アリナの結界に多くの魔法少女が集まった。
マギアユニオン、時女、PROMISED_BLOODはもちろん、
世界中から多くの魔法少女が集まってきた。
魔法少女だけでなく、魔法少女に詳しい一般人もいる。
さらにはキュゥべえまで会議に出席していた。
里見灯火の持って帰った情報は、全てを覆しかねない代物だった。
この世界は創造主の娯楽のために作られた世界だというのだ。
今まで流された血や涙は、娯楽のために流された。
「そんなのって・・・でも、その人たちとも環になれるはず・・・」
マギアユニオンの代表である環いろはは茫然とした。
神は存在した。だが、その神は創造物の苦難を娯楽にする神であった。
それでも、灯火の言う通り、神は感情を有していて、共存の余地があった。
反対に、PROMISED BLOODの代表である紅晴結奈は憎しみを露わにした。
「・・・まだ環になるとか甘い事を言うのね?
私達がやるべきことは明らかよ。鉄槌を下す。
その創造主気どりの屑どもを一人残らず皆殺しにしないと気が済まないわ。
そうしないと、次に何が起こるかわかったもんじゃないわよ」
彼女の発言に多くの魔法少女が同意した。
彼女たちは仲間や家族を創造主に殺されたようなものである。
それに、創造主が新作と称した悲劇を起こす可能性もある。
創造主がいつ新作を作るかわからない。そうした猜疑が連鎖する。
羅輯監督はこの現象を猜疑連鎖と名付けました。
「・・・わたくしは反対」
灯火は言った。
「あの人たちは別の宇宙にまで行ける技術力を持ってる。
下手に攻撃なんてしたら・・・考えただけでも恐ろしいですわ」
魔法少女は確かに強いが、それはあくまで白兵戦での話だ。
宇宙戦艦の砲撃を喰らったら、全滅するのは目に見えている。
蟻がどれだけ強い牙を持っていようと、人間に踏みつぶされるだけだ。
「そうとも言えないね」
今まで沈黙を貫いていたキュゥべえが突然発言した。
「彼らが宇宙を渡る船を持っているからと言って、
必ずしも技術が完全に君たちやボクたちを上回っているとは限らない。
灯火、君の持って帰ったソフトを解析させてもらったよ。
はっきり言って、君たちのソフトに毛が生えたくらいの代物だ」
結界内をざわめきが支配した。
別宇宙に行けるレベルの文明が、地球と同レベルの機械しか使っていないというのだ。
キュゥべえは話を続けた。
「かつてのイースター島と西洋文明で例えてみよう。
イースター島も丸太船は持っていた。つまり、航海技術はあったというわけだ。
でも、それだけでイースター島の部族が西洋文明より優れているとはいえない。
事実、イースター島がどうなったのかは君たちもよく知っているだろう?
だから、ボクたちの文明と比べたら、創造主の文明は丸太船の文明に過ぎないんだ」
「・・・でも、映像機器には技術を注ぎ込んでいないということもありえるし」
灯火は反論した。
「灯火、確かに君の科学知識は素晴らしいものだ。
でも、それは誤解というものだよ。君は食品の味で相手の文明を推測した。
それだと、イギリスは低レベルの文明だと言うようなものだ」
会議に出席していたイギリスの魔法少女の攻撃により、キュゥべえは塵となった。
まあ、すぐに別の個体が出席するだけだが。
「・・・とにかく、確かに一つの基準では文明のレベルは推し量れない。
だったら、方法は一つある。直接確かめに行くんだ」
再び会場をざわめきが支配した。
向こうがどんな文明かわからない以上、むやみに行くのは自殺行為でしかなかった。
「わたくしが行きます。丁儀さんと話し合って、向こうの統治機関と話を・・・」
「その統治機関が混乱に陥っているって聞いたんだけどねえ?」
結奈は何が何でも創造主を血祭りに上げたいようだった。
しかし、話し合いのチャンスを逃したくはない。
少しの話し合いの末に、みかづき荘のメンバーと灯火が先遣隊となった。
ついでに、佐鳥かごめも付いていった。さらについでにキュゥべえも。
この先遣隊に私が選ばれたのは奇跡としか言えませんでした。
私は確かに危険を回避することはできますが、戦うことは能力はなかったのです。
それでも私が選ばれたのには、創造主との対話を記録する必要があったからと思われます。
「くそっ
門をくぐったら、さっそくそんな大声が聞こえた。
「・・・わたくしの言葉の真意を理解してしまったようだにゃ」
声のする方向に向かうと、丁儀があれこれ逃げる準備を整えていた。
「早く逃げないと!どうせ中学生ぐらいだから話し合いとかで時間を取られるとはいえ、
あの淫獣にそそのかされてすぐに行動するかもしれないし・・・」
「私は大学生だけど?」
「そうか・・・。へっ?もう話し合い終わったの?」
「時間はかかったけどね。私は七海やちよといいます。大学一年生です」
「・・・少し買い出しに行かなくちゃいけないんだ。見逃してくれるかい?」
「さっき逃げるとか言っていましたよね?」
すると丁儀はナイフを取り出した。
「もはや生きておられんご!」
彼は切腹しようとしたのだ。
後で知ったことですが、創造主の世界でも地球の文化は一部蔓延したようです
「介錯しもうすとか言うと思いましたか?没収です」
やちよの早業でナイフが弾き飛ばされてしまった。
「お願いだ!僕の命はどうなってもいい!僕は量子スタジオで働いていた。
彼らが青銅時代プロと君たちの世界を創っていたときはやめていたけど、
それでも後輩たちにアドバイスは行っていた!責任は全て僕が負う!
だから・・・だから青銅時代プロは、彼らは見逃してくれ!
彼らはようやく夜明けに旅立ったんだ!」
先遣隊メンバーは唖然とした。彼が自分の命よりもアニメ制作会社を優先したからだ。
創造主の世界ではアニメは大事なものでした。
ここで注目するべきは、創造主にルーフェンという世界の出身者が多かったことです。
ルーフェンではアニメと文明が同一単語と化していることが多いそうです。
ルーフェンの人にとってアニメ会社を存続させることは、文明の存続に等しいのです。
章北海監督が命をかけてまでもアニメ会社を遺そうとしたのはそういった事情があったからです。
やちよは丁儀を睨んだ。
「アニメがそんなに大事なんですか?自分の命よりも?」
「当たり前だろ!何を言ってるんだ!」
やちよは腹パンで丁儀を気絶させた。
「・・・文句はないわね?」
反対する者はいなかった。
キュゥべえとは別のベクトルで話が通じそうになかったからだ。