結衣はリーダーとして加奈子は先輩としてミューズナイツのアイドルとしての活動の会議をする。
グループ結成したのはいいもののまだ活動は具体的になっておらず宣伝でファンを獲得しようと頑張った。
それが功を成してスタートダッシュは成功した…かに見えた。
「これを見て…」
「ええ…やっぱりこうなっちゃいますよね…」
「センターの秋山加奈子とその引き立て役の新人7人による新グループ結成…。パパが許可したとはいえここまでの評価だと思わなかったよ…」
「私も悔しいですが、新人がセンターと組んだ以上はこうなるのは覚悟していました。けど…」
「けど…?」
「逆に言えば加奈子先輩だけじゃないと言わせられる可能性もあるという事です。それに秋山プロデューサーから新たな仕事があるそうですよ」
「パパから?一体どんな…?」
「私が筋トレを日課にしているということで運動系の番組に呼ばれたんです。加奈子先輩もよかったら一緒にどうですか?」
「いいの?私はセンターだからあなたの印象をなくしてしまう可能性があるけど…」
「いいんです。センターと共演出来るチャンスなんて滅多にありませんから」
「なるほどね、私を成長の糧にするってことだね。わかった、結衣の番組に出てみるよ」
「ありがとうございます」
こうして結衣が出演する事になった運動系の番組の出演が決定する。
場所は日本放送テレビことNHTのスタジオでなるべく軽装の運動着を持ってくるようになっていた。
収録日になると結衣は張り切って移動し加奈子は一体どんな企画なのか少しだけ心配になった。
スタジオに到着した二人は運動着に着替えて撮影の準備をする。
「それじゃあ今日から始まる女性のための筋肉トレーニングのコーナーのメンバーです!まずジムで筋トレが日課の大島結衣ちゃん。そして誘われて参加する事になった秋山加奈子ちゃんです」
「よろしくお願いします!」
「そしてメインキャストの…」
「杉本まなつです!よろしくお願いします!」
「相変わらずげんきがいいね。まず番組の説明をしますね」
この番組では女性のための筋肉トレーニングをテレビの前で実践するコーナーで女性特有の健康的でスリムボディを目指す企画だ。
そのために結衣は番組にうってつけだと秋山Pに推薦され、通っているジムからも推薦されたことで選ばれたのだ。
そこでビジター会員として秋山加奈子を誘ったと結衣は後で説明をした。
加奈子はちょうど運動して体力をつけようと思っていたのでこの企画はチャンスだと思った。
そして収録撮影の時間になり本番が行われる。
「筋肉は女性でも裏切らない!杉本まなつです!今日は家でも出来る簡単な腹筋の筋トレを行います!今日からテレビの前のダイエットに悩む女性たちのために筋トレを伝授します!新入生だけでなく新入早々ビジター会員を連れてきました!ではどうぞ!」
「新入会員の大島結衣です」
「秋山加奈子です。よろしくお願いします」
「ビジター会員の秋山加奈子です」
「まさかSBY48のセンターが来るなんてビックリだよ!では早速腹筋を行うよ!まずは仰向けになって…肘と前腕を床につけて…指先と前腕で立つ!はいっ!それを1分3セット!」
「ふんっ!」
「さぁ腹筋だけでなく背中にもパンプしているよ!」
「結構きつい…!」
「あと5秒!4!3!2!1!はい終了!」
「はぁ…はぁ…!」
「いいね!お腹のここに力が漲ったでしょう?みんなで一緒に…ナイスバルク!」
「はいOKでーす!」
「ひぃ…!」
「加奈子先輩大丈夫ですか?」
「結衣は普段からこんな事してるんだ…!確かに肉体もメンタルも強いわけだよ…」
「女優としてみっともない身体は見せられないので鍛えているんですよ。それに腹筋は発声にも影響が出るので鍛えればより素直な声になるかと思ってます。ただ筋力だけではカバーしきれず体幹力や柔軟性も兼ねてないとケガのリスクも上がるんですよ」
