3月上旬、アルコバレーノのファイナルライブを迎えた東京ドームでは最高のライブが行われていた。
その事で話題でもあったが、やはりSBY48の話題も尽きなかった。
そう、あの秋山加奈子の卒業ライブだ。
SBY48の黄金期が来たのは9年前でそれから衰退していったものの、秋山加奈子が飛び級でレギュラーメンバー入りしてすぐに復活し、ついに第二次SBY48ブームを呼びよせたのだ。
そして加奈子自身初の個人グループであるミューズナイツでさらに加速し、神7ではなく神9という概念を創った功績もある。
そんな秋山加奈子は今日…SBY48及びアイドルから卒業する。
「加奈子先輩、もう大丈夫デスカか?」
「うん、大丈夫。あの時の緊張と比べたら平気だよ」
「加奈子先輩は本当に強いですね。やっぱり最強のエースですね」
「うーん、トップになったあかりに言われてもなんかなぁ…」
「そんなー!先輩ひどいですよー!」
「ふふっ、冗談だよ♪」
「もうー!」
「あかりがチョロすぎデス」
「リアクション面白いもんな」
「わかるー」
「みんなまでひどい…」
「まぁまぁ。それよりもこの卒業ライブは加奈子先輩だけでなく、私たちも加奈子先輩がいなくなってから勢いが落ちたなんて言われないようにしないと」
「確かにそうだな。オレらが人気を落としたらシャレにならねぇしな」
「そうだね」
「もうすぐファンのみんなとお別れかぁ…。何だかあっという間な6年間だった気がする」
「えーっと…すみません!もうすぐ開演の時間です!」
「はーい!じゃあ最後の掛け声を加奈子先輩!お願いします!」
「うん!それじゃあ…私に遠慮することなく、私がいなくても大丈夫ってところを見せるように目立っていいからね!S!B!Y!」
「48!」
「開演しまーす!」
加奈子の一声でSBY48のメンバーの気合いが入る。
とくにミューズナイツのメンバーは加奈子を最も近くで見てきたため成功させようと気合が入っていた。
最初はSBY48としての人気曲で本来は加奈子がセンターではない曲だが、今回は特別に加奈子をセンターとした振り付けアレンジで挑んだ。
しかし加奈子はアドリブでミューズナイツではないメンバーの子をセンターに立たせるなどされ他の子は困惑する。
それでもベテランの子や同期の子は「やっぱりそこは加奈子なんだな。敵わないなぁ…」という笑みで見守った。
次の曲も加奈子がセンターだがやっぱり他の子にもスポットライトを浴びせるアレンジでお返しされ、次第にみんなはそれに慣れてきたのかもう加奈子のそういうところを活かしていこうというスタイルにまた変更された。
最初のMCに入るとそれぞれのコール&レスポンスで盛り上げる。
「今日で加奈子は卒業だけど、まだまだ私たちもいるし、後輩たちも成長してSBY48の勢いを止めないように頑張るね!」
「いえーーーーーい!」
「それにもう最初の全盛期を越える事も出来て嬉しく思います!永久欠番のミューズナイツにも支えられて本当に残る私たちは幸せ者です!」
「いえーーーーーい!」
「加奈子、何か一言!」
「私?うーん…私は自分自身のおかげで全盛期を越えたとは思っていません。ここにいるみんなのことを知ろうと必死にコミュニケーションを取ったり、プロデューサーのパパの元に行ってみんなのことを教えてもらったり、レッスンや仕事の時も観察、さらには自分を知るために自己投資や研究との両立したりしたなぁ。だから私一人じゃ絶対に全盛期を越えるなんて無理だった。ここにいる仲間たちと切磋琢磨し、先輩たちの意志を受け継ぎ、後輩たちに成長してもらったからこんなに凄くなったんだよ。私だけでなく…仲間やファンのみんなに支えられて大きくなったと思ってます。本当に…今までありがとう!」
「加奈子ー!」
「こっちこそありがとう!」
「あの頃よりも楽しかったよー!」
「それじゃあ…ミューズナイツの…」
「あら、もうミューズナイツは永久決断で活動休止でしょ?」
「あ、そうでした」
「先輩方…w」
「じゃあまずは板野さんから!」
「はーい!アタシは正直さ、加奈子先輩の事が苦手だったんだよね。最初の頃はエースという風格に押されて、なんか型にはめそうだなーって勝手に思ってた。でも実際に話したら違ってた。アタシの学力はともかく、アタシの武器である美意識とポージングなどを活かそうとモデルの勉強もしてきて、衣装のアドバイスもすごく参考になった。加奈子先輩はアタシにとってはモデルとしては後輩でも…永遠に越えられない偉大な先輩だと思ってます!今までありがとうございました!」
「麻里奈…」
「次は大島さん!」
「えっと…最初はミューズナイツも8人で活動してて、リーダーを決めようってなった時に私をリーダーに任命してくれましたよね。あの時は何で私が?って思ってて、私なんかでリーダーは務まるのかなって不安でした。でも加奈子先輩は私の適性を見て判断し、自分に厳しくするところまで見抜かれて今となってはリーダーの経験をしてよかったって思ってます。おかげで加奈子先輩を失っても、私がみんなを引っ張ろうと思えるようになりました。責任感を教えてくれて…ありがとうございました!」
