ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

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第37話 ミューズナイツ始動

1月になり宣言通りミューズナイツはSBY48の系列でデビューを果たす。

 

最初のレコーディングやダンスのレッスンは一通り終えていてセンターをあかりに置くことが決まった。

 

そしてついにPVの撮影の時が来た。

 

「さぁ、今日からPVの撮影だよ。応援団のつもりでチアガールと応援する学生たちを演じてほしい。勉強を頑張る学生や仕事を頑張る社会人への応援だから気合い入れていこう」

 

「はい!」

 

「先輩方…萌仁香すごく緊張してますぅ…」

 

「ええ、私もこんなに緊張するのははじめてよ」

 

「うう…」

 

「麻友美ー大丈夫かー?」

 

「いえ…その…あんまり…です…」

 

「そんな時はこれだよ。失敗して当たり前だから全力でやろうって気持ちになるんだよ。神さまでさえ何度も失敗を重ねてきてようやく神さまになったんだもの」

 

「イエス。エマの信じる神さまも失敗を重ねてロックの神さまになりマシタ。だから麻友美が怖がる必要はないのデース」

 

「あかりさん…エマさん…。そう思うと少し楽になりました…。ありがとうございます…」

 

「じゃあ智也、ここで見ててね!」

 

「おう!頑張れよ!」

 

「メイクもヘアーもOK!メイクさんありがとー!」

 

「いっちにっさんっしっ!うし!準備完了だぜ!」

 

「みんなそれぞれ準備万端って感じだね。じゃあ監督さんに挨拶に行こう」

 

「はい!」

 

「おお、今日はよろしくね」

 

「よろしくお願いします!」

 

こうしてミューズナイツのみんなはPVの撮影に入る。

 

1月になった時にアクムーン帝国が攻めてくるというけれど今のこの状況で攻められたらミューズナイツの活動に大きく影響が出てしまう。

 

そのためみんなは何度も来ないようにお祈りをしてきた。

 

最初の撮影は学生服風の衣装で振り付けを踊り、そして所々で何人かと組んではしゃいだり抱き合ったりして喜びを表した。

 

萌仁香はPVに慣れてないのにライブ慣れしているのか撮られることに慣れている感じだった。

 

萌仁香の緊張は先輩たちの足を引っ張らないかの事であり失敗することではないのでスムーズに進んでいった。

 

あかりも研修生からレギュラーメンバー入りしただけでなく神7候補として選ばれている自覚を持ってから急激に成長している。

 

加奈子のプロデュースを先導に他のみんなもそれぞれの個性に合った応援のし方で撮影をスムーズに進める。

 

制服だけでなくチアガール衣装でも振り付けを踊るので次の撮影はチアガール衣装へと着替える。

 

メガホンとポンポンを持って振り付けとは違うダンスを踊るので加奈子以外は苦戦を強いられた。

 

「ちょっと一回休憩入ろうか!ここまでずっと休みなしでやっちゃったからなぁ…」

 

「はぁ…はぁ…!」

 

「わかりました。お昼休憩入ります」

 

「ちょっと楽しみすぎて調子に乗っちゃったな…」

 

「マジで…アタシらやれば出来るんじゃん…」

 

「けど…飛ばし過ぎもよくないわね…反省したわ…」

 

「おいおいもうバテたのかよ?」

 

「ひかり…アナタはどうしてそんなにタフデスか…?」

 

「あ?決まってんだろ。毎日激しい運動とダンスをしてきてんだ。これくらい出来ねぇとライブでヘバるぞ?」

 

「あかりさんも…平気そうですね…」

 

「私の学校はテニスの強豪校だから結構ハードな練習を普段からやってて、それで体力と精神力は鍛えられたかな」

 

「すごい…あかりの意外な一面だ…」

 

「渋谷芸術学園はテニスの強豪だっけ?確かあかりって去年全国大会でベスト16じゃなかったっけ?」

 

「加奈子先輩どうしてそれを…?」

 

「パパが管理している履歴書とかプロフィールを読んだんだ。そうしないと他のみんなを引き出せないでしょ?それにみんなの事を知る事でよりグループのパフォーマンスを発揮できるって思うんだ」

 

「だから私たちの事をこんなに知っていたんですね。リーダーとしてまだまだですね」

 

「これからだよ結衣ちゃん。加奈子先輩は長年グループにいたから出来るんだと思うよ」

 

「それもそうね。私ももっとみんなの事を知らなきゃ」

 

「じゃあ結衣、オレとジムでどっちが力持ちか競い合おうぜ!」

 

「相変わらず脳筋デース」

 

「何おう!?」

 

「もうまた…」

 

