ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

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第21話 アイドルサマーライブ

あかりたち研修生はライブに出られないけれど新人レギュラーメンバーの晴れ舞台であるアイドルサマーライブを見学する。

 

結衣、日菜子、麻友美、ひかり、麻里奈、エマは新人として初出場で加奈子がある程度の説明をする。

 

さいたまスーパーアリーナに着いたあかりたち研修生は関係者席で座り開演を待つ。

 

「何か自分のことのように緊張してきました…」

 

「確かに自分たちより上の子たちが出るとはいえ同じチームだものね」

 

「それに秋山プロデューサーは日本各地だけでなく海外にもプロデュースしているんでしょう?その中から大阪・梅田のUMD48や愛知・豊田のTYT48、最近は瀬戸内海地域のSTN48や東北地方のTHK48、福岡の小倉のKKR48もいるよね」

 

「唯一外国人限定のWRD48はスケジュールの都合上で来れないけど秋山プロデューサーがいかに名プロデューサーか伺えるね」

 

「早く私たちも研修生から脱却しないと…」

 

「3年間研修生のままならクビだものね…」

 

「えっ…そうなんですか…?」

 

「さすがにそこまでコストかけてまで育成してられないでしょ。プロデューサーだって人間だし限界があるもん」

 

「私たちはこれで3年目…飛び級で抜かされたのは実力がないから仕方ない事だよ。でもだからって嫉妬して落ちぶれる暇があったら自分で這い上がるしかないでしょ?」

 

「確かに…そうですよね」

 

「だからあなたのような新人には私たちみたいにいつまでも上がれないなんて境遇になってほしくない。でもレギュラーメンバー入りを諦めたわけじゃない。同じ仲間でありライバルだから先輩も後輩も関係ない。それが研修生全員の気持ち」

 

「心配しないで。あなたが上がったところで陰口叩いたり炎上狙ったりすることはグループのルールで禁止されてるし、万が一やってしまったら即クビだから。それに私たちはそこまで悪い人じゃないよ」

 

「ありがとうございます。私ももっと頑張ります」

 

「あっ!暗転したって事は…」

 

「始まるよ…前田さんもよーく見ててね」

 

「はい!」

 

アイドルサマーライブが開演されて出場アイドルたちがモニターで紹介されファンは大盛り上がりを見せる。

 

たくさんの色のサイリウムが不規則に美しく光りいろんなファンが来ているんだとあかりは実感した。

 

いずれは私もこのステージに立ちたい、そう思わずにいられないのは研修生の先輩たちだ。

 

あかりはこの様な先輩たちとレギュラーメンバーを争わなくてはならないのだ。

 

そして…

 

「みんなー!盛り上がっていくよー!」

 

最初のトップバッターはスマイリング娘。で今年からリーダーになった吉原かえでがセンターになり低迷期を迎えているグループの火付け役になった。

 

リーダーシップがありながらも心配性な彼女は舞台裏では緊張のあまりにまとめ役の川島清美に喝を入れてもらうという情報が日菜子から聞いたあかりは、かつての王者のリーダーでも緊張するんだ…とステージの大きさを痛感する。

 

LIVEマシーンは新暦の1990年代末にアイドル暗黒期から一大ブームを呼びよせアイドル戦国時代の先駆者となった曲で会場は大盛り上がりだった。

 

続いて48グループ最大のライバルである坂道グループで秋山プロデューサーの従兄弟がプロデュースしている東京の神楽坂46や京都の三年坂46が出て48グループとは違った魅力を見せられる。

 

次についに48グループによるメドレーの番がやってきた。

 

「あっ、48グループが出たよ!」

 

「やっぱり加奈子がセンターかぁ」

 

「48グループ全てのセンターだからやっぱりオーラが違うなぁ」

 

「でも…いずれは追い抜いてみせます…!」

 

「みんなー!今日は新人の子たちを紹介するよー!」

 

「結衣はいつでもー?」

 

