チチに転生したので理想の妻を目指す   作:丹碧のブルーメ

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そろそろ原作に近づきます


21話

あれから数日。今日がその【今までとは毛色の違う修行】の開始日らしい。

 

「よいか!今回お主達には、このパオズ山の下の村にお使いに行ってもらう!」

「え?」

 

ハッキリ言って拍子抜けだ。絆を確認した後にすることが下町へのお使い???

 

「やんだーっ!んな冗談やめてけろ?」

「冗談じゃないぞ。お使いといっても下の村までは距離もかなりあるし、なにより道中に色々な生き物もいる。

 

そしてなにより!悟空と一緒の状態で下の村に行き、帰ってくる!これがなにより大変じゃぞ!」

 

「…なんで大変なんだ?」

 

 

 

 

「…悟空お主、計算はできるか?」

「いっ?さんすう?の方はこれからそのうちやっからさー…」

「男と女の見分け方は?」

「パンパン!!」

「知らないところから戻れる自信は?」

「ない!!!」

 

「チチ、こういうことじゃよ。」

 

…どうやらとんでもない難易度のお使いらしい。

絆を確認したのはそんな悟空さを全面的にサポートできるかのテストだったのかもしれない。

むしろあのとき助けられたのはわたしだったのだが。

 

「今回は悟空を手助けするのが、チチにとっての修行じゃな。」

 

あ、この人修行で悟空さの弱点を無くす気だ。

それはいいのだがわたしに悟空さの弱点の克服を押し付けてないか…?

 

「山の外楽しみだなチチ!」

「そ、そうだべな!」

 

「ある程度の道筋はこの紙に記しておいた。頑張るのじゃぞ!」

 

不安です。

◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆

 

下の村といってもかなり離れているようで、もう夕方なのに一向に村が見えず、歩きっぱなしだ。

 

「まだつかねぇみてぇだな」

「全く下の村が見えねぇだよぅ…」

 

不安が増えていく。道を間違ってないか、危険な生き物はいないか、そしてなにより村についたときの悟空さへの不安。

 

「なんかチチ疲れてねぇか?あんだけ普段山駆け巡ってるし、オラは平気だぞ?」

「いんや、疲れてるのは身体面じゃなくて精神面だべ…」

「???」

 

悟空さはけっして頭が悪いわけじゃないし言い聞かせればわかってくれるはず。

とりあえず第1に教えた方がいいのは不用意にパンパンしないってことかな?

計算はわたしがやればいいわけだし。

村についたらどうしようか…

 

「おう!!待ちな」

「「え?」」

 

と、ここでまさかの待ったがかかった。一体誰かな?

と通せんぼしてきた人を見ると、なんと獣人。

しかも片手に剣を携えて、明らかにこっちに威圧しているのだ。

 

「そこのガキ二人!大人しくしてれば痛い目にはあわせないからよ、ついてきてもらおうか。」

 

見た目はクマ寄りの獣人だ。それに武器を持っている。

普通の人だったらこれだけで恐ろしいし、なにより着ているものも山賊っぽい。

普通の人だったら言うことを簡単に聞いてしまいそうだ。

 

「べー」

「ちょ、ちょっと悟空さ!」

 

悟空さはなんとそんな相手にあっかんべーをした。

勝てる相手だろうけど、こちらとしてはできる限りトラブルは起こしたくないからやめてほしい。

 

「まさか逆らおうってんじゃないだろうな?」

「そのまさかだ!」

シュイッ!

 

「あっ悟空さ!もー!」

 

こうなったらもう戦うしかない。殺さない程度に…軽めの攻撃をくらわしてやるとする。

目的は相手を降参させることだ。

 

「そおりゃあ!」

 

獣人は剣を素早く振るってきた!だけども、残念ながらそんな斬撃が悟空さに当たるわけがない。

 

「おーい」

 

かわした悟空さが煽る煽る。

と、わたしも見てるだけじゃダメだ。

 

「ぐへへへ…すばしっこいじゃねぇか!よく俺の攻撃をかわしたな。」

 

「オラのこと忘れてねぇだかー!」

「!?」

 

わたしも戦うとは思っていなかったであろう獣人は、こちらに隙をみせていた。こんな絶好の機会逃すはずがないのだ。

 

「てりゃー!」

 

足元がお留守だったので、その太い脚で立ってるところを問答無用で引っ掛ける!

