ミューズナイツ~SBY48~   作:赤月暁人

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第5話 才能

大島結衣は芝居への強い意志と共に騎士として覚醒し、デプレシオが召喚した共演者の魔物と対峙する。

 

ハルバードを構えた結衣は魔物が吐き出した炎をハルバードで一刀両断し、そのまま魔物に向かって斬りかかった。

 

「やあぁっ!」

 

「ウッ…!」

 

「すごい…!結衣ちゃん…こんなに強いんだ…!」

 

結衣は趣味である筋トレを中心としたトレーニングに励んでいて、重いはずのハルバードを扱うにはちょうどいい筋力を持っていた。

 

体幹トレーニングや柔軟もかなり念入りにしているので無駄のない動きをしていて、身体中の柔軟性と連動性がしなやかな動きをさせている。

 

しかし魔物もただではやられず、また激しい炎を吐き出した。

 

「きゃあっ!」

 

「結衣ちゃん…!私も…サポートしなきゃ…!」

 

「死に損ないが今更何を…?」

 

「えいっ…!」

 

「グオッ…!?」

 

「何だって…!?自分の武器を投げ出した…?」

 

「あかり…あなた…。」

 

「いいから…魔物は私のレイピアに刺さって気が散ってるから…必殺技を放って…!」

 

「わかったわ!芝居への強い志を…もう一度持ち主に戻りなさい!スカーレットラッシュ!」

 

「ウオ…!」

 

「ちっ…また失敗か…。」

 

魔物は結衣のハルバードに大きく斬られ、魂はそのまま元の女の子のところへ戻っていった。

 

共演者の女の子は完全に意識が戻り、結衣に抱きかかえられながら安全な場所へ寝かせられる。

 

そして女の子の目が覚めると、結衣は意識を確認するために声をかける。

 

「大丈夫?」

 

「あの…私は一体何を…」

 

「心配しないで。あなたが気を失っている間は魔物が現れたけど、誰かが助けてくれてもう倒してくれたわ」

 

「あの…私…悪夢を見ていたような気がして…。それでも…あなたにそっくりな女の子が…助けてくれて…。私は…まるで鳥かごに閉じ込められたような…」

 

「そう…。とにかくあなたが無事でよかったわ。さぁ、撮影の続きをしましょう。今からみんなを呼んでくるわね。あかり、この子をお願いできる?」

 

「わかった。結衣ちゃん、撮影頑張ってね」

 

「ええ」

 

こうして結衣は無事に魔物を浄化する事が出来、女の子も無事に助けられた。

 

撮影をすべて終えるとアイドルグループとして一度劇場に戻ってプロデューサーに報告をしなければならない掟がある。

 

結衣はその掟通りに劇場に戻りプロデューサーに報告する。

 

「ドルカツ学園の撮影お疲れ様。どうやら撮影はアクシデントがあったけど無事に終えたみたいだね」

 

「はい。前田さんの応援のおかげでスムーズに撮影が進みました。あの子がいなかったら私でさえ気づかなかった不自然なシーンを発見する事が出来なかったと思います」

 

「そうか。ところで…防犯カメラに映っていた赤と黒の騎士は…君なんじゃないか?」

 

「それは…はい。紛れもなく私です。あの時に前田さんが助けに来なかったら、私は死んでいたと思います。でも…彼女がやられた時に強い気持ちを持ったら…不思議な力が湧いてきたんです」

 

「そうか…。なら君にも話さなければならない事があるんだ。全て聞いてほしい」

 

「はい」

 

「では私の妻の…秋山美音(あきやまみおん)…いや、本名はヴィオラ・シンフォニアだ」

 

「よろしくね、大島結衣さん。ではすべてをお話します」

 

「お願いします」

 

結衣はあかりが聞いた全ての事情を話され、さっきの魔物の事や覚醒した自分の事も全部耳にした。

 

この方が異世界の女王さまであることと、その女王様の国が侵略されて人間界の夢と努力などの前に進むための魔力「ドリームパワー」が奪われつつあること、敵のアクムーン帝国が「ダークネスパワー」を利用して何か企んでいることを知る。

 

結衣は人間の無限の可能性を潰されたくない一心で話しを聞いた上でこう答える。

 

「このまま何もしなかったら、いずれ私も狙われて魔物にされる可能性もあります。それよりもやっぱり…人の夢を嘲笑ってそれを壊そうとする奴らに…私やみんなの夢を奪われたくない。だから私…やります。いいえ、やらせてください」

 

「本当に感謝する。ところで騎士は何人と決まっているのかい?」

 

「そうね…ミューズに選ばれた騎士は全員で9人と決まっているわ。私たちの娘の加奈子や前田さん、そして彼女で3人ね」

 

「えっ…あの永遠のセンターと言われている秋山加奈子先輩もですか?」

 

「そうだ…私と女王の間に生まれた生まれながらのミューズの騎士だ」

 

「だからあの人と一緒にいるとこんなにやる気がみなぎるのね…」

 

「残りは6人…先が遠くなるが頼んだよ」

 

「はい!」

 

「それから前田さん、盗み聞きとは感心しないよ」

 

「す、すみません!」

 

「あかり…?」

 

「やっぱり私のせいで巻き込んじゃったから責任感を感じちゃって…。受け入れられずに断られたらどうしようって…」

 

「そういう事か。それなら心配する事はない。彼女は自ら使命を受け入れたんだ。君の心配は無用だったね」

 

「よかった…!」

 

「前田さん…いいえ、もう一緒に敵と戦い、そしてアイドルとして切磋琢磨していく仲間でありライバルだから、これからはあかりと呼ぶわね」

 

「うん!よろしくね!結衣ちゃん!」

 

「ちゃん…ね…。出来れば呼び捨てでお願いできるかしら?少し恥ずかしいの…///」

 

「わかった、これからもよろしくね!結衣!」

 

こうしてあかりと結衣は晴れて仲間で友達、そしてライバルとなりアイドルとして少しだけ前に進む。

 

一方話を裏で聞いていた加奈子は仲間が増えたことに安心してため息をつく。

 

そんな中である女の子は何か胸が張り裂けそうな気持ちのまま仕事に向かっていった。

 

つづく!

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