エイジ739年
あれから2年の月日が経った。
あの事故で私はやっぱり死んでいたらしく、そんでもってどういうわけだかチチになって生まれ直していた。
長い間混乱していたが1週間と3日ほどで自分がいつまでも混乱しても仕方ないと気づき、未練タラタラ今後を考えていくことにしたのだ。にしても輪廻転生とはこんなに早いものなのだろうか…?しかも漫画のキャラクターになっているだなんて。こんなことがありえるのだろうか?
「チチ、今日は2人でピクニックに行くだよ!最近あんまり構ってやれなかったからなぁ!」
そして今話してるのが現・私の父の牛魔王。
ゴツめのガタイで重装備をしてる大男だ。
生まれた直後に困惑してる中、急にこの顔で覗きこまれた時は死ぬほどビックリした。でも普段つけてるヘルメットを外したら凄い優しそうなお顔で、安心感がある。これは自分の父という色眼鏡無しで考えてもそうだろう、本当に優しそうだ。まぁ原作通りなら悪事を働いているが。
そんでもってこの人は…私を産んですぐ他界してしまったお母さんの代わりに育ててくれてるのもあって、とても家庭的だ。これで悪魔の帝王と言われても…ってくらいには。
「おっ父と外行くの楽しみだべ!」
私も私でチチになりきっている。というか一緒に暮らしていたらこの方言?みたいな言い方が根付いてしまったのだ。
「準備はいいだか?」
外出用の服を…服というかアーマーをまだ装備してなかったので父が聞いてくる。
「すぐに外さ出る準備するだよ!待っててけろ!」
どこかで見たようなデザインのビキニアーマーをつける。これ、頭のサイズはまだしも2歳の体に合う形のビキニアーマーってすごい…ちなみに来年、再来年の私の成長を見越したアーマーもすでに製作済みらしい…。
ドラゴンボール好きなら知ってるかもしれないが、このヘルメットの上の部分は取り外し可能であり、そんでもってヘルメットの正面宝石部分からはビームが出る。
ちなみに取り外せる部位の名前は【アイスラッガー 】と言うらしい…あれ?
「準備できただよー!それでおっ父、今日は何処に行くだ?オラ山は普段からいるし海とか行きてぇだよ。」
露骨な誘導である。牛魔王の知ってる海にゆかりのある場所といえば…そう!
「そういえば武天老師さまが今は海に住んでるとか聞いたような…よし!じゃあ今日は、オラの師匠の武天老師さまのところに行くだよ。チチは海とか島とか行ったことないべ?きっと楽しいだよ。」
ということで、やっぱり亀仙人のとこへ行くらしい!これは嬉しい。
ただのピクニックだと思って内心そこまで興奮していなかったのだが、これから亀仙人に会えると思うとワクワクしてくる。
「ホントだか!?亀仙n…けほん!海や島に行けると思うとワクワクするだよ!」
危ない危ない。
「楽しんでくれそうで良かっただ!なら連絡とってみるな。少し待ってけろ!」
プルルルルルプルルルルルル…
『もしもし。』
牛魔王…もといおっ父は、私にも聞こえるようにわざわざスピーカーにして話してくれている。
おお!電話越しでもわかる、たしかにこれはあの亀仙人の声だ、宮内幸平ボイス!早く私も話してみたいものだ。
「オラです。武天老師さまの弟子の牛魔王です。」
『おお、牛魔王か!久しぶりじゃのう。にしてなんの用じゃ?』
「実は報告というかその…2年前、オラに娘ができたんです。」
『な、なんと娘が…!そういうことはもっと早く言わんか!!』
『是非会いたいのう。…して、用は近況報告だけじゃあるまい?』
「そうですなー。さすが武天老師さま!全てお見通しだべ?今日は娘と2人でピクニックに行きたくて…」
『ほうほう。そういえばお主、妻はどうした?一緒に行かんのか?』
あっ、今のおっ父にその質問はまずい。
「うっ…妻は…娘を産んですぐ…」
『なぬ!…それはすまないことを聞いたのう。』
「いえ、最近立て直してきたので大丈夫です。」
『…』
「…」
私を産んですぐ逝ってしまった私のお母さん、つまりおっ父の妻の話をすると…未だに死を引きづってるみたいで、ネガティブな雰囲気になってしまうのだ。大切な人だったのだろう、まだ立ち直れずにいる。
『そ、そういえばピクニックに行きたいらしいの?で!なんじゃ?お誘いか?』
「いや、ピクニックといっても海にピクニックに行きたくて。武天老師さまが今は海に住んでるって風の噂で聞いたもんで、娘もピクニックに行きたいと言っているしせっかくの機会ですし…伺いたくなりましてね。」
『なるほどのぅ。そういうことなら大歓迎じゃ!場所は…』
ふんふん、どうやら無事カメハウスに行けることになったみたいだ。ちなみにうちは原作通り中々裕福な家庭らしく、ジェット機があるので今すぐどこへでも飛んでいける。
「準備はいいだな?いっちょ行ってみるべ!」
ヒュウウウウウ…ブルルッ!
