくれたなこの兎)」
この日、2人目の男性操縦者「巻紙零」が誕生した。
この出来事が後に、彼を運命の歯車に巻き込んでいく(かもしれない)ことは、まだ誰も知らない。
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「いやぁ、今日もいい天気っすねぇ」
「そうだなぁ(零の奴から貰ったキーホルダー、どこつけっかなぁ)」
「ん? 何かニュースっスよ?」
「へー、どんなのだ? (こんどあいつに卵焼きでも作ってやろうかな)」
「なになにぃ……2人目の男性操縦者現る、だそうっす」
「ふーん」ゴクッゴクッ
「あ、しかも名前、巻紙零って言うらしいっす。先輩が言ってた零君と同じ名前っすn「ぶうぅぅぅ──ー!!!」うわっ!? きったね!? って大丈夫すか先輩? すげー豪快に吹いたじゃないすか?」
「ちょ、それ見せろ!」
「え? どうぞっす」
「…………マジ……かよ………………」プルプルッ
「先ぱ……ダリル?」
「あんのバカァァァァァァァ!!!」
「うわ!?」
────────────────ー
「これって……」
「さっき流れてきたものです……はあ、織斑君の件で忙しいのに何でこうも続けざまに」
「まあまあ飴ちゃん舐めて落ち着こうよ〜…………かいちょ〜?」
「お嬢様?」
「お〜い?」
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「男の操縦者が見つかったんだってー」
「へー、また面倒なことになりそうねぇ。ねえ隊長?」
「……………………」
「隊長?」
「おーい?」
「…………は、ああそうだな。面倒事が増えそうだ(零、まさかお前なのか?)」
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「束様! 凄いです! 零さんも操縦者だったんですね!」
「いやぁ束さんでも予想出来なかったなぁ」
「それじゃあ……今度一緒にお空で……」
「(娘の成長を見れるとは嬉しいねぇ……でもなんかクーちゃんから危ない匂いがするのは気の所為? ま、いっか。実験も成功したし)」
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「黎、何やってんだ?」
「愛する先輩方へのお土産の準備だよ雷、それと魂の師匠へのラブレター」
「誰それ?」
「秘密ー」
IS
クロスライザー
・束がプレゼントした零専用のIS。
・一応亡国機業側が手を回してレインと同じ企業が作ったことになっている。
・フルスキン
・見た目は脚と腕がごついテッカマンエビル。真っ黒で赤い目
・束の実験により生み出された世界初のデュアルコア(束しか知らない秘密である)
武器
・クロスマッシャー:大型の双剣。ガンモードに切り替え可能。
・ライザーファング:両肩についている大型のソードビット。硬いためシールドにも使える。
・小型ワイヤーブレード:両足両腕計4つ。
・ワイヤースラッシュ:胸装甲