麻里奈はクロスボウを魔物に向けて構え、女の子の魔物は自分の腹部を気にするように地響きを起こす。
おそらく女の子は自分の体型にコンプレックスを抱いていて、学校で何かあったのだろうと推測した麻里奈は絶対に助けてからアドバイスを送ろうと思った。
そして魔物は自棄になるように麻里奈に当たり始める。
「うおっ!?」
「フトル…アナタ…ヤセテル…!ツブス…ウオォォォォォォォォォォッ!」
「羨ましいか…。アタシがこの体型を維持するのにどれだけ努力してきたかが見える状態じゃないんだ…。だったらアタシがこんなに頑張ってきたんだからアンタにも出来るって事を教えてやる!くらえっ!」
「グッ…!」
「クロスボウだと援護射撃には向いているけど主力では厳しいわ!私たちも加勢しましょう!」
「は、はい!」
「ミューズナイツ…」
「アンタたちは手を出さないで!こいつはアタシが責任持って何とかすっから!それよりも逃げ遅れた人たちを助けてあげて!」
「そういう事ね…わかったわ!行きましょう!渡辺さん!」
「は、はい!」
「努力…無駄なのに…何故…!」
「アタシさ…小学校低学年の頃はアンタみたいに太っててさ。それでよく男子にブタだってからかわれてたよ。それが悔しくて何度も泣いたことがあるんだよ。けど…アタシの憧れでさっき共演した小野愛梨さんが中学生ながらもありのままの自分をさらけ出して、そしてあんなにスタイルいいのに努力は欠かさないって知ってさ。アタシももしかしたらこの人みたいに変われるかもしれないって思ってすごく頑張ったんだ。そしてこの結果…ようやく小学五年で読者モデルになって今じゃアイドルだよ?信じられる?」
「……」
「大丈夫。今からアンタに合った努力をすれば必ず理想の自分に会えるからさ。それまでもう少し頑張って…!そして…痛いかもだけどごめん!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!届けっ!」
「ウウッ…!」
「板野さんっ!魔物はもう弱ってます…!必殺技を放ってください…!」
「オーケー!夢見る乙女の一撃…受けなさい!ヒーリングショット!」
「ギャアァァァァァァァァァァァァァッ…!」
「ちっ…どんだけ邪魔者が増えれば気が済むんだよ…!もういい!」
こうして女の子の魔物は浄化されて元の女の子は檻から脱出する。
麻里奈はすぐに変身を解いて結衣と麻友美と共に女の子の元へと駆けつける。
女の子が倒れかけたところに麻里奈はダッシュで抱きかかえ、意識が戻ると女の子は麻里奈を見て状況を確認する。
「あの…私は一体…?」
「心配しないで。もう悪夢は終わったんだよ」
「えっと…あなたは…板野麻里奈ちゃん…?どうしてここに…?」
「化け物が現れて暴れてたからアンタを助けに来たんだよ。でももう大丈夫、化け物は誰かがやっつけたから」
「そうですか…。でも…その誰かが麻里奈ちゃんによく似ていたような…?」
「き、気のせいだって!それよりもどうしてアンタはダイエットを頑張ってたの?ジャージ姿でランニングシューズだったからすぐにわかったよ」
「えっと…私は昔から太りやすくて…クラスの同級生に馬鹿にされてきたから…ダイエットをしてきたんです…。いろんなダイエットも試したんだけど…結局どれもダメで…。だから内心痩せて綺麗になるのを諦めてたんです…。でもどうしても美しくなりたくて…そしたら…突然夢は無駄だから暴れろって誰かの声が…」
「マジかよ…そんな最低な奴がいるんだ…!」
「麻里奈、詳しい事は後で話すわ。今はこの子のケアを大事にしましょう」
「う、うん。そうする」
「あの…助けてくれてありがとうございます…」
「じゃあさ、今アタシはラジオの収録やってるから終わったら一緒にランニングしよう。だからスタジオで待ってて」
「は、はい!」
こうして麻里奈は騎士として覚醒した上に太った女の子と友達になり、いろいろな美容についてアドバイスを送った。
そして女の子は自信を持って理想の自分を描いて、健康を損なわないように意識する事を覚えて麻里奈と別れる。
麻里奈は自分が美容に悩める女の子の手本かつ憧れになったんだと自覚を持ってもう遅刻はしないと決意した。
劇場に戻ると秋山プロデューサーからミューズの騎士の話を聞かされ、今までのみんなが陰で人々の夢と努力を守ってきたことを知る。
そして麻里奈の答えは…
「というわけだ。君はこんな危険な戦いに巻き込んでしまったわけだが…」
「いやぁ~、本来なら断って自分のアイドル活動に集中すべきなんスけど…案外人の夢を守るって自分の夢も守るんじゃないかなって思うと悪い気はしないッスね。というわけで…アタシはその世界を守る運命を背負います。軽い気持ちではなく、本気ッス」
「そうか…。君を軽率な子だと第一印象で決めてすまなかった。これからは責任を持ってアイドル活動と騎士としての任務を果たしてほしい」
「りょ!アタシにお任せあれ!」
「ドレミ、これで残るは2人になった。ミューズの騎士が9人揃うとどうなるのかな?」
「そうね…9人揃えば本来の音楽の力でドリームパワーが発揮されて帝国の本拠地に入る事が出来るようになるの。でも…女王の私だけ助かって国民たちは悪夢の檻の中にいるから…女王なのに情けないわね…」
「けどパパやママが出会ったから私が生まれ、そして去年センターになった私が騎士になったじゃない。今は後悔するより九人揃うようにすることが先だと思う」
「そうね、加奈子の言う通りね。板野さん、これからもよろしくね」
「りょ!」
つづく!