「お、みんななかなか合流できないのに仲がいいんだな。喧嘩し合ってる子たちもいるから心配だったけど杞憂(きゆう)だったみたいだな…。よし、そろそろ休憩を終わりにしよう!撮影を続けるよ!」

 

「はい!」

 

チアガール衣装の撮影を再開しみんなはお互いの事を話し合って意外な一面を知り合う事が出来た。

 

そのおかげか撮影は想像以上にスムーズに進み監督の予想を超えるチームワークで撮影を完璧にこなしていった。

 

これにはさすがの加奈子も驚いてみんなの急成長を糧にもっと自分を高められると実感した。

 

そして…

 

「よし!これで撮影は全部終了です!お疲れ様でした!」

 

「お疲れ様でした!」

 

「よっしゃあー!終わったー!」

 

「エマは何か洋食が食べたいデース!」

 

「萌仁香もオシャレな食べ物がいいですぅ」

 

「じゃあ私の奢りで洋食店に行こう」

 

「やったー!先輩マジ太っ腹!」

 

「ゴチになります!」

 

加奈子はそれなりに稼いできたのでお金に余裕があり9人分の食事を払えるほどだった。

 

みんなは渋谷にある隠れ名店の洋食店に足を運びみんなそれぞれ食べたいものを注文する。

 

あかりと麻友美はホットケーキ、結衣と加奈子はスパゲッティ、ひかりとエマと日菜子はステーキ、そして麻里奈と萌仁香はオムライスを注文した。

 

それぞれ自分の事や友達の事、芸能界に慣れてきたかどうかの会話をしミューズナイツは本格的に始動したんだと実感がわく。

 

さらに結成会見を秋山プロデューサーが記者を呼んで夕方に開きミューズナイツは順調に注目を浴びる…はずだった。

 

店を出た直後に突然アクムーン帝国の三銃士が奇襲をかけ渋谷の街を荒していったのだ。

 

「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「助けてえぇぇぇぇぇっ!」

 

「ママー怖いよー!」

 

「あーあ…皇帝陛下のご命令とはいえ何で破壊なんかしないといけないんだろ…」

 

「そう言わないでください。我らが皇帝ゲーツィス様は人間共の夢や可能性を潰してある目的を果たし無気力化させるのですから」

 

「ふはははは!くだらない夢なんざ見るから平和ボケをするんだよ!その花畑な頭と心を反省して絶望しろ!」

 

「やめて!これ以上この街を壊さないで!」

 

「あ?」

 

「やれやれ…ただの人間がまた来ましたか…」

 

「よくも私たちの街を…人々の夢や平和を…!みんな!いくよ!」

 

「はい!」

 

「ミューズナイツ!レッツミュージック!」

 

「HEY!HEY!HEY!」

 

「みんな!いくよ!」

 

「うん!」

 

「へぇ…そんなに張り切って大丈夫…?お前たちが今戦えば…この街を滅ぼすだけでなく人間共のドリームパワーを奪う事も出来るし…何なら無気力化させてから殺すけど…?」

 

「何ですって…!」

 

「そこでジッとして我々を見逃すか…抵抗して皆さん諸共世界を滅ぼすか…二つに一つお選びください」

 

「なんて卑怯な奴らだよ…!」

 

「こんなの…あんまりだ…!」

 

「ふざけるな!オレたちはテメェらのために利用されてるんじゃねぇ!全員まとめてぶっ潰してやる!」

 

「待ってひかりちゃん!早まらないで!」

 

「おらあぁっ!」

 

「ふふっ…かかりましたね。ふんっ!」

 

「うがあっ!」

 

「ひかり!」

 

「へへっ!今の衝撃で飛んで火にいる夏の虫こと野次馬が来たようだな…。お前らの命知らずさを称えくたばれっ!」

 

「間に合わない…!」

 

「そんなこと…させないよ!やあぁぁぁぁぁぁっ!きゃあぁぁぁぁぁっ!」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「しまった!」

 

「加奈子先輩!」

 

「そんな…街の皆さんが…」

 

「守れなかったのね…私たち…!」

 

「ミューズナイツに告げる。もしも我々アクムーン帝国と戦いたくば帝国に足を運ぶが。いい。来週の今頃に代々木公園にて入り口を設けます!来ても来なくても人間共の夢や希望を奪い世界を破滅に追い込みましょう。では…」

 

そう言ってアクムーン帝国の三銃士は渋谷を破壊するだけしていってそのまま消えていった。

 

加奈子は何とか軽傷で済んだものの巻き込まれた一般の人は少なくとも10人は重傷で3人ほど意識不明の重体になった。

 

そしてミューズナイツに更なる試練が襲ってくるのだ…

 

つづく!


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