ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

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第42話 ディストラ

一方の結衣とひかりと萌仁香はディストラと戦う。

 

岩山の足場の悪さでパワー派たちは苦戦を強いられディストラは岩山でも関係なく破壊しながら軽々と動く。

 

ディストラの大きな斧は岩をも砕くので同じ大きな斧使いのひかりは少しだけ自分の非力さを恨んだ。

 

「クソッ!あいつパワーありすぎだろ!」

 

「そうね…あんなにパワーがあるとは思わなかったわ」

 

「あの人ぉ…何であんなに破壊ばかりするんですかぁ…?」

 

「私も知りたいわ…」

 

「オレより馬鹿力なんじゃねぇのか?」

 

「お?あまりの力の差に怖気づいたか?やっぱり圧倒的な力の前で名人間というのは諦めたくなるものよ!」

 

「でも…勝てない相手じゃなさそうね。私たち三人が力を合わせれば…」

 

「萌仁香たちでディストラを超えられますね!」

 

「よっしゃあ!オレに続け!」

 

「ええ!もちろんよ!」

 

「夢見る乙女でも脳筋かよ…。だがそれが逆に面白い!死ねえぇっ!」

 

「うるせぇ!そう簡単に死んでたまるか!おらあぁっ!」

 

「うっ…!こいつ…どこにそんなパワーが…」

 

「今だっ!えいっ!えいっ!」

 

「くっ…!人間のクセに生意気なっ!」

 

「あら…私のことを忘れてもらったら困るわよ?」

 

「何ぃ…!?」

 

「それっ!」

 

「ぐふっ…!鎧越しに強引なやつめ…!」

 

「そ、それはお互い様ですよぉ!」

 

「アイツ戦いの最中なのにまだぶりっ子なんだな…」

 

「しーっ…きっと自分の性格がコンプレックスなのよ?」

 

「何か言いましたぁ?」

 

「あーいや、何でもねぇ。それより…アイツ鎧越しに強引にダメージ与えたのに…」

 

「まだノーダメージって感じね…」

 

ディストラはあまりにも重くて硬いプレートアーマーを装着していてちょっとやそっとの攻撃では通用しない相手だった。

 

おまけに身体つきも大きく筋肉がさらに防御力を上げていて典型的パワータイプだった。

 

大きな斧をひかりと同様に軽々と片手で振り回すほどのパワーで辺りをすぐに台風の様な風圧を起こすので容易に近づけないのだ。

 

すると結衣はある事をひらめき作戦会議を開く。

 

「萌仁香、あなたのその巨大ハンマーで大地震を起こせないかしら?」

 

「えっと…萌仁香ですかぁ?」

 

「ええ。あなたのそのハンマーの威力ならあいつが跳んだ隙にひかりが身体能力を活かして地面に叩き落とす。そして私がこのハルバードの穂先で急所を突くの。どうかしら?」

 

「面白ぇ…!その作戦…乗ったぜ!」

 

「か、覚悟してくださいっ!萌仁香のハンマーをくらえっ!えーいっ!」

 

「うおっ!?危ねぇ…バランスを崩すところだったぜ!ここまで跳べば人間共もさすがに…」

 

「おい、オレの運動神経をナメてねぇか?」

 

「何だと!?」

 

「これでもくらえ!オルゥアッ!」

 

「ぐはあっ…!」

 

「今よ!はあぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「ふん…俺の裏をかいたことは褒めてやるよ!だがな!ぬうぅぅぅぅぅんっ!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「結衣!萌仁香!」

 

「おい、お前はどこを見ているんだ?」

 

「しまっ…」

 

「オラアァッ!」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁっ!」

 

結衣の作戦は決まる直前で失敗しディストラは少し着地にバランスを崩すものの大崩れせず着地する。

 

手を放してしまった斧をすぐに拾い上げて結衣の首を掴んで怒りを露わにしてそのまま岩山へと投げ飛ばす。

 

結衣は背中を強く打ってしまいそのまま崩れるように倒れるもディストラは結衣への攻撃をやめようとしなかった。

 

そんな時にひかりは結衣を守るために苦しみながらも立ち上がりそしてディストラにタックルを仕掛けた。

 

「オレの大切な仲間に…触んじゃねぇっ!」

 

「うっ…!」

 

「ひかり…あなた…!」

 

「へへ…心配すんな…。少しだけ足首ひねったが…騎士になると痛みは対して感じねぇのな…。それよりも…大丈夫か…?」

 

「ひかり…後ろ…!」

 

「この…ガキがっ!」

 

「させません…!」

 

「このガキ!放しやがれ!」

 

「いやっ!いやですぅっ!まだ先輩方に恩返ししてませんからぁっ!」

 

「オレも同じさ…。オレガ気が短くて喧嘩っ早いのに…結衣はそれでもオレを信じ…個性を活かすようになだめたりしてくれたんだ…。そんなオレたちのリーダーを捨てるなんて…オレには出来ねぇ!だから…そこをどきやがれっ!うおぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

「うわあっ!」

 

「立てよ結衣!こっからが本番だ!必殺技でアイツを倒そう!」

 

「ええ!」 「はいっ!」

 

「おのれ…!」

 

「オレたちの底力…受けてみやがれ!ダイナマイトボンバー!」

 

「覚悟してくださいっ!ミョルニルメテオ!」

 

「あんまり人間の夢の力をナメないで!スカーレットラッシュ!」

 

「はぁ…もういいや…!うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

「嘘でしょ…!?」

 

「萌仁香たちの渾身の一撃が…」

 

「ああもあっさり返しやがった…!」

 

「はぁ…はぁ…!テメェら…よくもこの俺をこの姿にさせてくれたな…!この姿になると俺たち三銃士は寿命を縮めるが…誰にも負けない最強の力を手にするのだ!俺の命が尽きても…お前らの命が尽きる方が先になるだろう!この姿にさせてしまった事を…あの世で後悔して自分たちの夢がいかにちっぽけだったかを思い知るがいい!」

 

ディストラは筋肉質で右目周辺に切り傷があるモヒカンの男性から角が生えてワシのような翼にライオンのような胴体、それも二足歩行で真の姿へと変える。

 

その姿はまるで獲物に飢えた獣でもはや理性も何もないパワーでごり押す戦術へと変貌した。

 

このままパワータイプの三人は圧倒的なパワーの差を埋められるのだろうか…?

 

つづく!


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