悟空は最初からスカウターをつけていませんが、侵略するために送り込まれて来ているのに持っていないのもおかしい話ですからね。
誰にも拾われず育っていたらポッドの中のスカウターを手に取っていたかも?
チュンチュン。
朝を伝える鳥の鳴き声。
昨日まで洞窟の中でサバイバルしていたのもあって、普段より落ち着きを与えてくれる。
コンコン
いやぁ…昨日は大波乱だった。悟空さの大猿化、悟飯さんとの対話…そして個人的に1番精神を使ったのは…
悟空さとのお風呂(しかもドラム缶風呂)!!!
おかげで快眠できたわたしは何時間も寝ていたようで…
コンコン
ほかのみんなは既に起きているようで、周りには誰もいなかった。
起きたんだし顔洗わないとな…
…にしても…
ガダンッ!
この音はなんだろうか。
足を音のする方へ運ぶと…おっ父がいた、と先程からなにやら修理してるようである。
「おはようおっ父、なにしてるだ?」
「おぉチチ!疲れは取れただか?兜に変な仕掛け施されてたの覚えてっべ?これはな、あれを直してるだよ。」
どうやら兜の不備を直していてくれていたようである。こちらとしては戦闘で困ってたし助かるんだけど…あれ元は何に使うようだったんだろう。
「それは助かるだよ!そういえばあの仕掛け、何に使う予定だっただ?」
「あー…あれはだなぁ………秘密だべ。」
「えっ!」
おっ父がわたしに隠し事とは珍しい…なんだろう?
ガチャ
「帰ったぞ〜!」
「あっ!おかえり悟空さ!」「おかえりだ」
考えていたら悟空さが帰ってきた!それも竹かごにいっぱい入っている山菜を背負って。
「あれ?じっちゃんはまだなんか?」
「え?オラは起きてから見てないだよ〜?おっ父わかるだか?」
「悟飯さんは薪取りに行ってるべ。にしても悟空の方が早いとは珍しいだなぁ。」
悟飯さん、どうしたんだろう?
◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆
一方その頃。悟飯は薪を取りに少し出かけていた。
というのは建前で、本当はとある場所に出向いていた。
「懐かしいのう…悟空を拾った場所…このすぐそばの宇宙船、やはり悟空はこの中から出てきたんじゃろか?」
ーーーーーー
悟空との出会いは突然だった。
当時山菜を取りに、竹かごを携えて出かけていた悟飯は道中で遠くに何かが落ちるのを見た。気になった悟飯はそっちの方向へと進む。すると…
ふと、幼い声が聞こえてきた。
『んんっ?こりゃ驚いた!赤ん坊じゃ!一体どこから…』
この辺りに赤ん坊は珍しい。捨て子か?それはない。だとしたらわざわざこんな辺境の地に捨てには来ないだろう。
赤ん坊を持ち上げると悟飯はあることに気づく。
『ほーっ!尻尾のある赤ん坊か!ほほほ、こんなとこに置いておく訳にはいかんなぁ…』
珍しい尻尾のある赤ん坊だったのだ。獣人とのハーフだろうか?そのまま放っておく訳にもいかず、奇妙な巡り合わせも感じた悟飯は…
『よし、ワシの所へ来るか!』
赤ん坊を育てることにした。
ゲシッ!
赤ん坊は大変元気なようで、抱き抱えあげられながらも楽しそうに暴れている。暴れているその幼い足で悟飯を一蹴り。
『ほほ、元気な子じゃ!よぅし、これからのお前はこのワシ、孫悟飯の孫じゃ。よいな?』
悟飯も気に入り堂々と孫宣言である。
と、孫となると当然名前が必要になってくるので…
『お前の名前は…ふぅむ……
よし、悟空!孫悟空じゃ!!!』
こうして悟飯は赤ん坊と出会い、赤ん坊は悟空と名付けられたのであった。
ーーーーーー
「うぅむ、懐かしいのう。たしかあの出会いの後すぐにこの宇宙船を発見したんじゃったか…」
悟空と出会った当初も、周りに人や車の形跡が全くないのを見るにあの宇宙船から出てきたと断定まではしていた。
周りにクレーターができるほど酷く地面がえぐれていたのを覚えている。
「この宇宙船、中身を見るのは初めてじゃのう…」
しかし中を細かく見たことはないようで、今回はそれが気になってここまで来たのであった。
恐る恐る中を除くと、簡素なクッション、そして機械のような物がはめこまれていた。
「なんじゃこの機械は…もしチチの話が本当なら、この機械は悟空に悪影響かもしれん。」
宇宙船にはめ込まれている機械は一定のタイミングで音を出しており、聞く人によっては目覚まし、警告音、様々な音に聞こえるだろう。
悟飯は考えた。もしこの機械が悟空に脳指令を送っていたとしたら…
考えただけでも恐ろしい。
そういえば悟空は拾ったばかりの頃は頭をうつまで凶暴な性格だった。悟飯はそれもこの機械の電波のせいだと考える。
頭をうつ前は本当に凶暴だったとは知る由もない。
「この機械め!悟空を悪の道には行かせんぞ!」
ピピッ!
どうやら機械を壊そうと掴んだら、ボタンを押して起動させてしてしまったらしい。
「!!!」
『…絶…に…生…延び………ぞ…!』
長年放置による劣化の結果か、何を言っているのかはわからないが。あらかじめ入っていたメッセージであろうか、それとも通信であろうか。
ピッ…スト…
またボタンを押して…おそらく電源は切れたであろう。ゆっくりと元の場所に戻した。
悟飯は壊そうとしたが、やめた。
あのメッセージは少なくとも自分に当てられたものでは無いと理解している。おそらく…悟空に向かってのメッセージということも。
そして真実を悟空に伝えるまではこの機械も隠しておくことにしたのだ。
「ふぅ……やはり、悟空は宇宙からの使者…なのじゃろうな。しかし…どんな宇宙人の子であろうと必ず良い子に育てる、それがワシの役目。悟空は悟空じゃからの!」
覚悟を決めた悟飯は天に誓う。
今の悟飯ならたとえ真実を知ろうが意志を曲げないであろう。
果たしてあのメッセージを悟空に聞かせる日はくるのか。
「…さて、薪を取るとするかの。」
平常心を保つ悟飯。
しかし悟空の本当の家族のことを、少しだけ考えてしまうのであった。