「結衣…」
「次は小嶋さん!」
「萌仁香は…えーっと…最初に加奈子先輩に会ったのは、まだ萌仁香が地下アイドルだった頃でした。あの時は本当の自分が好きなのに嫌いと言い張って、前のプロデューサーの言いなりだった萌仁香を変えてくれて本当に感謝しています。今となっては本当の自分をさらけ出してもファンのみんなに受け入れられて、批判があってもかばってくれた。この音は絶対に忘れないんだから…心配になって戻ってきたなんて言わないでくださいよね…?ありがとうございました…」
「萌仁香…」
「次は篠田さん!」
「んーっとね…私が彼氏が出来ても真っ先に応援してくれたし、彼氏が作曲家デビューしたときはすぐにお祝いしてくれたよね。あの時はすっごく嬉しかった。今は私がプロデューサーと一緒に作詞するようになったし、いろんな挑戦をしようって思わせてくれたのも加奈子先輩だった。今日で先輩がいなくなるなんて信じられないけど…これからは私たちがこのグループを引っ張っていくから安心して夢を叶えてください!ありがとうございました!」
「日菜子…」
「次は渡辺さん!」
「うう…先輩…!私…自分に自信がなくて…いつも引っ込んでばかりなのに…それでも諦めずに最後まで面倒を見てくれましたね…。それが凄く嬉しくて…いつも励みになっていました…。私が臆病なばっかりに迷惑をかけたりしても…絶対に嫌な顔せずに見てくれました…。今も泣いて迷惑をかけているのに…こうして見守ってくれて…。加奈子先輩は優しいです…。そんな加奈子先輩を…私は大好きです…。ありがとうございました…!」
「麻友美…」
「次は高橋さん!」
「うす!加奈子先輩…オレが失礼なくらいにタメ口で効いているのに全く注意しないで受け入れてくれたな…。でもやっぱり…しおらしくなると気持ち悪いと言われそうなのであえていつものオレで言わせてくれ!加奈子先輩はオレみたいなバカでも合わせてくれて、見捨てずに一緒に頑張ってくれた。その事はもう感謝しても足りねーくらいだぜ。もう卒業するなんて嘘だと言ってほしいくらい寂しいけど…夢を叶えるために頑張れよ!ありがとうございました!」
「ひかり…!」
「次は柏木さん!」
「加奈子先輩…エマは幸せ者デス。こんなにお手本のような先輩はイギリスにもいませんデシタ。加奈子先輩はアイドルとして自分だけでなくエマたちのことにも気にかけて、全員でチームなんだと言って誰も見捨てずに見てくれマシタ。こんな最高のリーダーを失うのは痛いデスが…いつもはちょっと意地悪を言っちゃいマスが…今回は言えそうにないデス…。エマにもう一度希望を与えてくれて…アリガトウゴザイマス…!You are top idol。Kanako be ambitious!」
「エマ…!」
「最後に…前田さん!」
「はい!加奈子先輩…加奈子先輩はレギュラーメンバーだけでなく、研修生の様子もよく見てくれましたね。あの見守りのおかげで私だけでなく、研修生の先輩方も頑張ろうって思えたんです。知ってましたか?そのおかげで誰も研修生からクビになった子は出ていないんです。加奈子先輩がみんなの個性を最大に活かすためにアドバイスをくれたり、一緒にレッスンして自分を知ったりと成長の手助けをしてくれました。最後になりますが…先輩は将来、絶対に秋山プロデューサーを越えるプロデューサーになるでしょう。そんな未来が私には見えるんです。約束です、もし本当にそうなったら…またこの9人で渋谷で集まって活動再開を宣言しましょう!ありがとうございました!」
「あかり…!笑顔で卒業しようと思ってたのにズルいよ…。本当は卒業なんてしたくなかったのに…その気持ちが溢れちゃうよ…!でも…せっかく夢のために羽ばたくチャンスを捨てたくないし、応援してくれるみんなを裏切れない。だから…秋山加奈子は、アイドル及びSBY48を卒業します!じゃあ卒業ライブ名物のあの曲…いこっか!せーの!」
「旅立ちは別れじゃない!」
最後の卒業ソングを歌って卒業ライブを終える。
48人の美しい合唱は劇場を感動の渦に巻き込み涙を流すファンも多かった。
そして残るメンバーだけでなく、加奈子も今まで流したことのない涙を流し感動が溢れていった。
こうして…秋山加奈子の6年間のアイドル道が終わったのだ。
あれから4年後…ワールドアイドルオリンピックでリベンジを誓うも僅差で月光花に敗れまた銀メダルとなった。
ただし2022年度から毎年行われる国際アイドルチャンピオンシップでは9連覇を果たしている。
そして2026年にあかり、結衣、日菜子、エマが卒業。
2027年に麻友美、ひかりが卒業。
2028年に萌仁香が卒業しミューズナイツは本当の意味で永久欠番となったのだ。
時は流れ2030年…また新たな活動をするあかりたちだった。
つづく!