ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

27 / 100
第26話 騎士として

二人はデプレシオの妨害にハマり魔物たちに一斉に攻撃されてしまう。

 

武器も手元から離され身動きが取れない状態になった。

 

そんな中で彼女たちは台本に書いてあったあのセリフを思い出した。

 

「麻友美ちゃん…あの台本に書いてあったよね…?最後の覚醒した直後に必殺技を放つ前の…」

 

「えっと確か…私たちはどんな時でも諦めない…。だって私たちは…希望の魔法少女だから…でしたね…」

 

「今のこの追い詰められた状況とあの台本って似てるなぁって思って…」

 

「確かにそうですね…。私たちは演じるはずのキャラクターに…励まされましたね…」

 

「何をブツブツ言ってるんだ…?まぁいい…殺れ…」

 

「私たちは魔法少女っていうほど可愛い系じゃないけど…騎士として絶対に諦めないよ…?」

 

「あ…?」

 

「人に夢を与え応援する立場なのに…自分たちが諦めるわけにはいきませんから…」

 

「だって私たちは…」

 

「夢の騎士…ミューズナイツですからっ…!」

 

デプレシオに諦めない心を叫ぶと二人の胸からまばゆい光が現れドリームパワーを強化した。

 

縛られたはずの縄は光によって燃やされ二人は完全に解放された。

 

同時にそれぞれ近いところに落ちているお互いの武器を取り戻しそして交換するように投げた。

 

「ここからは私たちの反撃だよ…?」

 

「お覚悟は…よろしいですね…?」

 

「どうせハッタリだろ…。今度こそ殺れ…」

 

「ウオォォォォォォォォォォッ!」

 

「あなたたちはたとえ前までの夢が叶わなかったとしても…希望を捨てない限り前に進んでいくんだよ!叶わなかったからってあなたたちは人背を投げ出したりしない時点でもう立派な事なんだよ!だから自暴自棄にならないで新しい自分を探し、そして受け入れて違う夢を見つけようよ!」

 

「それでも苦しいと思いましたら…私たちを思い出してください…!私たちはアイドルですが…もちろん大きな挫折もあります…!でも…だからこそチャレンジ精神や自分を磨く努力を…ずっと持つことが出来るんです…!今は苦しいかもしれません…けど生きている限り…新しい自分に出会うチャンスは…いくらでもあります…!」

 

「ベラベラと説教くさいことを抜かすな…!この俺が直々に…」

 

「説教くさいと感じるという事はお前に思い当たるフシがあるんじゃないか?」

 

「何だと…?誰だ…?」

 

「監督さんっ…!?」

 

「避難していたんじゃ…?」

 

「君たちが心配で駆けつけたのさ!俺の事はいい!早く檻の中の人たちを助けてやってくれ!」

 

「邪魔…するなよな…!」

 

「いけない…!間に合って!」

 

「うわっ…!」

 

「防いだだと…!?」

 

「大丈夫ですか…?」

 

「君は…やはり前田さんか…!という事はあの子は渡辺さんか…!」

 

「黙っててごめんなさい…。どうしても皆さんを巻き込むわけには…」

 

「だろうと思ったよ。けど何もせずにジッとするのは苦手な性分でね。君たちの魔法の力…ここで見せてもらうよ!」

 

「ありがとうございます!麻友美ちゃん!」

 

「もうこちらは大丈夫です…!皆さん…悪夢の時間はもう終わりです…!お目覚めになられてください…!シャドウトリック!」

 

「ウア…ア…!」

 

「ちっ…まぁいいや…。おかげでお前らの戦力は知れた…。次はそうはいかない…」

 

「待って!くっ…行っちゃった…」

 

檻の中の人々はすぐに解放されあかりと麻友美の魔力によって倒れそうなところをクッションで支える。

 

サッカー選手になれなかったサラリーマンや料理人として才能に苦しむ女性、成績が著しくない男子高校生、恋人が出来ず異性恐怖症を拗らせた男性、子育てが上手くいかずに悩んでいる専業主婦、国の衰退を憂いて政治家になろうとしている男子大学生、オタクとして民度が低い事をずっと気にしていた鉄道オタク男子、部活のレギュラー目指して青春を捧げるバレー部女子、違う現場でエキストラから抜け出せない俳優駆け出し、そして本当はカメラマンになりたかったアルバイト女性を救出する。

 

それぞれ叶わなかった人や叶ったけど理想と現実のギャップに悩む人、叶ったけど才能に悩み諦めた人など多種多様な人たちが魔物にされた、その事が二人にとって大きな試練となった。

 

このままでは敵との攻防戦も一筋縄ではいかないと思い、すぐに秋山Pに相談のメッセージを送った。

 

一方の撮影は…

 

「んーっ!君たちさっきまで戦ってたからより勇ましい顔になったね!」

 

「ありがとうございます!」

 

「監督!今日の撮影終了時間までまだ時間があるそうです!」

 

「おーマジか!じゃあせっかくだし出前を頼んでみんなで食べよう!」

 

「はい!」

 

撮影が無事に終了し時間に余裕があったのでピザ屋の出前をみんなで頼むことになる。

 

もちろん料金はみんなで割り勘だがあかりたちもせっかくのご馳走だからと遠慮をせずにいただくことになった。

 

会食しながら次の回はどんな内容にしようか、敵キャラたちの接触をどうするか、二人のすれ違いをどう表現するかなどで盛り上がり今後このシリーズは人気作になるだろうという予想もついた。

 

この番組は日曜の朝にやる予定で子どもたちだけでなく朝早くから仕事するオタクたちをターゲットにしている。

 

あかりと麻友美はそんな将来のファンのために撮影を続けるのでした。

 

つづく!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。