アサシンズプライド~sister pride~ 作:レイラレイラ
本当にありがとうございます。
今回は短めです。
散々泣きはらした挙げ句、ロゼお姉ちゃんに抱きついていた私をクーファ君は優しく引き剥がすと彼とお揃いのトランクを差し出してくる。
彼が人当たりのいい笑顔を浮かべていたことから、もう任務は始まっているのだと認識させられる。
「マリア。この方がよくお話ししていたロゼッティさんですか?」
「え…………う、うん。そうだよ」
此方に向けられる視線から、『話を合わせろ』そう言われ、若干しどろもどろになりながらも答える。
「初めましてロゼッティさん。私はクーファ=ヴァンピール、マリアの義理の兄です」
「紳士だっ!」
「ロゼお姉ちゃん?」
ロゼお姉ちゃんからすれば初対面とはいえ、第一声がそれはどうなの? と素でツッコミたくなったけどジト目を向けるに留める。
私の視線が功を奏したのか、困り顔を浮かべつつ本来聞くべきであろう質問をする。
「…………リアの義理の兄ってどういうこと? それに『マリア』って…………」
「私にはマリアという実の妹がいたのです。しかし、不慮の事故で亡くなってしまいました。それが災いし、母は精神を病んでしまわれたのです。見かねた私は偶然出会ったマリアと瓜二つの少女…………リアさんに頼んだのです。母の心が安定するまでの間でいい、『マリア』として我が家にいてほしいと」
よくもそんな口から出まかせがほいほい出てくるなと呆れつつ、ロゼお姉ちゃんの顔色を窺うと驚きに包まれる。
「…………そっか、リアはそんな立派なお役目をまっとうしてたんだね」
てっきり『あたしの妹は身代わりのお人形じゃない!!』とか、そう言って怒りだすと思っていたのに。
静かに涙を流すその姿は妹が立派になったという嬉しさと、僅かばかりの寂しさを感じさせるもので。
「…………ロゼお姉ちゃん」
「リア?」
「再会できたのはとても嬉しい。だけど、今の私は『マリア』だから。私を拾ってくれた人たちに恩を返したいの。それで落ち着いたら…………一緒に、暮らそう?」
すべては話せない。
けれど、自分の役目を放棄するつもりはない。
叶わない願いかもしれないけど、私の心からの願いを込めて約束する。
「…………わかった」
涙に溢れた彼女の顔は満面の笑みに変わり、すべてを魅了する女神のように見えた。
「実はあたし、ひとりで不安でたまらなかったんだけど…………何よりも大事な妹と再会できたから勇気出た! そっちの親切な人もありがとね! …………リアのことよろしくお願いします」
「命に代えても」
「またどこかで会おうね!」
少しずつ距離が開いていく度、寂しさが膨らんでくるのを自覚しながら手を振り続ける。
会えないと思っていた人に会えた。それだけで私は充分に満たされた。
それよりも、今はやらなければならないことがある。
辺りに誰もいなくなったのを確認し、クーファ君に疑問を投げかける。
「…………何故、ロゼからお前の記憶を消さなかったのか」
聞かれることは分かっていたらしいクーファ君は先んじて答えてくる。
「ロゼを眷属にしたのはあくまでもオレだからな。お前に関する記憶は消す必要はなかった」
納得したかと問われるけど、理解は出来ても納得は出来ない。
色々と聞きたいことはある、でも、それは今やるべきことじゃない。
トランクを持ち、目的地のお屋敷に足を向けようとした私にクーファはただ一言呟いた。
「いいのか?」
聞かなくていいのか、ということならものすごく聞きたいけれど、もしかしたら私よりもたくさんのものを抱え込んでいるかもしれない子がいるのに、放置しておけるほど外道に落ちたつもりはない。
「そのうち話してくれればいいよ」
「…………そうか」
「それよりも、今はメリダちゃんのところに急ごう!」
「メリダ様、だ」
リアの容姿はデートアライブの或守鞠亜を参考にしています。