ディストラが最後の手段で巨大化し結衣たちはあまりのパワーに苦戦を強いられた。
とくに萌仁香は何かに気を遣うように遠慮がちになっている。
それでもひかりと結衣は諦めずにディストラに立ち向かった。
「コイツ…やっぱり強ぇ…!」
「怯まないで!私たちが負けたら誰がディストラを止めるの?」
「誰が怯んでるって?オレがそう簡単にあきらめる奴だと思うなよ!」
「ええ、知っているわ。あなたは一度決めたらあきらめが悪いって事をね」
「知ってて挑発したのかよ…やっぱりオレたちのリーダーには敵わねぇな。よっしゃあ!そうとわかれば一発にかけるぞ!」
「あの…えっとぉ…」
「ほう、まだ諦めねぇってか。相変わらず人間というのはワケが分からねぇな」
「うるせぇ!お前の方が人の夢を奪うなんてワケのわからねぇ事してんじゃねぇか!」
「その通りよ!人の夢を嘲笑い奪うなんて許せないわ!」
「やる気のあるその面…ムカつくんだよ!と言いたいところだが…どうやら一人、諦めかけている奴がいるようだな」
「何ですって…?」
「どうして…先輩方は…そんなに自分に自信が…?」
「萌仁香…?」
「そこのガキの心を読む必要がないほど独り言が過ぎるようだな。貴様…今の自分に自信が持てないんだろ?だからデプレシオに標的にされ渋谷の街で檻に閉じ込められたんだよな」
「何だと…!?まさかハッタリじゃねぇだろうな?」
「いいや事実だ。現にそこのガキは震えてる上に涙目じゃねぇか。さっさとそこのガキのように諦めて俺によって奪われるんだな!」
「どうしたの萌仁香!あなたの夢への思いはその程度だったの?」
「先輩…これが萌仁香の限界なんですぅ!自分をさらけ出したら…また誰かを傷つけて…自分の思うがままに言ったら…もう誰も萌仁香の事を好きになったり…応援する気になんてなれないんですよぉ!」
「あなた…それってどういう事…?訳を話せる範囲でいいわ。私たちに本音を話してみて…?」
「ぐすっ…萌仁香は…小さい頃からアイドルになりたくて…ずっとレッスンを頑張ってきた…。友達と遊ぶことを犠牲にしてきた…。お金がないから…陰で努力もした…。でもある日…萌仁香の事をよく思わない女の子と喧嘩して…言い合いに勝ったら…萌仁香が悪者になって…。結局その子を傷つけたせいで転校させてしまったんです…。だから…こんな性格の悪くて醜い本当の自分はもう出したくない…。前のプロデューサーは…本当の萌仁香を知っていたから…無口だと売れないから…可愛い子ぶったほうが売れるって言って…本当に売れるようなったんです…。でも…今更さらけ出して…干されたくないよぉ…!」
「何それ…?ただいじめに対抗しただけなのに悪者扱いされたってこと…?」
「うう…はい…」
「クソがっ!何なんだよその学校は!そんなの萌仁香は正義感が強くてただ素直じゃなかっただけじゃねぇか!オレたちだってこんなに我が強くてくせ者ばっかりなのにこんなにまとまってるじゃねぇか!お前は自分に自信がないだろうけどな…どんな萌仁香だってオレたちは受け入れる準備はもう出来てんだよ!」
「ひかり先輩…」
「それに多少ツンツンしたからってあなたを悪者扱いするほどヤワな子は少なくともミューズナイツにはいないわ。もしあなたを邪険にするんだったら…私は新人であろうとあなたを守ると約束するわ。リーダーとしてではなく…普通の大島結衣としてあなたを歓迎するわ。きっと…あかりたちもね。」
「うう…ぐすっ…ふえぇぇぇぇぇぇぇん…!」
萌仁香は何か吹っ切れたようにしばらく泣き出し結衣は萌仁香を強く抱きしめて慰める。
ひかりは今まで辛かったなと言うように肩をポンと叩き頭をクシャクシャになるくらいに強く撫でた。
今まで自分に自信があった結衣やひかりを見て自分は何者なのか、その自信はどこから現れるのか、売れない事や嫌われることが怖くないのか、本当の自分を出して夢が破られないかというたくさんの悩みを小学生の頃から地下アイドル時代まで抱え込んでいたのだ。
そんな中で今まで受け入れてもらえなかった自分をはじめて受け入れてもらったので嬉しさのあまりに泣きだしたのだ。
そんな中でイライラしているディストラがしびれを切らして怒りを露わにした。
「ケッ…人間による悲劇の茶番劇かよ…!もうそろそろ満足したか?死ねぇい!」
「ヤベッ…!」
「萌仁香っ!」
「心配しなくていいです…」
「何っ!?」
「やっとわかりました…萌仁香は自信がなかったが故に嫌われないように無理をしていたんだって…。お兄ちゃんがどうして萌仁香を応援し続けてくれたのか…自分の殻の中に閉じこもっている萌仁香のために全力を尽くしたお兄ちゃんの夢を…バカにしたアンタを許さない!やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「うごぉっ…!こいつ…どこからそんなパワーが…!」
萌仁香はもう何もかも吹っ切れ本来の不器用ながらも強気な女の子へと変えた。
むしろ本来の姿を見たひかりは大喜びし結衣はあまりのインパクトにただ感心するだけだった。
寿命を縮める副作用も重なって強烈すぎるクリティカルヒットにディストラはもう弱り果ててしまいついにチャンスが来た。
萌仁香が吹っ切れたことでひかりにはオレンジ色の、結衣には赤色の、そして萌仁香には青色の光がほとばしり最後の力を与えた。
「よっしゃあ!これで決着をつけるぜ!ダイナマイトボンバーエネルジコ!」
「一気に決めるわよ!スカーレットラッシュアパッシオナート!」
「先輩方への恩返し…受けてみなさい!ミョルニルメテオヴィーヴォ!」
「ぬわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!」
萌仁香たちの改心の一撃が直撃しディストラはついに力尽きた。
パワータイプの三人の協力でついにディストラに勝利したがまだ虫の生きながらも生きていることが確認された。
だがしかし今のディストラにはもう戦う体力も気力も残ってなかった。
そんな中で残心を示すために近づくも戦う意思がもうないのか斧を再度手に持つことをせず萌仁香に語りかけた。
「テメェ…やれば出来るじゃねぇか…。人間なんかに…将来を与えちまった俺のミスだぜ…。力の前では夢なんてゴミのようだと思ったが…実は力ってきっかけになるんだな…。最期に思い知っただけでもう満足だぜ…。さぁ殺せ…俺の斧で…人思いに斬首しな…」
「アンタは将来…夢を抱いた人間になって…奪ってきた罪を償いなさい…!さよなら…ディストラ…最後に…ありがとう…」
こうして萌仁香が先導して結衣といひかりに支えられながら斧でディストラを斬首する。
ディストラに勝利を収めた萌仁香たちは元の世界へ戻り状況を確認する。
夢は力の前では確かにちっぽけではあるが、その力の前にしても自分を信じ抜きいかに自分の個性を磨いて這い上がるかが成功のきっかけとなる。
自信がないならば自分を磨いて得意なものを成長させていくのが夢が叶うコツなのだろうと萌仁香たちは改めて感じた。
一方のあかり、麻友美、加奈子が相手するブレイン戦はどうなっているのか…?
つづく!