落ちこぼれ職業の英雄創作《ヒーロークリエイト》~知りたがりと怖がりとお人よしにチートを添えて~   作:葵 悠静

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第49節 割り込みと近接戦

「あんた急に出てきて何言いだしているわけ?」

「いや、話している途中に割り込むな的なことを言われたんで、僕としてはおとなしく待ってたんですけど、さすがにもういいかなって」

 

 グラフォスは右手に本を構えて羽ペンで何か書き込みを行いながら、ネオと会話をしていた。

 

「あんたあたしのことなめてんの? それともその子にしっぽ振ってたら何かいいことでもあるわけ?」

「別に損得関係なしに仲間が危なくなってたら助けるのは普通じゃないですか」

「グラフォス君……」

 

 アカネは涙声でグラフォスの背中に話しかける。グラフォスはさも当然といった様子で無表情のままネオと相対していた。

 

「あんたたち私を差し置いていい雰囲気になってるんじゃないわよ! そういうのが一番腹が立つのよ!」

 

 ネオはそう叫ぶと、周囲に発現させていた氷のつぶてを一斉にグラフォスの方に飛ばしてきた。

 

「詠唱なし……」

 

 今のどこを見ていい雰囲気と判断したのかまったく理解できなかったグラフォスは一瞬首をかしげるが、そんなことを言っている場合ではない。

 

「『リリース』『ウォール』」

 

 グラフォスは本を手に持ちそれ自体を向かってくる氷のつぶての方に向ける。

 すると魔法陣がグラフォスの体の何倍もの大きさに広がり、壁を形成する前に氷のつぶてと相打ちとなり、魔法陣と氷のつぶては両方とも霧散した。

 

「なによそれ!」

「やっぱり発動途中に強制的にキャンセルされると魔力消費が激しいですね」

 

 当然だが魔法は発動しているときが一番魔力の消費が激しい。

 それを途中で妨害されると、魔法を形成するために使用していた魔力が周囲に漏れて、通常の倍以上の魔力を消費するのだ。

 

 しかしこれくらいの魔力量の消費であれば、グラフォスの魔力保有量からすれば大した問題ではない。

 

「いろいろと聞きたいことがあるんですけど、そんなことも言ってられないですよね。『リリース』『ファイアソード』『ライトニングソード』」

 

 グラフォスは本を元の位置である体の横に戻すと、手を離して魔力を浮かせる。

 そして魔法陣の顕出と同時に火を纏った片手剣と雷を纏った片手剣がグラフォスの手元に出現する。

 

「へえ、魔法剣なんて使えるのね。でも素直に攻撃なんてさせてあげるわけがないじゃない! 私がいつだって一番なのよ!」

 

 グラフォスが二本の剣を手に持った瞬間にネオは両手を頭上に掲げ、氷の塊を造り上げると、それをグラフォスにぶつけようと投げてくる。

 

 しかしグラフォスはファイアソードをふるい、それをいとも簡単に両断するとそのままライトニングソードをネオに向けてふるった。

 

「距離が足りない……」

「なあに? その攻撃は。ほんとに私と戦う気があるわけ?」

 

 グラフォスがふるったライトニングソードの攻撃範囲ではネオに当たらない。

 ネオは当たらない攻撃を見て余裕そうに笑っていた。

 

 相手の方が射程距離が長い。というよりもこれまでの攻撃を見ている限り、遠距離の魔法を好んで使用しているように見える。

 

「それならこっちが近づくしかないですか……。あまり自信はないんですけどね」

「グラフォス君、待って。『オートヒール』『ヒーリングシールド』」

 

 グラフォスが何かしようとしていると感づいたアカネが後ろからグラフォスに向かって魔法をかける。

 

 するとグラフォスの体にオートヒールを使用した時よりも分厚い緑色の魔力がまとわれた。

 

「ありがとうアカネ。助かります。『リリースサポート』『パワー』『スピード』『フライ』」

 

 グラフォスがアカネの方をちらっと見ながら詠唱を開始すると、本から三つの魔法陣が出現する。

 

 その魔法陣はグラフォスの体に巻き付くように移動すると、そのまま霧散する。

 その直後緑色の魔力に交じって、グラフォスの体を黄金色の魔力がまとわれた。

 

「緋音! あんた私には回復魔法使わなかったのに、その男には使うのね! どういうつもりよ!」

 

「グラフォス君は……仲間だから!」

 

「……へえ言ってくれるじゃない?」

 

 アカネの悲鳴にも似たそんな言葉を聞いたネオの額に目に見えて血管が浮き出ていた。

 

 今の発言で完全にぶちギレてしまったようだ。

 ネオは完全に目が座った状態でアカネとグラフォスをまっすぐ見据えると、先ほどグラフォスに向かって投げた物より大きい氷の塊を二つ自身の頭上に出現させる。

 

 しかしそれを黙ってみているグラフォスではない。

 グラフォスは軽くジャンプすると、その体は宙に浮きそのまま空中を蹴り、ネオの方へ高速で近づく。

 

 ほぼ一瞬でネオの頭上に到達したグラフォスは、そのスピードに乗った勢いのまま手に持った二つの剣を頭上に掲げそのまま振り下ろす。

 

 ネオが投げる前に氷の塊はグラフォスの手によって切り刻まれ、その姿がかき消える。

 

 そしてグラフォスはそのままネオの腕を切り落とそうと速度を増して地面に向かって落下する。

 

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