誰だって、アニメの世界に行きたいと思ったことはあるだろう。
そして、主人公やヒロイン、脇役たちと友達になりたいと思ったことも。
だが、それは永遠に叶うことのない夢だった。
人々はアニメの世界を羨ましがった。手に届かないものとして。
新暦が始まった時、あるアニメ評論家が言った。
「ぼくたちは
それから、七十年もの月日が過ぎ去った。
羨望時代はついに終わりを告げたことがわかった。
「くそっ、
羨望時代に抗った若きマッドサイエンティストが全管理世界に向けて発信した。
だが、その表情には絶望が浮かんでいた。
羨望時代はおそらく、望まぬ形で終わりを迎えてしまったのだろう。
「・・・彼は大学時代の同期だった」
羅輯は沈んだ表情でそう言った。
現在、ミッドではアニメは作ってもすぐに液状化してしまった。
液状化を免れているのは脚本ぐらいだった。
そういうわけで、スカリエッティの計画は頓挫してしまい、
羅輯とヴィヴィオはまだ洗脳されていなかった。
「・・・そうか。私も彼のことは尊敬していたんだ。
娘たちの前では強がってしまって、馬鹿にしていたんだが」
「僕もだよ。彼は量子スタジオで成功を収めていた。
それが悔しくて、それから会わなくなってしまった」
「ガジェットドローンを向かわせたが、研究所の上空で連絡が途絶えた」
「逃げろ、か。おそらく、彼は僕たちの管理世界を超越した文明と
その時、ヴィヴィオが嬉しそうな表情でやってきた。
「スカリエッティおじさん、羅輯さん、アニメが見れるよ!」
「「えっ」」
ヴィヴィオは二人の裾を引っ張って、パソコンの前に座らせた。
それはルーフェンにサーバがあると推測されている海賊版アニメを提供するサイトだった。
そう、ルーフェンにサーバがあるのだ。
つまり、これらのアニメはルーフェンから放送されていると言っても過言ではない。
「「・・・なるほど!」」
海賊版は許せないが、それ以上に、状況を好転させるチャンスを得た喜びでいっぱいだった。
羅輯とスカリエッティは手を握り合った。
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本局から派遣された戦艦が丁儀の研究所がある世界の近くにまでやってきた。
本来、こんな無人世界に戦力を回す余裕などなかった。
しかし、管理局は管理することを諦めていた。
そもそも、ミッド全体が無力感に覆われているので、犯罪者も犯罪を起こさなくなった。
犯罪者も無力感に襲われているからだ。
そういうわけで、上層部も適当な命令で、この戦艦を派遣したのだ。
もはや、予算など気にすることも無かった。
戦艦は丁儀の研究所の上空に転移した。
「・・・クソッたれが!よりにもよって、あのアニメの世界と通じたのかよ!」
彼らの眼下には多くの魔法少女たちがいた。
彼女たちの半分は、敵意と軽蔑の眼差しを戦艦に向けていた。
「おう・・・。艦長、どうします?」
「こうなるってわかってたよ。よし、逃げ・・・」
「残念だけど、そうはいかないよ。君たちの船はとっくに乗っ取ったよ」
やっぱりあの淫獣だった。
魔力のない局員は茫然とするしかなかった。
なぜなら、彼らには淫獣の姿が見えないからだ。
「・・・そういや、設定上は宇宙を維持するほどの文明なんだよな」
「・・・俺たちはどうなるんだ」
「ボクは別に君たちをどうこうしようとは思ってないけど、彼女たちはどうだろうね?」
淫獣は画面を指差した。
「さて、早く創造主とやらに接触して、エネルギー供給が簡単に済むようにしてもらわないと」