ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

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第55話 選挙

ついに3月になりSBY48最大のイベントである系列含む人気総選挙が行われる。

 

UMD48の白石美穂はいつも2位でシルバーコレクターだと称されたが今年は一味違うという気持ちで臨んでいる。

 

一方のあかりたちはまだ新人ながらも世界を救ったアイドル騎士としても話題になっている。

 

全員楽屋で待機し研修生含む千人くらいのアイドルたちの中からベスト50を選ぶが仕事と重なっている子たちも少なくはないのでその内の30人は楽屋で待機している。

 

もちろんあかりたちミューズナイツは全員楽屋にいる。

 

「総選挙…緊張しますね…」

 

「うん…。こんなに緊張するなんて…告白の時でもこんなに心臓痛くないよ…」

 

「だけど一年間ここまで頑張ったもの。自分の人気や知名度を信じるしかないわよ」

 

「確かに結衣の言う通りだね…。自分自身を信じられなきゃ人気も得られないもんね」

 

「もうすぐ開演の時間ですね…。萌仁香は別に緊張なんてしてませんが…」

 

「手が震えてマスね」

 

「エマ先輩はすぐ人に毒を吐くのやめてくださいよ!もう!」

 

「その割にはエマも足がガタガタじゃねぇか」

 

「シャラップ!ひかりに言われたくないデス!」

 

「まぁまぁ…」

 

「もう開演の時間だ…」

 

「お待たせしました!秋山拓也プロデュースアイドル総選挙!今開幕です!」

 

「Fu------------!」

 

「司会はわたくし本田綾香がお送りいたします!みんな!盛り上がってる!?」

 

「いえーーーーーーーーい!」

 

「さぁまずは各グループのライブパフォーマンスで盛り上げていこう!渋谷を救ったヒーロー!ミューズナイツです!」

 

「みんな!いっくよー!」

 

ミューズナイツが先陣を切ると劇場は大盛り上がりを見せファンを熱くさせる。

 

順位発表をするにはまずボルテージを上げてより緊張感を増させるやり方でファンを焦らす。

 

それが秋山プロデューサーのやり方で最初は批判されていたが根強いファンからはそれほど全員に自信があるんだと思われている。

 

全グループのパフォーマンスを終えると順位発表に入る。

 

そんな中で楽屋では白石美穂が加奈子に声をかけた。

 

「今回はミューズナイツという素晴らしい方たちのおかげで激戦区になりそうだね」

 

「だとしても私は3連覇を目指すよ。たとえ世界を救ったとしても絶対に驕る気はないからね」

 

「だからこそ加奈子はトップアイドルになれたんだものね」

 

「ううん、トップアイドルは茶山くるみさんだよ。彼女は歴代の神7全員が束になっても勝てないほどの天才アイドルだから。私なんてまだまだ低い方だよ」

 

「ふふっ、やっぱり謙虚なのは変わらないんだね。でも…今年はいいライバルに巡り合えたからもっと磨いてきたよ。絶対に負けない」

 

「私もだよ、美穂」

 

「あの二人って永遠のライバルって感じデスね」

 

「ああ…。まるで幼い頃から切磋琢磨しているかのようだぜ」

 

「秋山プロデューサー直系の加奈子先輩とその友人の一人娘の美穂先輩はデビューも一緒でよく共演しては競ってた仲だったみたいだよ」

 

「あかり詳しいわね」

 

「ずっと二人の事を応援してたからね」

 

「さぁ50位の発表です!」

 

50位から16位まで順調に発表しそれぞれ無名ながらも喜んでいた。

 

16位以上ともなるとさすがに有名どころが出てきてまだあかりたちの名前は呼ばれなかった。

 

さすがに一年目からだと指名はないか…そう諦めかけてた時に10位の発表で会場がどよめく。

 

「10位は…白石美穂さんです!」

 

「ざわざわ…」

 

「あの美穂たんが10位…!?」

 