「ストイックー!」

 

「大島結衣です!この時のためにトレーニングを積んできました!よろしくお願いします!」

 

「よっ!元気?」

 

「めっちゃ元気ー!」

 

「日菜子を見たらー?」

 

「超元気ー!」

 

「みんなの幼なじみの篠田日菜子です!今日はリアル幼なじみが作った新曲をみんなで歌います!」

 

「あの…えっと…その…キラッ☆」

 

「天使まゆっち俺の嫁ー!」

 

「渡辺麻友美…です…。その…頑張ります!」

 

「刻め!オレのダンスは?」

 

「ひかりのごとくー!」

 

「高橋ひかりだぜ!オレのダンスでみんなも熱くなってくれよ!」

 

「私の花道は…ここよ!」

 

「ここが麻里奈ロード!」

 

「板野麻里奈でーす!今日のみんなはやっぱりノリがいいね!アタシも負けてられないぞ!」

 

「ハーイ!今日のギターソロは誰かなー?」

 

「ずっとエマのターン!」

 

「イギリスから来ました柏木エマデース!疲れてるのに来てくれthank you!」

 

「それで加奈子先輩のコール&レスポンスは?」

 

「私はね…今日は誰が盛り上げるかな?」

 

「加奈子かなーん!」

 

「という感じだよ」

 

「いいですねそれ」

 

「ちょっとシンプルな気がしマース」

 

「ちょっとエマさん…」

 

「ふふっ、相変わらずエマは毒舌だね。とにかく今日はSBY48だけでなくいろんな系列のグループも後から続くので楽しんでください!」

 

こうしてあかりたちは実力者揃いのSBY48のレギュラーグループのパフォーマンスを目にして自分ももっと頑張らないとと奮起する。

 

そんな中で続々と系列グループも後から続いてあかりたち研修生はプロの実力を思い知ると同時に自分たちもいつかは…と夢を見るようになる。

 

ところが…

 

「茶山くるみです…。今日はよろしくお願います…」

 

「くるみちゃーん!」

 

「きゃー!カワイイー!」

 

「無口でミステリアスなところが逆にそそるわー!」

 

「何これ…?」

 

「あれは天才アイドルの茶山くるみだよ」

 

「あの子は歴代のエースたちや今のメンバーが束になっても敵わないと言われている天才アイドル…」

 

「あの子がステージに立つとどんなアイドルよりも輝いてみせるの。全てのアイドルの個性やパフォーマンスをまるで把握しているかのような子なのよ」

 

「それがソロアイドルってものだから私たちからすれば真の実力者なんだ。茶山くるみは最近事務所を移籍したって聞いたけど…」

 

「すごい…私たちはこんなすごい子たちと一緒のステージに建てるときが来るかもしれないんだ…!」

 

「前田さん…?」

 

「こうしちゃいられないや!帰ったらすぐにレッスンします!」

 

「そう…だったら私たちも同じだよ!後輩が燃えているのに先輩がやる気失っちゃあいけないでしょ!」

 

「よーし!目指せレギュラーメンバー入りだ!」

 

「おー!」

 

こうしてアイドルサマーライブの見学会はやる気を上げて今後も頑張ろうと励むなどいい刺激になったあかりたちは帰った後に劇場に残って居残りレッスンをする。

 

レッスン場所はあかりが連絡していたスタジオが実家の同級生のところで泊まり込みをしてみんなで出来ないところを指摘し合った。

 

アイドルとして刺激を与えてもらったプロたちはすべからく努力をしているし、自分の個性や武器をもっと知ろうと日々研究を重ねている。

 

才能だけでやろうとするといずれは限界が訪れ時代と共に消えていく残酷なこの世界。

 

努力したからといって必ず実ったり報われるわけではない、そんなことは自分たちが一番分かっている。

 

それでも努力をやめない理由は…人気者はどんな形であれ誰もが違う努力をしているからではないであろうか…?

 

つづく!


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