ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

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第1章
第1話 オーディションへ


渋谷芸術学園、そこは音楽や美術など世界中の芸術を渋谷で学ぶために創立された学校だ。

 

その学校に芸能人も多く輩出している芸術部門の名門校である。

 

そんな渋谷芸術学園中等部に、ある女の子が憧れであるアイドルのオーディションに参加を決めたのだ。

 

彼女の名は…前田あかり、この学校のマドンナといわれるほど人気がありミス渋谷芸術学園にも選ばれるほどの女の子だ。

 

部活はテニス部に所属していたものの、アイドルへの憧れを捨てきれずにオーディションに応募と同時に退部をしたのだ。

 

そんな彼女にもオーディションの時が訪れた…

 

「それじゃあ先生、今までお世話になりました。これからオーディションに行ってきます」

 

「ああ。合否の発表はその場で言われるんだったな。お前の合格を待っているぞ」

 

「ありがとうございます。それじゃあ…行ってきます!」

 

彼女が向かう場所は渋谷を拠点とするアイドルグループ「SBY48」が在籍している劇場「渋谷アイドル館」に向かう。

 

そこでオーディションに参加するのだが、そこにはかなりの人数がいてあかりは少しだけ委縮していた。

 

中には子役から活動している子、帰国子女の子、アマチュアアイドル経験者の子などもいたのだ。

 

あかりはそれでも精一杯頑張ると心に決めていたので緊張よりもやる気に満ちていた。

 

そしてついにオーディションが始まる。

 

「えー…これからSBY48の所属オーディションを行います。まずは自己紹介の面接をして、そこから実力テストを行います。ボーカルとダンス、そしてパフォーマンスの三項目から合否の発表をします。審査員はわたくしプロデューサーの秋山拓也と…」

 

「センターの秋山加奈子です。このプロデューサーの補佐を務めさせていただきます。よろしくお願いします」

 

「よろしくお願いします!」

 

「まずは面接を始めます。スタッフが控えていますので各自案内された部屋に移動するように。終わった人から実力オーディションを行います。以上」

 

案内通りに面接室へ移動したあかりは緊張しながらもドアをノックして面接室に入る。

 

そこには威圧感漂う男性が2人いて、普通に話すことさえ怖いと感じるほどのオーラがあった。

 

それでもあかりはアイドルになりたいと思い面接に励んだ。

 

「前田あかりさんですね。何故あなたはアイドルになりたいと思ったのですか?」

 

「はい。私は小さい頃から歌う事が好きで、私自身の歌やダンスで幼稚園のみんなを感動させることを覚えてからアイドルというものを知り、もっと知らないみんなに私の歌やダンスを届けたいと願いアイドルを希望しました。そしてSBY48のオーディションがあると聞き、このオーディションに参加しました」

 

「なるほどね…。君の強い意志はわかった。残るは人前でどれだけパフォーマンスが出来るかだ。気持ちだけではどうにもならない時がある。それを乗り越えればアイドルとしての素質があるはずだから頑張りなさい。以上です」

 

「ありがとうございました!」

 

面接を終えたあかりはそのまま稽古着であるジャージに着替え、オーディションの本番に臨む。

 

ボーカルでは発声が素直で朗らかに歌う女の子がいた。

 

その子はどうやらスクールアイドル、いわば学校の部活でアイドルをやっている。

 

続いては音程も声量も完璧にこなす子役出身の女の子もいた。

 

ダンスでは体が柔らかく無駄のない動きをする読者モデルの女の子と、アメリカから帰ってきたキレのある激しいダンスでアピールした女の子がいた。

 

パフォーマンスでは肌が少し白くてハーフの女の子があざとくアピールし、さらに歌もダンスも目立たなかった女の子がポージングに慣れていたりとレベルの高さを痛感した。

 

そしてついに合否発表の時が来た。

 

「それでは合格者を発表します。まず…2番大島結衣。7番篠田日菜子。14番高橋ひかり。24番板野麻里奈。31番柏木エマ。そして最後…61番渡辺麻友美。以上です。他の皆さんは残念ですが改めてお待ちしています。本日はここまで。お疲れ様でした」

 

「ありがとうございました!」 「ありがとうございました…」

 

あかりは学校ではアイドル的存在で人気もあったのだが、プロの世界は甘くないと知り不合格であることに落ち込んだ。

 

中には全てを賭けたのに敵わなかったあまりに泣きだす子もいた。

 

あかりは落ち込みながら家に帰って悔しさを心の奥にため込んでいた。

 

そんな時だった…駅の交差点で同じオーディションで不合格だった巻き毛のツインテールの女の子の様子がおかしく、いかにも赤信号になったら飛び込みそうな雰囲気を持っていた。

