ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

37 / 100
第36話 紅白本番

新暦2018年も年末になりもう世の中は紅白歌合戦ムードになる。

 

最近はあかりも神7候補として名乗りを上げつつあり他の同期たちも先輩たちを続々と追い抜いていった。

 

先輩たちは焦りを見せつつもあかりたちの急成長に感心し自分たちも負けてられないと紅白メンバーを中心に奮起した。

 

そんな中でついに…紅白歌合戦の本番の日が訪れた。

 

「さぁお待たせしました!第100回紅白歌合戦、今開演です!司会は私、白組の島田慎二と…」

 

「紅組の本田綾香でお送りいたします!今年もまたいろんな事がありましたね!」

 

「ええ、今年は何と言ってもたくさんの芸能人が一気にデビューした年でしたね。そんな中でフレッシュな初出場もいますので乞うご期待ですね」

 

「私的にはアルコバレーノに期待しています!」

 

「なるほどー、では参りましょう。白組のトップバッター、Phantomです!」

 

「よっしゃー!ロックにいくぜー!」

 

アルコバレーノと同じ事務所のロックバンドのPhantomが先頭を仕切りNHTホールをすぐに熱狂させた。

 

SBY48の出番は女性アーティストの紅組の大取りを務めるので最後になる。

 

あかりは緊張しつつもたくさんのアーティストのパフォーマンスを見て熱心にメモを取って勉強していた。

 

結衣はその勉強熱心な向上心のおかげであかりはここにいるんだと何度も先輩たちに語っていたことはヒミツである。

 

続いて秋山プロデューサーが個人的に気になるアーティストでアイドルのアルコバレーノの出番になりメンバー全員を集めて舞台袖でパフォーマンスを目にさせる。

 

「あの子たちって…」

 

「最近話題の個性はアイドルグループらしいですね…」

 

「へぇ…そんなやつらがアイドルやってたとはな」

 

「でも何だか…不思議な力を感じるデース」

 

「うん…間違いなく何か力を感じる…」

 

「みんな。感心するのもいいけど私たちは私たちのやれる事を全力でファンに届ける事だよ。私たちが怯んでたらファンに失礼だよ」

 

「は、はい!」

 

「加奈子先輩ハンパねぇ…これが神7のトップ…」

 

「といっても神7候補は…結衣さん、日菜子さん、ひかりさん、エマさん、麻里奈さん、私、そしてあかりさんみたいです…。加奈子先輩は…卒業がささやかれていて選挙からはずれるとの噂があります…」

 

「でも加奈子先輩はミューズナイツとして私たちを先導する役目があるんだよ。そう簡単にやめるはずがないよ」

 

「確かにそうだね…」

 

「みんな、無駄口を叩いてないであの子たちのパフォーマンスを見なさい。あかりをよく見なさい、私の声すら気付かないくらい集中してるんだから」

 

「お、おう…」

 

あかりたちはアルコバレーノのパフォーマンスに圧巻され自分たちにはない個性のぶつかり合いと協調性にいつの間にか48人全員が魅了されていった。

 

萌仁香はあまりのパフォーマンスにキャラ作りを忘れかけるほどだったくらいだ。

 

次の注目アーティストの月光花は京都のローカルアイドルで近いうちにUMD48と関西王者を争う存在になるといわれている。

 

そんな彼女たちからもミューズナイツの9人はアルコバレーノや自分たちとは違う何か不思議な力を感じすれ違うだけで自分たちの行いを悔いてしまうほどだった。

 

紅白歌合戦も終盤にかかり日菜子と麻友美は振り付けの打ち合わせをしていると金髪でウェーブがかかった赤いリボンを付けた女の子が威圧的に声をかけた。

 

「そこ!わたくしのテリトリーに入らないでくださる?あなたたちのような下民が入る隙なんてないですわよ?」

 

「何こいつ…!?」

 

「あの…ここは皆さんで共有し合うところでして…」

 

