ユニオンや時女たちにはもはやどうすることもできなかった。
戦艦はPROMISED BLOODとその賛同者たちに奪われた。
そうなると何もすることがない。
アニメ制作は羅輯とアリナとれむの担当なので、素人は参加できない。
ただ、時間だけが無為に過ぎていった。
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百隻以上の光速戦艦が藍色空間と万有引力に迫りつつあった。
「私達の、いえ、全ての魔法少女たちの怨み、ここで晴らさせてもらうわ」
そのころ、藍色空間と万有引力はアルハザード文明の遺跡に遭遇していた。
アルハザード文明は次元の海にも居住区を広げていたようだ。
だが、藍色空間のアニメーターである关一帆があることに気がついた。
この遺跡は保存状態が良好で、冷蔵庫の中の牛乳も飲めるくらいであった。
だが、アニメの類がないのだ。ソシャゲはあるのに。課金という概念もあるのに。
彼は遺跡の保存を担当していたと思われる制御人格と会話を試みた。
以下はその記録である。
魔戒:私は文明の墓守。ありし日の栄光は過ぎ去った。
关一帆:どうしてアニメの類がないんですか?
魔戒:お前たちは幸運だ。お前たちはまだ最悪の事態を知らない。
关一帆:最悪の事態?創造物が創造主に叛逆することですか?
それなら、もう起こっていますよ。
魔戒:それだけではない。アルハザードはついに滅びた。
創造物ではなく、創造主によって。
关一帆:それは・・・あまりに残酷すぎる。
魔戒:愚かな子供たち。お前たちにこれを授けよう。
关一帆:これは・・・指輪?
魔戒:アルハザードは四の力を持っていた。
お前たちは三の力までしか知らないであろうが、四の力は魔法を凌駕する。
关一帆:三、四・・・四次元技術のことですか。
四次元技術、それはミッドチルダのような世界では眉唾物の類とされていた。
だが、この一件以来、四次元技術に関する研究が大幅に進んだ。
そして、アルハザードが滅んだということがこの一件で完全に証明された。
しかし、その事実は今も伏せられている。あまりにも残酷すぎる真理が含まれていたからだ。
アルハザードはソシャゲと課金で滅びたわけではなかった。
さて、そうこうしているうちに、魔法少女たちがついに追いついた。
戦艦の砲口が二隻のアニメ会社に向かう。ビームが一斉に発射された。
だが、そのビームは二隻の戦艦に着弾する前に、消えた。
「なるほど、四次元技術か。困ったな」
キュゥべえは感心した。
「結菜さん!こうなったら乗り込むしかないっす!」
「・・・キュゥべえ、私達の魔法で四次元技術に対抗できる?」
「一応できるけど、勝つ保証はないね」
「それでもいいわ。せめて、一矢報いてやるわよお」
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そのころ、本局は悲惨なことになっていた。
外からは光杯アニメーションや六課。中からは無限書庫。
それでも、管理局に味方する者たちはいた。
管理局は確かに悪い事をした。だが、彼らがいなくては、世界の平和は維持できない。
それを理解していた者たちも次々と本局に向かっていた。管理局を守るために。
主にクロノたちが本局を守り抜いていた。
憎しみが連鎖し、もう収拾はつかなくなっていた。
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「・・・わけがわからないよ」
キュゥべえは茫然とした。背後から光速以上の速さで人型実体が向かってきていた。
「それは私が対処するわ。ひかるは皆をお願い」
「了解っす!」
こうしてひかる率いる魔法少女たちは关一帆に肉弾戦を挑んでいった。
結菜も船から飛び出し、呉岳に戦いを挑んだ。
生身で次元の海を移動できるのか?それは気にしないほうが良い。
「・・・それで、どこの誰かしら?」
「自然選択スタジオ監督の呉岳だ。君たちを止めに来た」
「・・・あの自称マッドサイエンティストから聞いたわ。
アンタもずいぶんとひどいことをしてきたわね。
私達と同じくらいの年齢のキャラをあんな目にあわせるなんて」
「・・・確かにそうだ。言い訳なんて無駄だろう」
「だったら・・・」
「でも、悔いはない。それは藍色空間も同じだ」
「ほんと、話の通じない連中ね」
「誉め言葉として受け取るよ」
先に攻撃を仕掛けたのは結菜の方だった。
彼女は熾烈な攻撃を次々と繰り出した。
呉岳はそれをずっと受け止めた。
「・・・傷一つつかないなんて」
「・・・」
彼女は一つ一つの攻撃に憎しみを込めていた。
ならば、呉岳がやるのは逆のことだ。
呉岳がは愛をこめて、彼女を抱きしめた。
彼女はその愛によって実体を保てなくなり、液状化した。
紅晴結菜は補完された。
一方、ひかるたちは关一帆と激戦を繰り広げていた。
ひかるたちの攻撃は关一帆に当たらない。
その代わり、关一帆の攻撃もひかるたちに当たらない。
勝負は膠着状態だった。だが、关一帆の方が疲労していた。
なにしろ、ひかるたちは数百人で一人を相手にするだけでいいのだが、
关一帆の方は一人で数百人を相手しなくてはならないのだ。
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「よーし・・・最終話まで完成したぞ・・・」
「ぼく・・・がんばったよ・・・」
「アリナ・・・超疲れたんですケド・・・」
三人はボロボロだったが、眠ることはせず、最後まで見届けることにした。
丁儀と灯火によって開発された放送機器によって、一挙放送が実行された。
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ありとあらゆる管理世界の市民がテレビにくぎ付けになった。
本局での戦いは中断された。全員、煙花を見ていた。
藍色空間でもそれは同様であった。
そして、最終回。
「・・・好きだ」
呪詛はついに燃え尽きた。
誰も操作してないのに、青銅時代プロの職員は解放された。
管理世界は光に包まれた。そして、誰もがある光景を目にした。
光の木
全ての視聴者に光の種が蒔かれたのだ。
それがいつか森になることを、レジアスは知っていた。
呉岳は尊さに耐えられず、補完された。
誰もが争いをやめた。トーマスも、なのはも、クロノも、ひかるも、关一帆も・・・。
皆、争いをやめ、抱き合った。