まさか足側を攻められるとは予想もしてなかったのか、簡単に転んでくれた。

 

「おっ?ぐあっ!」

 

転倒してくれたなら、もう勝負はついたようなもの。

なぜなら悟空さが簡単に顔を殴れる位置まで来たからだ。

 

「オラの拳はいてーぞー?にひひ!」

 

「ひっ!す、すまなかった!!!何でもするから許してくれ!」

 

勝負あり!!!

 

◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆

 

こうして悟空さの脅しもあって、山賊っぽい獣人を降参させた私達は1日家を借りることにした。

 

あれからわたしは夕飯を取ってくると言って狩りに出かけて、大物のクマをしとめたところだ。

こういう仕事は悟空さが多めだったし、なによりわたしも頑張らないと!と思ったので悟空さには獣人の家で待ってもらってた。

天地がひっくり返っても獣人に悟空さが負けることはないだろうし、一対一でも平気だろう。

 

〜〜〜

 

「こ、こんなことでほんとにええんですかい?」

「ちょうど夜も近かったからな!助かったぞ!チチが帰ってきたら起こしてくれ!」

 

帰ってきたところに、壁越しに会話が聞こえてくる。

会話から推測するに悟空さは寝かけているようで…

 

「ふ、へへへ。それじゃあぐっすり眠ってくだせぇ…」

 

 

シャキィン…

 

 

今、武器を持った音が聞こえた。これは…さすがに乱入した方が良いとみた。

 

「悟空さー、夕飯取ってきただよー!」

 

「!?」「…ん?おーチチー!」

 

「獣人さ、これは…なーに持ってるだぁ?」

 

「こ、これはその…」

 

獣人は剣をそのデカい図体に隠して、完全に困っている様子。

どうやら寝ている悟空さを襲おうとしていたようだ。

どう攻めてやろうかと考えていると…

 

「で、チチ!夕飯なんだ?夕飯!」

 

あ、悟空さからワクワク顔で夕飯を聞かれた。悟空さ、アレの鍋好きだったなぁ…喜んでくれるかな。

 

 

 

「それはだなぁ…

 

 

 

ク マ だ べ !」

 

「ひ、ひーーーっ!もう逆らいませんっ!!!」

 

あ…そういえばこの獣人、クマ寄りの獣人だった。

図らずとも脅しをかけるような形になってしまったが、まあこれでこれからはこの獣人が反逆することも無いだろう。襲ってきたのはあちら側だし、言うことを聞いてくれるらしいので利用したまでだ。

なぜかこっちが悪役みたいになってるけど、悪くないよね?

 

◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆

 

うーんいい朝!

あれからは安全な夜を過ごせたし、普通に寝れた。

獣人もさすがに堪えたようで、一切攻撃しようとしてくることはなくなった。

 

「チチ様!悟空様!お気を付けて!」

 

なんなら態度がこんなことになってしまっている。

今日は快晴だけど、そのくらいこの獣人の態度も綺麗になった。清々しいくらいに…

わざとじゃなかったけど、あの脅しは我ながら恐ろしいと思う。少し申し訳なさもあるくらいだ。

 

「あいつ急に態度変えて変なヤツだなー」

「いいから行くだよ!さすがに今日このまま歩けば昼間くらいに着くはずだべ。」

 

【今までとは毛色の違う修行】は始まったばかりだけど、色々ありつつも今のところは順風満帆だと思う。

 




見る人が見たらこの2人はナチュラルサイコに見えるかもしれませんね…
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