「どうなってるんだよ…!?」

 

「波乱だ…!」

 

「嘘…!」

 

「あの美穂が10位…!?」

 

「どうやら私では世界を救った皆さんには敵わないみたい。何となくそんな気がしてました。悔しいけど…ベスト9はきっともう決まってると思う。おめでとう」

 

「えっと…その…」

 

「今みんなが何を言っても遠慮しがちだから代表して私が言うよ。まだ私たちは指名されていないから確信は出来ないけど…ありがとう」

 

「では9位です!9位は…小嶋萌仁香さんさんです!」

 

「誰…?」

 

「知らない…」

 

「ほら、あのハンマー持ってたクルクルツインテールの子だよ」

 

「ああ…そういやこの渋谷を救った最後のヒーローだった…」

 

「嘘…!?萌仁香が…美穂先輩を越えたっていうの…?」

 

「おめでとう萌仁香ちゃん!」

 

「やるじゃねぇか萌仁香!」

 

「Congratulations 萌仁香!」

 

「ありがとうございますぅ…!」

 

「では8位です!8位は…秋山加奈子さんです!」

 

「あの加奈子ちゃんが8位…!?」

 

「絶対的神7の美穂ちゃんといい加奈子ちゃんも破られるなんて…!」

 

「そういやいつもの神7はみんなベスト16止まりだ…!」

 

「では7位です!7位は…板野麻里奈さんです!」

 

「マジで!?」

 

「おめでとう麻里奈!」

 

「6位は…篠田日菜子さんです!」

 

「嘘ぉ!?私!?私恋人いる系だよ!?」

 

「それでも人気があるという事は凄い事よ、日菜子」

 

「えへへ…」

 

「第5位は…大島結衣さんです!」

 

「私なのね…!」

 

「おめでとう結衣ちゃん!」

 

「第4位は…渡辺麻友美さんです!」

 

「私が…ですか…?」

 

「いいじゃん麻友美!おめでとう!」

 

「第3位は…柏木エマさんです!」

 

「Unbilievable…!エマが3位デース…?」

 

「エマ!やるじゃねぇか!」

 

「第2位は…高橋ひかりさんです!」

 

「うおっ!?まさかの2位か!」

 

「今回は負けを認めマース!」

 

「何でオレには素直に褒めねぇんだよ!」

 

「栄えある第1位は…前田あかりさんです!」

 

「嘘…!?私が1位…?」

 

「あなたほど努力してトップに相応しい子はいないわ。表彰台に行きなさい」

 

「でも…私でいいの…?」

 

「あかりだからこそ負けを認められるんだよ。悔しいけどトップはやっぱりあかりだよ」

 

「ほら、ボヤボヤしてると置いていくぞ!」

 

「Championはあかり、アナタデース」

 

「もう皆さんも私も納得していますから…。胸を張って行ってください…」

 

「もう私と美穂の時代も終わって世代交代かぁ…。残念だけど受け入れないとね。最高の後輩を持ったよ。行ってらっしゃい」

 

「早く行きなさいよ。いつまでも敗者に構ってるつもり?

 

「ファンのみんなが待ってるぞ。トップアイドルなんだからちゃんと挨拶しなよ?」

 

「みんな…ありがとう!ひかりちゃん!エマちゃん!一緒に行こう!」

 

「Yes!銅メダルをいただきマース!」

 

「銀メダルを遠慮なくもらうぜ!」

 

秋山拓也プロデュースアイドル総選挙はプロデューサーが不在なものの成功に終わりあかりたち新世代が加奈子たちの世代を越えついに世代交代の時が来た。

 

美穂も悔しがりながらも渋谷を救った9人の勇姿を見て納得し自分はまだまだ2位に甘んじているなと痛感したと同時にもっとい成長できるという期待の感情が込み上げた。

 

ミューズナイツは2018年度を締めくくり2019年度へと向かっていった。

 

そして4月を迎えた…

 

つづく!


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