体育館の裏で打ち合わせをしている間にみみみとの漫才の時間が近づいて来た。
「ああ、緊張してしてきた......帰りたい...」
「ちょっとー!ブレーーン、しっかりしてよ!ほら、元気出す!」
そう言ってみみみが思いっきり肩を叩いてくる。
「いったぁ!」
思わず叫んでしまうとみみみが慌てて口を塞ぎに来た。
「ちょっとブレーン、声大きいって」
「あ、ああ、ごめん...」
声を抑えて謝る。みみみはそんな俺を見るとふふっと微笑を漏らしてこちらをじっと見つめてくる。
「ど、どうしたんだよ」
正面から見たみみみの顔はやっぱり人形のように整っていて思わずどもってしまった。
「え、いや、えーとそのさ」
みみみもどこか歯切れが悪い。訪れる沈黙。
「「あのさ」」
見事にハモってしまい、思わず二人で顔を見合わせて笑ってしまう。みみみの隣だとテクニックとか、そんなもの気にせずに自然体で居られる自分がいることを感じる。
「ブレーン」
ここで再びみみみがこちらをしっかり見据えてくる。
今度は俺も落ち着いて、見据え返す。
「本当にありがとうね」
「え、ああ、別にそんな大したことじゃないし。俺も何だかんだで漫才楽しみにしてたしな」
「それだけじゃなくてさ」
「え?」
「生徒会選挙のときも、たまのときも......
ここ半年くらいずっとブレーンに助けられてる」
「別に、そんな感謝されるようなことじゃ......」
「いーや、そんなことないです!みみみはブレーンの孫の代まで感謝しています!」
ここで少しおどけた動きをしてくるみみみを見て、少し吹き出してしまう。
「生憎俺みたいな弱キャラには孫はできない気がするけどなぁ」
「大丈夫、その時は私との間にって......」
何かみみみがボソボソ言ってるが気にしないことにする。うん、聞かない方がいい気がする。
「とにかく!」
すぐに顔を上げてみみみが言葉を繋げる。
その顔には破顔一笑という言葉がぴったりな笑顔が光り輝いていた。
「友崎、これまで私のブレーンでいてくれて本当にありがとう!」
「なんじゃそりゃ、大袈裟だって」
テキトーに軽口を返すが、同時にその笑顔を見て、静かに俺も覚悟を決めた。
そうして出番をまっているとついにその時がやってきた。
「よし、やろう」
「おう」
俺とみみみは、にっと笑みを浮かべあう。
そして数分がついにその時が来た。
「続いては、TMレボリューションによる、漫才です!張り切ってどうぞ!」
しかし、そのコンボ名は初耳だった。
「なんだよそれ!?」
「あ、友崎とみみみだからTM!よーしいくぞー!」
頭の中でその名前を反芻させてみる。
「へー、悪くない名前じゃん」
「ええっ、私がいうのもなんだけどあんまりセンス良くないと思うよ」
「そう思うなら、別の名前にしろよ!」
俺は最後に緊張を払ってもらってステージに登った。