ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

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第44話 ブレイン

そして一方のあかりと麻友美と加奈子の三人は三銃士の頭脳のブレインと対峙する。

 

彼はレイピアを片手に持ちあかりとは違う戦術であかりたちは苦戦を強いられる。

 

さらにブレインは不敵な笑みを浮かべながら挑発をしてくる。

 

「やれやれ…私の相手は王女さまと…足手まといの二人ですか」

 

「足手まといなんて…」

 

「そうかな?私はそうは思わないよ。この子たちはあなたにとってはそうかもしれないけど、私にとっては大切な後輩だし結構伸びしろある子たちだと思ってるよ」

 

「加奈子先輩…私なら大丈夫です。麻友美ちゃんは…?」

 

「わ、私も大丈夫です…。少しだけ…心に傷がありますが…」

 

「だよね。麻友美はナイーブだからそうなるよね。ブレインによる挑発に乗らないで頑張ろう」

 

「はい!」

 

「向上心溢れる人間のドリームパワー…相変わらず不愉快ですね。いいでしょう、その強くて堅い心を簡単に崩してみせましょう」

 

「絶対に負けない!」

 

あかりとブレインはお互いのレイピアをぶつけ合い刀身を擦るように駆け引きもする。

 

加奈子はランスで間合いを取りながら刺突を試みるもブレインの左手による魔法で弾き返される。

 

麻友美はまだ動揺があるものの大鎌で斬りかかるチャンスを狙う。

 

しかしそこは三銃士の頭脳であるブレインなのでなかなかチャンスは訪れないが麻友美の得意な観察眼でブレインの動きやクセなどを見抜こうとする。

 

あかりが麻友美に注意を引きつけないようにひたすら攻撃を続け加奈子がそれをサポートする。

 

「闇雲に攻撃をしていては私の身体に傷ひとつ付ける事は出来ませんよ?それとももう希望をなくしましたか?」

 

「どうして当たらないの…?」

 

「見切られているなら私がいくよ!」

 

「ほう、王女さまですか。ですが王女さまならちょうどいい、この場ですぐに葬れればこの国を手中に収められますからね」

 

「あいにく私は王女としてではなく…この国や夢を守る騎士の一人として戦っているんだよ!それを奪おうとするあなたには絶対に負けない!やあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「ですから闇雲に攻撃しても当たらないと何度も…」

 

「果たしてそうでしょうか…?シャドウブラスト!」

 

「くっ…!いつの間に…!?」

 

「ずっとあなたの動きやクセを見ていました…。あなたのクセらしいものを探すのには苦労しましたが…あなたは重心をやや左足にかかるクセがあります…。そしてそのクセで前進をするのも…です…」

 

「なるほど…ですが私は確かに左手で剣を扱う事は出来ます。でも…何も左利きとは言ってませんよ…?」

 

「まさか…?」

 

「これでもくらいなさい!」

 

「きゃっ…!」

 

「麻友美ちゃんっ!」

 

「その子は少しずつですが自信がついてきたようですね。やはり人間の向上心は何か興味深いものがありますね。ですが…それでは困るのですよ。人間が成長するから文明が発達する代わりに地球の環境が犠牲になるのです。夢なんか見るから人は頓挫したときに堕落し誰かのせいにしたり言い訳したりと見苦しい姿を見せるのです。どうです?そう思うと人間ごときがドリームパワーを持つのは危険な事でしょう?」

 

「それは…」

 

「うん。確かに人間たちが文明を進める事で自然はかつて滅ぼされ何度も地球を苦しめてきたよ。そこはもう認める。」

 

「加奈子先輩…?」

 

「ほう…王女さま自ら認めるのですか」

 

「だけど…そんな人間も自分たちだけの繁栄を過ちだと気付き誰かを犠牲にしてまでも自分だけ叶えることはしないと成長して今に至るんだ。人間だって成長すれば反省もするし誰だって過ちは繰り返す事もある。だからこそ後悔しないために夢をどうしたら叶うか、どうやって成長するかを考える事も出来るんだよ。そんなあなたに…邪魔されて奪われるみんなの気持ちを考えたら倒さないといけないって思う。私たちだけでなく…みんなの夢の邪魔はさせないよ!」

 

「先輩…それでこそ先輩です!私もまだ叶ってない夢がいっぱいあるんだよ!その夢のために後悔もするかもしれないけど前に進んで成長し過去の自分を越えていく!」

 

「私も…前の自分だったら…逃げ出して言い訳ばかりしてました…。でも今は…たくさんの仲間たちがいて…支えてくれるファンもいて…もっと成長できるって実感しました…。私はもっと…自分を乗り越えたいです!」

 

「やれやれ…人間はおとなしく文明を発達させずに原始生活で洞穴に住めばよかったのです…。この国が建設されたせいで人間共はこんなにおめでたい下等生物に成り下がったのですから…。ならばもう一度人間らしい知能の低いままのサルにさせてあげましょう!」

 

「見えました…!彼はまだ左足に重心を乗せるクセが抜け切れてません!おそらく彼は右利きですが長らく相手をナメてたのでしょうか…本気を出すことがなかったと思います!あかりさんの今の技なら勝てます!」

 

「わかった!麻友美ちゃんありがとう!昨日の私より!さっきの私より成長しているところ見せてあげる!やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「くっ…!こいつ…さっきまでとは気迫も魔力も違う…!」

 

「おっと、さっきも言ったけ王女としてではなく騎士として戦ってるって言ったでしょ?私だってやられっぱなしの王女じゃないからね!」

 

「うぐっ…!」

 

「今です!必殺の…シャドウトリック!」

 

「ローズスプラッシュ!」

 

「とどめは私が!ワルキューレタックル!」

 

「ふぅ…もうあなた方に気を遣うのは止めにしましょう…。はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「嘘…!?」

 

「そんな…!」

 

「まさか…まだ何かあるというんだ…!」

 

「はぁ…はぁ…この命に代えてでも…あなた方を殺すと決めました…!この姿になると寿命を縮める代わりに…誰も私を止める事は出来ません…!あなた方を道連れに…夢を見る事の愚かさを教えて差し上げましょう!」

 

ブレインはオールバックの紳士姿からゴキブリのような羽にウマのような筋肉質の体、さらに顔はトラのようになっていた。

 

知的な印象から獰猛なケモノになっていてもはや人間姿の面影はもうなくなってしまった。

 

他の二人と同じ命を削ってでもミューズナイツを葬ろうという作戦で最後の手段に出たのだ。

 

果たしてあかりたちの運命は…?

 

つづく!


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