涼景山炎上事件。あれから2年が過ぎた。
あれから従者達は鎮火された話を聞きつけて帰ってきて、おっ父も約束通り悪事を働かず、城の復興作業に務めている。
「チチ、今日は悟飯さんのところに行く日だぞ!覚えいてるだか?」
「もちろんだべ!」
実は悟飯さんのところもとい、パオズ山に行く約束をこの前取りつけていたのだ。表面上は同年代の子供と会えるから喜んでいるように見えるだろうが…それは違う。
物語の主人公に会えるから、悟空に会えるから、将来のお婿に会えるから、未来の旦那に会えるから…喜んでいるのである。
「んへへ…笑いが止まらねぇだよぅ…」
いや、ホントに。今日悟空に会えると思うと狂ってしまいそうだ。
「はは、そんなに同年代が恋しかっただか!昼には出発するから楽しみにしておくんだべ?」
「わかっただ!」
私は今から楽しみで仕方なかった。
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一方その頃…
パオズ山孫悟飯の家にて
「悟空や。薪割りは終わったね?」
「おう!オラばっちりだぞ!」
孫家は朝のいつも通りのサイクルをしていた。孫悟飯の息子、孫悟空は4歳児なのにもかかわらずもう薪割りや魚釣りを手伝っている。はっきり言って異常である。
「悟空はまだ4歳なのにえらく働き者じゃのう…まったく、ホントに自慢の息子じゃよ」
「へへっ!」
悟空は実の所本当の息子ではない。ある日空から突然落ちてきた宇宙船の中に入っていた赤子である。しかしそのことを悟飯は伝えていないので、無論悟空は悟飯を本当の親だと思っているし自分を本当の息子だと思っている。
「そういえば悟空や、今日は来客がくるぞ。」
「らいきゃく?なんだそれ?うめぇんか?」
悟空は山で修行僧のような生活をずっと続けているので、知っている知識は山のことと悟飯から教えてもらっていることだけだ。この環境が将来の世間知らずさに影響しているのだろう、悟空の根は賢かったりするのだ。
「ここにくる人のことじゃよ。お客様じゃ、粗相のないようにな。」
「わかったぞ!」
悟空は言うことを素直に聞く心の清らかな良い子である。しかし拾ったばかりのころはそうではなかったようで…ある日悟空が頭を打ってから別人のように変わっていったらしい。
「さぁ、早速持て成すための食材を取りに行くぞ!ワシが山菜、悟空は魚じゃ!はたしてどちらが早いかのう?」
悟空はなぜだか勝負が大好きで、普段消極的なものでも勝負にすると積極的になる。例えば【お医者さんの注射】だ。過去に何度かお世話になったことがあるのだが、悟空は注射が大嫌いである。しかし注射の痛みとの勝負に勝てたら悟空は強い!ということにすると、なんと自分から進んで受けに行ったのだ。とんだ負けず嫌いである。
「オラ、じっちゃん相手でも負けねぇぞ!」
というわけで、こうして今回も勝負事ということにして悟空に釣りに行かせる悟飯であった。
かくして2人は食材を取りに出かけた。
ステテテテテッ
「じっちゃんに負けないようにとびっきりの早さで魚捕まえて帰ってみせっぞぉ!」
悟空はいつものように下流へ行って魚を釣る準備をし始めた。といってもしっぽで釣るので、準備は魚を入れる竹かごだけだが。魚も1匹なら素手で連れ帰れるのだが…なんせ今回は『来客』の分も合わせて4匹も持ち帰らねばならない。巨大魚なら2匹か。なので竹かごは特大のサイズで、巨大魚でさえ余裕で何匹も入るサイズにしてある。
しっぽを川の中に落とし…魚が来るのを待つ。しかし…
「…」
キィィィィィィン
なにやら聞きなれない音が聞こえる。思わず目を開けると…
「い!?なんだありゃ!?翼竜の一種か?」
空に黄色い謎の飛行物体が。そしてその飛行物体は標高こそ高いが、凄まじい速度で遠くからこちらに来ているようだ。
「よぅし、作戦変更だ!オラあの翼竜を捕まえてやるっ!」
無知とは恐ろしいものである。
◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆
私たちはジェット機で悟飯さんのお宅へ行くためにフライト中である。
にしてもこの世界の風景はホントに綺麗で、まるで物語の中の世界みたいだ。まぁ前生きていた世界ではホントに物語ではあったが、今は限りない現実だ。
この世界、いつか舞空術で直接飛んでみたいものである。
そして風景が原作の1話ら辺の雰囲気に変わってくる。竹に川に山岳に…ふかーく深呼吸したくなる、落ち着ける良い景色だ。
「おいチチ、見えるだか?あそこが悟飯さん達の家だべ!」
悟飯さんの家の周りはとても自然豊かで、この前まで燃え盛っていたせいで何も無い涼景山とは大違いである。
そしてあの特徴的な小さいお屋根の家は…!!!
「見えるだよー!あそこだべな?」
原作でも悟飯の形見がおいてあったすべての始まりの場所、あの家は間違いなく孫家である。
「おぅそうだ、まちげぇねぇだよ。じゃあ下降するけろ、準備はいいだか?」
「もちろんだべー!」
私はここまでハイテンションになったことはないと思う。なんせ主人公の家がもう目の前にあるのだから。しかしいいことばかりではないようで…
ガコン!
「へっ?」「な、なんだべ!?」
何かが当たった音がした。
ぶつかってきた棒、一体何棒なんだ…?