外に出てみるとビキニアーマーだからか少し肌寒いが、まぁ牛魔王いわく【正装】らしいので仕方ない。仕方…ないんだと思う。
それじゃあジェット機に乗り込みいざカメハウスへ!
このとき、まさか帰ってきたときあんな惨状になってるとは思ってもいなかった…
◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆
一方その頃、亀仙人の家にはすでに2人より先に牛魔王の兄弟子に当たる悟飯が来ていた。
「武天老師さま。今回はどのようなご要件のお呼び出しで?」
「なぁに、牛魔王のやつが最近流行りの【海ピク】とやらでコッチに娘を連れて来るらしいからのう。お主の存在はいわばサプライズじゃ。互いに久しぶりに会えて嬉しかろう!」
亀仙人は偉大な師ではあるが、簡単に言ってしまうと普段は呑気で変態で…相当な場面の時以外はこのようにおちゃらけているのだ。そんでもってその弟子である悟飯や牛魔王も勿論、普段はおちゃらけている。
ただ、ひとつ言わせてもらうならば…弟子視点からすると、厳格な師匠等よりはよっぽど良いと思われる。人生、楽しまなきゃ損なのだ。
「な、なるほど!牛魔王ですか。にしても牛魔王に娘がいたとは…これは会うのが楽しみですなぁ。」
そして悟飯もチチの存在を知らなかったようで驚きを隠せない。そして悟飯はなにか思い出したようで、亀仙人に伝える。
「あ、亀仙人様。そういえば私にも息子ができましてな。」
「なっ!なんと!!それは誠か?」
「はい。と言っても実の息子では無いんですがね。」
そう。皆さん知っての通り悟飯には、これから十年後に摩訶不思議な大冒険を繰り広げる息子がいるのだ。
◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◆
ピンポーン!
そんな会話をしていると呼び出しのドアホーンの音が聞こえてきた。
「牛魔王や!久しぶりじゃのう、さあ入れ入れ。」
亀仙人はサプライズの悟飯に奥に隠れてもらって、ドアを開きお出迎えする。
「お久しぶりです。そして紹介します!オラの娘のチチです。」
「オ、オラ牛魔王の娘のチチだべ!よろしくだよ!」
元気そうな牛魔王の娘がちんまりとながらも、きちんと挨拶してきた。
そして亀仙人もそれに応え挨拶しようとするが…
「なっ!これ牛魔王!お主は…」
その格好に驚きを隠せない。牛魔王がヘルメットやアーマーをするのは今の職場上帝王をしているし、戦闘したりするのでまだわかるが…まさか娘にまでそんな格好をさせるとは。さすがの亀仙人も予想していなかったのである。
「これ牛魔王!娘になんちゅう物を着させてるんじゃ!」
「あ、やっぱり変だか?一応オラの娘ってことでこの格好が正装として似合うと思ってただが…すまねぇだ。」
当たり前である。彼女はまだ2歳だ。
こんなアーマーを戦闘のせの字も知らない娘に着せるとは。重いだろうに。
でも亀仙人が驚いた理由はそっちではないようで…
「し、しかもこれはビキニアーマーじゃろ。幼い頃から認識をズラして将来ムフフな女に…!?お主…やるではないか!さすがワシの弟子なだけある!」
「へっ?」「?」
そう、亀仙人はそういう人である。
そんなどうでもいい会話も終わり、晴れて中へ迎え入れられる2人。そして家にはサプライズで悟飯がいたのだった。
「久しぶりですな!牛魔王!」
「悟飯さんもいるでねえか!お久しぶりだべ」
「そして初めまして、牛魔王の娘よ。たしか名前は…チチといったかな?」
「そうだべ!」
「いやぁ、まさか悟飯さんもいるとは思ってなかっただよ。」
牛魔王はまさかのサプライズに喜んでいるようだ。
そしてチチはさっきから心の中で牛魔王より喜んで…
『まさかホントに会えるなんて!』と歓喜している。
原作の登場人物2人に一気に会えるとなると、原作ファンからしたら感涙ものであろう。今後悟空に会った時…彼女は一体どうなってしまうのであろうか。
「え、えっと!その!…握手してもらっていいだか?」
彼女は原作でも重要なポジションの亀仙人、本編開始頃には死んでしまう関係上レアキャラな悟飯の2人に握手を求める。滅多に無い(というか普通ならありえない)光景なので自分をうまく抑えられないのだろう。
「勿論じゃとも!」「いいぞい!」
こうして、プニプニの手とシワシワな手が握手をした。
原作では牛魔王は亀仙人のいる場所を知りませんでしたが…腐っても師弟関係、電話くらいはしてそうだと思ったので電話で場所を聞くという形にしました。
※ヘルメットやアーマーの表記が兜や鎧などになっていて曖昧でしたのですべてヘルメット、アーマーに統一しました。