「わたくしに歯向かうつもりですの?まぁさすが下民というべき存在ですわね。いいですわ、今回は譲って差し上げますわ。ですが…次はないとお思いなさい」

 

「何こいつ…何かムカつくんだけど…!」

 

「確かに怖いです…」

 

「あ、いた。日菜子、麻友美。あ…すみません、この子たちまだ新人で不安なところがあって話し合ってただけなんです。それでは…失礼します」

 

「ふん!」

 

「加奈子先輩!何であんな奴に敬語で下手に出るんですか?あんな奴に頭を下げるなんて納得いきません!」

 

「あの…日菜子さん…私は気にしてませんから…」

 

「高飛車きらら…あの子の両親が世界中の大手企業や大物たちを買収して大きくなった超巨大企業なんだ。そしてそれに逆らった会社や国々はあらゆる手で蹴落とされて社会復帰が困難になるほどの制裁を受けてしまったんだ。その企業の名は…高飛車財閥」

 

「何ですかそれ…?」

 

「高飛車財閥…数々のアニメ制作会社やゲームメーカーを買収していろんなシェアを独り占めしている悪徳企業です…。まさか芸能界にまで手を出すだなんて…きっとあの子はその一人娘かもしれません…」

 

「目を付けたって事は…今後あの子には注意して。どんな手段で陥れられるかわからないから」

 

「は、はい…!」

 

日菜子と麻友美は不幸な事に高飛車きららに目を付けられてしまい加奈子の説明と麻友美の情報で三人は不安になってしまった。

 

その高飛車きららは圧倒的ワンマンパフォーマンスでありながらも実力は歴代の神7を凌駕するほどで文句のないものだった。

 

あかりは熱心にメモを取るもどこか悲しげで苦しそうな表情に疑問を覚える。

 

そして日菜子と麻友美と加奈子が合流し全員揃いもうすぐ出番が来る。

 

日菜子はムッとしていて麻友美は不安げで加奈子は高飛車きららを警戒していたが他の子たちは緊張しているだけだと流していた。

 

「この大舞台で緊張するのもわかるけど、私たちはアイドル界の王者ってだけでなくファンを応援する最高のアイドルでもある。その誇りを胸に紅白歌合戦の大取りを務めよう!」

 

「はい!」

 

「S!B!Y!」

 

「48!」

 

こうしてSBY48は新人を10人以上抱えてもなお最高のパフォーマンスを発揮し周りを引き寄せないほどのオーラで会場を最後の最後で大きく盛り上げた。

 

SBY48名曲メドレーで締めくくり加奈子は自分がセンターになるだけでなく他の子たちにもソロやセンターなどを譲るなど自分だけが主役じゃないと層の厚さを見せつけた。

 

あかりたちも慣れない先導に戸惑うも次第に慣れてきたのか適応できるようになった。

 

パフォーマンスを終えるとアルコバレーノのみんなが舞台袖からお出迎えしてくれて拍手に見舞われた。

 

あかりは桃井さくらという子に憧れられていると気が付き声をかけた。

 

「これが私たちSBY48です。皆さんとても素敵なパフォーマンスでした。また共演出来たらよろしくお願いします」

 

「あかりちゃんもよろしくね。アイドルのトップであるあかりちゃんとお友達になれてよかった」

 

「それにしても…高飛車きららは気になるな…。何であんなに他人を見下していやがるんだ…?」

 

「うーん、何か過去にあったのかもしれないね。今後彼女には気を付けてくださいね」

 

「わかりました」

 

ミューズナイツの9人は騎士の力であるドリームパワーですっかり注目を浴びてしまい新たなる神7候補現るとして話題になった。

 

中にはもう世代交代で加奈子もろともあかりたちはもう神7なのではとささやく者もいた。

 

結果は紅組の勝利で全員未成年のためお酒は飲めず打ち上げには参加する事が出来なかった。

 

それでも充実した年末年始になり平和な日常を送る…はずだった。

 

つづく!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。