「そりゃあストイックなわけだ…」
「はい休憩終わり!もう2セットいくよ!」
「はい!」
「そう言えばまだあった…!」
「よーい…スタート!」
~NHTスタジオ周辺~
「相変わらず夢に満ちてて腹が立つなぁ…!叶わなかった人間共や諦めかけた人間共をエネルギーにするか…。それに…皇帝陛下からいただいたパワーアップの薬の効果も試せるしな!ダークネスパワーよ…くだらない幻想を捨て、この世界を未来なき世界に変えよ!」
「うっ…うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
~スタジオ内~
「はぁ…はぁ…!」
「大丈夫ですか?」
「本当に…凄いね…結衣は…」
「これは慣れですよ。私も最初は結構きつかったんですよ」
「そうなんだ…」
「緊急事態発生!渋谷駅周辺で謎の化け物と檻に閉じ込められた人が5人ほどいます!警察が対応しますので皆さんはここで待機してください!」
「檻に閉じ込められた人々…まさか!」
「行きましょう先輩!」
「ちょっと!今の放送聞いてなかったの!?」
「杉本さんはここで待っててください!」
「私たちには原因がわかるんです!」
渋谷駅に向かった二人は十字路で暴れ回っている5体の魔物を発見し、周りを見渡すと5人の男女が檻の中で閉じ込められ無気力状態になっていた。
魔物は自棄になるように暴れ回り街こそ壊さなかったけど人々に襲いかかっていた。
結衣と加奈子はこの一大事の中で魔物の声を聞いてみる。
「ジブンデハ…ダレモスクエナイ…!」
「ボクノコエハ…モウトドカナイ…!」
「ワタシノノコイハ…モウトドカナイ…!」
「ダレモオレヲミテクレナイ…!」
「ヤルキガナイダト…フザケルナ…!」
「こんなに大勢の人々を苦しめるなんて…許せないわ!いきましょう!」
「うん!」
「ミューズナイツ!レッツミュージック!」
「HEY!HEY!HEY!」
「重ねるは心のハーモニー!大島結衣!」
「ときめくは心のファンファーレ!秋山加奈子!」
「来やがったな忌々しい騎士共!あいつらを地獄に落としてやれ!」
「うわっ!」
「5対2…こっちが分が悪いわね」
「でも私たちは夢の騎士だから騎士道を貫いて戦おう!」
「はい先輩!これでもくらいなさい!ヒートショット!」
「私だって!ロケットドリル!」
「………」
「効かない…?」
「まさか魔物がパワーアップしているというの…?」
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「きゃあっ!」
「くっ…!」
「とどめは俺じゃあ!ウラァッ!」
「きゃあぁっ…!」
「ふはははは!夢の騎士共もその程度とはな!」
「あいつは確か…アクムーン帝国三銃士の…」
「ディストラ…何故あなたが私たちに…?」
「ほう、よく見ればベテラン騎士さまじゃあねぇか。冥土の土産に教えてやるよ。皇帝陛下は早く人間共を無気力にして夢を奪い文明を滅びさせるのさ。そうすれば人間共はこれ以上進化せず地球のためになるだろ?そういう事だぜ」
「地球のためなら他人を滅ぼしてもいいってワケ…?」
「いいけど?俺は人間のやる気が大嫌いなんだよ。そのやる気のせいで人間共は進化したことをいい事に落ち込んだりするじゃねぇか。そんな煩わしい感情なんか捨てて無気力になって楽に生きればいいんだよ」
「……」
結衣と加奈子はディストラの圧倒的パワーに押され言葉も失うほどショックを受ける。
無気力になれば人は成長する事をやめ何の感情も感じなくなってしまう。
人間らしさを失えば生きる希望もなく死ぬことも考えなくなる。
このまま二人は負けてしまうのか…?
つづく!