ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

54 / 100
第6章
第53話 取り戻した日常~謹慎


ゲーツィスが粛清されたとはいえアクムーン帝国の魔の手から守り切ったミューズナイツはアンチの残党が名誉棄損で逮捕されネガティブキャンペーンしたマスコミの一部は信用を失い大赤字になるほどの影響力を持った。

 

同時にミューズナイツは人々の英雄として称えられ渋谷の通りで凱旋パレードを行う。

 

萌仁香はまだファンのみんなに本当の自分を見せたくないのかいつものぶりっ子を演じる。

 

それを見ていた結衣はクスリと笑いひかりと日菜子はまだそれを演じるんだ…と感心した。

 

そしてそれぞれ仕事に入るもSBY48には3月に行われる年度末の総選挙を控えている。

 

あかりたちにとっては最初の総選挙でいかに人気者になりセンターを勝ち取るかの勝負になる。

 

しかしあかりたちの試練はまだこれだけではなかった…。

 

秋山プロデューサーは突然LINEに研修生やスタッフなども含めた全員にあるメッセージを送り劇場のライブハウスに集めた。

 

「研修生含め全員集まったね。これから大事な連絡をするよ。」

 

「急にどうしたんだろう…?」

 

「私たちの事かなぁ…?」

 

「まず…ミューズナイツは先の戦いでアクムーン帝国と戦い、途中でエンプサーナという悪夢の女帝が現れ粛清されたとはいえこの世界を守りきり勝利を収めた。そしてこれから政府や警察、自衛隊などによる感謝状をもらいに行く。前田あかりさん、大島結衣さん、篠田日菜子さん、渡辺麻友美さん、高橋ひかりさん、板野麻里奈さん、柏木エマさん、研修生の小嶋萌仁香さん、そして我が娘の秋山加奈子を称えよう」

 

「ありがとう、ミューズナイツ」

 

「私たちもセンター目指し頑張るね」

 

「本当にお疲れ様」

 

秋山プロデューサーがミューズナイツの名前を呼ぶと仲間たちが温かい拍手を送りSBY48結成以来の出来事となった。

 

秋山プロデューサーは嬉し涙を流す反面、何か思いつめたような顔を浮かべる。

 

加奈子は事前に話を聞いているのか緊張のあまりに父である秋山プロデューサーをジッと見守っている。

 

涙を吹いた後に深呼吸をすると秋山プロデューサーから悪いお知らせが届く。

 

「それから悲しいお知らせがあるんだ。僕はこのヴィオラ・シンフォニア女王と結ばれユメミール王国を取り戻す使命を娘だけでなく新人の8人に背負わせてしまったんだ。そして勝利したからよかったものの未成年の女の子を死なせかねないほどの危険な事をさせてしまったことが世論で批判されているんだ。そこで日本アイドル協会は…僕、秋山拓也を1年間の謹慎処分という判決を下した。僕は1年間SBY48だけでなく地方にある系列のグループもプロデュースが出来なくなるんだ。本当にすまない…君たちをこんな形で巻き込んでしまって…。娘たちを…自分たちの都合で利用した上に…こんな危険な事を押し付けて…」

 

「プロデューサー…」

 

「そこで僕の代理プロデューサーを紹介するよ。実はアイドルだけでなくプロデュースにも前から興味があり一度やらせてほしいという熱意を持っている人がメンバーの中にいるんだ。紹介するよ、我が娘の秋山加奈子だ」

 

「加奈子が!?」

 

「嘘!?加奈子ってプロデュースできるの!?」

 

「だから加奈子先輩は私たちの事を把握してたんですね…!」

 

「皆さん、今日から父である秋山拓也の代理プロデューサーを務めさせていただきます秋山加奈子です。まず皆さんの事を把握しているつもりですがまだまだ知らない事もあり完全に知り尽くしているわけではないですが、より皆さんと身近な存在だからこそ遠慮なく質問も出来ると思いますし、父の背中を見て一度アイドル目線だけでなくプロデューサー目線で自分がどう映っているのかを確かめたいって思うようになりました。だからこそ今のこの時は私にとってもチャンスであり皆さんにとっても大きなチャンスだと思います。もうすぐ総選挙があります。それぞれの仕事に励んで頑張りましょう」

 

「僕からは以上だ。質問はありますか?」

 

「…………。」

 

「ないみたいだね。それじゃあ今日はここまで。ありがとうございました」

 

「ありがとうございました!」

 

「まさかプロデューサーが謹慎なんて…!」

 

「プロデューサーは相当私たちの事を気にかけて悩んでいたはずですが…」

 

「チキショー…!あまりにも重すぎるだろ!」

 

「どうしてこんな厳しい事するの…?抗議してもいいですか?」

 

「ダメよ萌仁香。あなたが抗議したら私たちにまで処分が下されるわ」

 

「みんな…。ううん、もうこうなってしまったものは仕方ないと思う。まず私たちにやれる事はプロデューサーがいなくても自分たちのやれる事に集中してどんどん成長し、プロデューサーを驚かせることなんじゃないかな?じゃないとこんなに助けてくれたプロデューサーに申し訳がないよ…」

 

「そうデスね…。あかりの言う通りデス」

 

「このまま立ち止まったら確かにプロデューサーが悲しむもんね!加奈子先輩…ううん、加奈子プロデューサーがただの代理じゃないってとこを私たちで見せてやろうよ!」

 

「そうね。加奈子先輩だけでなく私たちにとって成長するチャンスだもの。立ち止まっていられないわ。総選挙に向けて前に進むわよ」

 

「先輩方…。はぁ、わかりました。萌仁香も頑張ります。けど…今更本当の自分をさらけ出すの怖いです…」

 

「明日は萌仁香はあかりと結衣と一緒だろ?失敗したとしてもフォローしてもらえよ」

 

「ひかりは相変わらず軽薄デス。萌仁香の性格をわかっているデスか?」

 

「うっせぇ!エマだってわかってんのかよ!」

 

「まぁまぁいいじゃん。いざとなったら先輩を頼んなよ?アタシらだって一応アイドルの先輩なんだからさ」

 

「ありがとうございます…。もし本性が出たらお願いします」

 

秋山プロデューサーは1年間の謹慎処分が下され直接プロデュースする事が出来なくなる。

 

それでもミューズナイツは加奈子がプロデューサーになる事をすぐに受け入れ自分たちにやれる事をやって成長して驚かせようと奮起する。

 

他のメンバーたちもミューズナイツのやる気に感化されて心に火がつく。

 

今はまだ2月だが残りわずか数日で総選挙が行われる。

 

2018年度SBY48神7は誰の手になるのか。

 

つづく!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。