ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

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第19話 ドドンと達人

あかりの研修期間は続き、今度は麻友美と日菜子の仕事の見学に行く。

 

二人の仕事はゲームの全国大会のイベントの司会であかりは関係者席でプロデューサーの秋山拓也と共に座る。

 

全国大会が開催されて二人は楽屋でメイクしながら談話する。

 

「何か新人なのにこんな大きなイベント任されるなんてビックリだね」

 

「はい…。私はこのゲームをやり込んでいますからともかく…日菜子さんも呼ばれるなんて心強いです…」

 

「そっか。麻友美はこのゲームをやり込んでて去年まで全国出てたっけ。しかも今回はあのドドンと達人だよね」

 

「はい…。このゲームは子どもから大人まで楽しめる大衆向けのゲームです…。今回は小学生部門と中高生部門、そして一般部門とプロ部門にわかれています…」

 

「なるほど…年齢別ってわけだね。麻友美は今まで中高生部門に出てたんだ」

 

「性別については関係がなかったのでよく男子と競っては負けていました…。けど今回は…アイドルとして司会を務めさせていただきますから…期待に応えないと…!」

 

「そうかしこまらないの。麻友美がこのゲームが好きだって気持ちは伝わったからさ!うん、やっぱりコスプレしている麻友美は可愛いよ!」

 

「ありがとうございます…♪」

 

「渡辺さん!篠田さん!スタンバイお願いします!」

 

「はーい!それじゃあ行こう!」

 

「はい…!」

 

二人は法被を着てハチマキを絞めて気合いを入れ直す。

 

そしてスタンバイしてから歓声を浴びてステージに立った。

 

麻友美は緊張はしたもののコスプレイベントで歓声に慣れているので堂々としていた。

 

日菜子もいつもよりも観客が多い事に戸惑うも普段からライブをこなしているのである程度余裕があった。

 

「さぁ始まりました!ドドンと達人・全国大会~!」

 

「いえ~~~~~~~い!」

 

「皆さんお元気ですか…?私たちはSBY48の新人の渡辺麻友美と…」

 

「篠田日菜子です!今日はよろしくねー!」

 

「今日のルールを説明します…。今回は予選ごとにくじ引きから引かれた票に書いてある曲目と難易度でスコアを競い合います…」

 

「麻友美はこの全国大会の経験者でこの全国大会に出たかったんだっけ?」

 

「えっと…お恥ずかしながら東京予選で初戦敗退したんです…。でも私を破った方がこの大会に出るので…個人的に頑張ってほしいですね…」

 

「なるほど!それじゃあ早速開幕戦を行うよ!」

 

「ではくじを引きますね…。」

 

「ドコドコドコ…じゃん!おっと!これは…おにランクでスマイリング娘。の…LIVEマシーンだ!」

 

「おお~~~~~…!」

 

開幕戦は予選で高速連打が自慢の「いかりや」とテレビ出演もした達人の「セツナクモナイ」の戦いになる。

 

セツナクモナイはフルコンボをクールに決めるものの連打が苦手で連打以外の安定感もあるいかりやに負けた。

 

二人は堅い握手を交わして健闘を称え合った。

 

次第に予選を進めていき準決勝で先ほどのいかりやと、浪速のフルコンスタート言われているモン太、東京予選で麻友美を破ったつばクロー、そして前回王者のカカロットになった。

 

準決勝はいかりやが及ばずつばクローに、モン太のプレッシャーにカカロットがまさかの連続ミスで準決勝敗退となった。

 

「さぁここでエキシビジョンマッチ!ここからは私と麻友美が勝負します!」

 

「えっと…よろしくお願いします…!」

 

「そこにいるあかり!一応この子は全国大会経験者だからちょっと二人でやろう!」

 

「えっ…私?」

 

「お願い!本当にお願いっ!」

 

「わ、わかった。やってみる」

 

エキシビジョンマッチでは麻友美は安定したコンボ数でフルコンボ寸前までいく。

 

一方の飛び入り参加のあかりと司会の日菜子は麻友美のあまりの凄さに圧倒されて12分の1のスコアとなった。

 

決勝はモン太による番狂わせと麻友美を破った男のつばクローによるスコア争いになった。

 

最後の曲は…〆ドレー3000でおにランクになった。

 

そして…

 

「おおおおおおおおおおおっ!」

 

「うわ~っ…!」

 

「やったーっ!」

 

「何と優勝はつばクローだ!麻友美!あなたを破った人が優勝だよ!」

 

「すごい…私は全国王者に負けて誇りに思います…!」

 

「じゃあ早速インタビューしよう!つばクローさんおめでとう!」

 

「ありがとうございます!」

 

「あの…お久しぶりです…!」

 

「ああ、君はまゆっちだったね!アイドルになったのは本当だったんだ!」

 

「優勝の秘訣はやっぱり日々の練習ですか?」

 

「練習だけでなく譜面の研究や叩く時の理論など知る必要があるね。闇雲に練習だけしても身になるかはわからないからね」

 

「やっぱり王者の言葉は重みが違うなぁ…」

 

「つばクローさん…あなたに金メダルとトロフィーを差し上げます…!」

 

「ありがとうございます!」

 

こうしてドドンと達人の全国大会が終わり日菜子と麻友美は一息つく。

 

楽屋にあかりが訪れて日菜子は嬉しそうにあかりに抱きついた。

 

麻友美は差し入れで大好物のあんドーナツをあかりに渡し、無茶振りの飛び入り参加での労いの言葉をかける。

 

「あの…日菜子さんが無茶振りしてすみません…。これ…差し入れのあんドーナツです…」

 

「ありがとう」

 

「ごめんねいきなり振っちゃって。あかりにも見学だけでなく出番をって思ったら目が合っちゃって」

 

「いいの。出番を与えてくれてありがとう。おかげで二人の活躍を近くで見れたしよかった」

 

「やっぱりあかりはポジティブだね。その元気なオーラで私たちも元気になれるよ」

 

「私も…もっとそのポジティブシンキングを見習いたいです…」

 

「ううん、私もまだみんなと比べて未熟だから早くメンバーになれるように頑張るね!」

 

「応援してます…!」

 

「選抜メンバーで待ってるね!」

 

つづく!


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