まさか、というべきか、やはり、というべきだろうか?
派遣された部隊は後方要員を除き、殲滅されてしまった。
何があったのか、当初は誰もわからなかった。
通信が途絶してしまったからだ。まるで誰かが真実を知られまいとしたかのように。
とにかく、全滅してしまったのだ。
だが、幸運にも、鉄華団団長の最期の言葉だけが届いた。
「・・・当たんじゃねえか・・・」
それ以外に何も報告はなかった。
この戦いは終末戦役と呼ばれることになった。
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地下シェルターの地上部分には隠された監視カメラがある。
かなり性能の良いカメラで、百キロ先の爪楊枝も確認できる。
「・・・羅輯よ、お前さんの予想通りだったな」
「ああ。これではっきりした。管理局は勝てないってね」
あの淫獣は設定的には超文明の端末である。
その超文明は宇宙のエントロピーでさえも調整できるほどの文明だ。
管理世界文明など、足元にすら及ばないだろう。
事実、百隻の戦艦は淫獣たちに乗っ取られ、強制的に着陸させられた。
おそらく、戦艦に搭載されていたAIは即座に破壊されてしまっただろう。
それからは魔法少女たちによる虐殺祭りだった。
管理局員が一生懸命に戦ったのは言うまでもない。
しかし、彼女たち一人一人は普通の武装隊よりもはるかに優秀だ。
それが何十人と集まれば、この遠征隊といえど、ひとたまりもない。
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羅輯たちも知らなかったことだが、彼女たちは管理局の侵攻を知っていた。
丁儀の研究所にテレビがあったことを誰もが忘れていたのだ。
しかも、パソコンもあるのだ。もちろん、ネットに接続されたものだ。
「ふむふむ、これは続きが気になるね」
柊ねむは戦いに備えて英気を養うために、おりびえ革命以降のアニメを見ていた。
おりびえ革命以降のアニメはどれも人間賛歌が主題で、彼女の世界では珍しかった。
「革命以前はどんな作品があったのかな?」
彼女は使フレ(1)と煙花を見つけた。
「ねむ、何を見てるの?」
「この世界のアニメだよ。何だかおもしろそうだよ」
ねむと灯火は二人で使フレを鑑賞した。
「へえ、面白いねえ。最初はあれだったけど」
「でも、乗り越えたらすいすい見れるよ」
次に煙花。
「すっごく面白いね。それに面白い設定もちらほらあるし」
「・・・羅輯、か。どうやらそこまで悪い人じゃなさそうだ」
彼女たちはしばらく次のアニメを探した。
すると、使フレ2が見つかった。
灯火は軽い吐き気を訴え、ねむは怒り狂った。
そういうわけで、終末戦役においてねむの活躍はすさまじいものだった。
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「それで、どうするんだ?管理局にこの映像を送るか?」
「そうするしかないだろうね。まあ、居場所はバレるだろうけど」
そろそろ二人も外の空気を吸いたいところだった。
羅輯は軽い報告と映像を本局に送った。
それから二人は外に出た。ボートで大河を渡り、それから徒歩で研究所に向かった。
「史強、君は戻ってくれ。ここから先は僕一人で行く」
「残念だが、兄弟。さっき転送ポートを見たら使い物にならなくなっていた」
「じゃあ、二人でいくか。生かされるか殺されるかのどちらかだね」
一キロくらい歩いたところで、こちらの存在を感知した魔法少女たちに遭遇した。
「やあ、僕は羅輯。アニメ監督の仕事をしている。君たちの創造主とはライバル関係だった」
「俺は史強。こいつの護衛役だ」
彼女たちも羅輯達の自己紹介に応じた。
「・・・私は環いろはと言います。丁儀さんから貴方のことは聞いています」
「七海やちよです。・・・意外とまともそうですね」
「水波レナよ。本当はアンタらみたいなのに構っている暇はないんだけどね」
「ふゆう・・・秋野かえでです。桂言の葉の庭、面白かったです」
羅輯達はこの四人に丁儀の研究所まで連行されていった。
この先、自分にどんな運命が待ち構えているのか、羅輯にはわからなかった。