ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

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第3話 使命を背負う

ヴィオラと呼ばれた女性に視線を向けると、とてもこの世のものとは思えないほどの美貌を持つ女性がそこにいた。

 

あなたと呼んでいたところきっと彼とは夫婦の関係なんだとあかりは考えた。

 

するとあかりの考えを見透かされたかのように女性は自己紹介を始めた。

 

「はじめまして。あなたが娘の加奈子を助けた子ね。私はヴィオラ・シンフォニア。さっきの魔物に侵略されたユメミール王国の女王よ。よろしくね」

 

「は、はい。前田あかりです。あの…ユメミール王国って何ですか?」

 

「ユメミール王国とは人間たちが夢を見たり、努力して成長したり、歩むべき道を進む手助けをする妖精の国よ。15年前までは平和で人間たちもとても頑張っていたの。ところが…地獄界からアクムーン帝国が襲いかかり、王国はまともに戦う事が出来ずすぐに占領され、国民は女王の私だけでも逃げなさいと押し通してこの世界に迷い込んだの。そんな時に夫である彼に出会い、伝説のミューズに選ばれた騎士候補として加奈子を産んだの。そこでいつ人間界にまで魔の手が及んでも守れるように加奈子を騎士として育て、ドリームパワーの源である魔力を集めるためにアイドルグループを設立したの。そこで加奈子は周りを見る力と自分を高めるためにいっぱい努力してセンターになり、ようやく騎士として戦えるようになったの。でも…この15年間でアクムーン帝国は力をつけていて、もう加奈子一人で戦える状態になくなり、騎士候補としてオーディションを開かせたのよ」

 

「それに大勢のアイドルたちが脱退したり卒業したりとしてね。人数が不足したことも重なり君たちを入れたんだ。利用しているみたいですまないとは思っている。だが愛する妻の故郷を取り戻すためには君の力も必要なんだ。危険な事だってのは私だってわかっている。いざとなったら私がこの身を捨ててでも戦うつもりだ。私からもお願いだ…人々の夢のために…一緒に戦ってほしい…」

 

「あの…顔を上げてください!私に出来るかどうかはわからないですけど…加奈子先輩は私を認めた上で選んでくださった。その期待に精一杯応えようと思っています。危険だとわかっていても、私にもアイドルになる夢があり、今度は与える番になったという自覚もあります。だから…協力させてください!」

 

「いいのかい…?君みたいなアイドルの素人がこんな危険な運命のためにアイドルをさせても…」

 

「もちろん怖いです。でも…誰かがいずれやらないと、加奈子先輩はおそらく倒れてしまい、誰もこの世界を救う事は出来ません。戦力になれるかはわかりませんが、力を合わせればきっと世界を守る事は出来ると思います」

 

「あなた…彼女の目とドリームパワーは本物よ…。もしかしたらきっと…」

 

「ああ…わかった。前田さん…よろしくお願いします」

 

「こちらこそよろしくお願いします!」

 

「それじゃあ明日宣材写真だけでなくレッスンがあるからそこで会おう。あなたは合格とはいえ育成枠の研修生だから本番はまだでも乗り越えられれば現場に出るのも夢じゃないよ。心配しないで、私があなたの面倒を最後まで見てあげるから」

 

「ありがとうございます!」

 

「もうこんな時間か…。ご両親は私から遅くなると伝えるよ。私たちの運命に付き合ってくれてありがとう。これからもSBY48としてよろしくお願いします」

 

「はい!」

 

こうしてあかりは騎士として加奈子を支える決意をし、ユメミール王国の女王でありプロデューサーの妻であるヴィオラ・シンフォニアとも出会う。

 

あれからユメミール王国を救うべくあかりと加奈子はレッスンと仕事だけでなく、戦いに備えてトレーニングにも励んだ。

 

そしてついに宣材写真の撮影が始まる。

 

「これが宣材写真の…!」

 

「結構本格的でしょ?こうやってグループのプロフィールに載せて知名度を上げるの。私も研修生時代はそうやって頑張ったんだよ」

 

「そうなんですね」

 

「それじゃあ合格者の六人はメンバー用の、あかりは研修生用の撮影をするのでメイクと衣装でメイクアップしてね」

 

「はい!」

 

「あかりだけ研修生なんだ。ちょっと残念だなぁ」

 

「ホントそれな。アタシも一緒に仕事したかったなぁ」

 

「エマもしたかったデース。でも…彼女はきっと最後は上がりマスよ」

 

「そうね。私たちは彼女がメンバーになるまで待つしかないわ。後は彼女の実力次第…。それでダメなら…」

 

「贔屓(ひいき)で選ばれたって事デース」

 

「おいエマ、それは言い過ぎだろ。あいつに聞こえたらどうすんだよ!」

 

「でも…言い過ぎかもですが…エマさんの言う通りかもしれません…」

 

「とにかく私たちは待ってようよ!あかりが上がってくるのを信じよう!」

 

「ええ、そうね。それが一番いいわね」

 

(なんかみんな私の話題になっているなぁ…。何を話しているんだろう…?)

 

あかりはみんなとの会話が全部聞き取れず何を話していたのか気になったけれど、今は宣材写真の撮影に集中しなければとメイクの人に相談しながら鏡を見つめる。

 

メイクが完成すると撮影用の私服に着替えて写真を撮り終える。

 

メンバーはみんな私服で、黒いデニムジャケットに青いレギンスを穿いた結衣、赤のチェックシャツに紺色のトレーナーで重ね着したベージュのショートパンツの日菜子、タートルネックの縦ニットに黒いロングスカートの麻友美、黒いスタジアムジャンパーにベージュのチノパンを穿いたひかり、グレーの肩出しニットにデニムのショートパンツの麻里奈、そして黒いカーディガンに白いスカートを穿いたエマと経験者なりのオシャレをしていた。

 

一方のあかりは研修生用の衣装として紺色のブレザーにイメージカラーであるピンクのチェック柄スカート、さらに白いニーソックスに黒い足首サイズの編み上げブーツに着替え本格的な衣装になる。

 

あかりはこのまま研修生からメンバーに昇格できるのか…?

 

つづく!


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