 

あかりはこのままでは事故になると判断して女の子を目掛けて全力で走った。

 

しかし…それがあの悲劇を生むとはまだ知らない。

 

「いいねぇ…その悲しい瞳…。夢なんてどうでもいいけど…叶わなかった絶望は大好きだな…。それじゃあ早速…ダークネスパワーよ…くだらない幻想を捨て、この世界を未来なき世界に変えよ!」

 

「うっ…!うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「えっ…何…!?」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「あの女の子から化け物がぁっ!」

 

「逃げろ!逃げろーっ!」

 

「皆さん!慌てずに安全な場所へ避難してください!」

 

「何これ…!?女の子は…!?意識がない…それに…どうして鳥かごに閉じ込められて…?」

 

あかりは突然の出来事に混乱し、女の子を助けようもどうしようもない状態で泣きそうになった。

 

その女の子は突然苦しみに見舞われ、意識を失った直後に閉じこもるように檻の中に閉じ込められてしまった。

 

そして女の子からこの世界の未来を奪うように暴れ回る魔物が出てきたのだ。

 

そんな中で一人のベージュとチョコレート色のセーラー服に大きな槍を持った茶髪のサイドテールの女の子が颯爽と現れた。

 

「させない!あの子の夢は…私が守る!」

 

「アイドル…ナレナカッタ…!ヤルキ…デナイ…!」

 

「ちっ…また邪魔者が来たか…。俺は陰に隠れてよっと…」

 

「これでもくらいなさい!やあっ!」

 

「グウゥッ…!?」

 

「すごい…あんなに大きな化け物と戦っている…!でもあの子…どこかで…?」

 

「ウオォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

「きゃあぁっ!」

 

サイドテールの女の子は魔物の剛腕に命中してそのままヒカリゼ渋谷に激突してしまった。

 

あかりはその女の子の元へ向かい女の子の安否を確認する。

 

意識はあるけれど気を失っていて戦える状態にはなかった。

 

魔物が雄叫びを上げると目の前に無気力で無精髭の生えたオールバックのロン毛の男性がゆっくりと空から降りてきた。

 

「まったく…邪魔者だけでなく飛んで火にいる夏の虫が紛れ込んでいたとはね…。ただの人間が何故こんなところに…?」

 

「あなたは…誰なの…?こんな酷い事…しているの…?」

 

「やれやれ…人間ごときに名乗るのはめんどくさいが…これも人間共から夢と未来を奪うためだ…特別に教えてやるよ…。俺はアクムーン帝国三銃士のデプレシオ…。鬱を司る悪夢の騎士だ…。お前も夢に破れた顔をしているな…。そのダークネスパワーをいただこうか…。」

 

「触らないで!人間から夢と未来を奪って何をする気なの…?どうしてこんな酷い事を…?」

 

「酷い…?夢や未来なんてくだらない幻想だし、それに敗れて結局やる気をなくすくらいなら最初からない方がマシじゃないか…?努力なんて時間の無駄だし…やるだけ何も生まないさ…。」

 

「だとしても…成功したり選ばれた人は必ず隠れて努力をしている…。才能だけでやったって経験がなければ…結局予測不能の事態に見舞われたときにボロが出るんだよ…。私もオーディションに落ちて…自分の認識の甘さを思い知ったよ…。それでも私はアイドルになる事をやめない…。だって…私の歌を楽しみにしている人が…身内だけだったとしても、必ずいるから!」

 

「うっ…!」

 

「ん…あの子…もしかして…!」

 

彼女の耳に突然オルガンの音色と聖歌のような混声合唱が聴こえる。

 

手元にはピンク色のサイリウムが召喚されていた。

 

あかりは一体何が起こったのかわからなかったのか硬直してしまう。

 

すると先ほどのサイドテールの女の子が最後の力を振り絞って叫ぶ。

 

「早く…変身して!ミューズナイツ!レッツミュージック!と叫んで…点灯させてから三回振って!」

 

「は、はい!ミューズナイツ!レッツミュージック!」

 

「HEY!HEY!HEY!」

 

言われた通りに三回振ると私服だったのが中世の騎士や貴族が着ていた宮廷風の軍服になり、アゼリア色のブレザーにローズピンクのネクタイにスカート、肩には金色のエポーレットが装着され、靴は黒いブーツが穿かれていた。

 

手元には黄金のレイピアが装備され、あかりは晴れて謎の騎士になれた。

 

「奏でるは心のメロディ!前田あかり!あの子の未来を…絶対に取り戻す!」

 

つづく!

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