麻里奈は高校を卒業してすぐに母体学校である上野衣服専門学校へ進学し、ファッションデザインと製作を勉強した。
アイドルを引退後はファッションモデルとして本格的にデビューし、今や自分だけのブランド「マイノリティギャル」を持つ。
麻里奈はカリスマギャルとしてのキャリアを積んで、今は小野愛梨を越える日本一のモデルとなった。
そんな麻里奈は今、イタリアである事をしていた。
「麻里奈、君に会いたかったんだよ!」
「おーローラ!久しぶりじゃん!」
「パリコレ以来だね!今回麻里奈を呼んだのはちょっと協力してほしい事があるんだけどいいかな?」
「モデルとして?それともデザイナーとしてかな?」
「どっちもって言ったらどうかな?」
「それなら燃えるね!」
「よかったー!じゃあマイノリティギャルのデザイナーとしての依頼なんだけど…私って少しだけ色黒だからそんな肌でも可愛いを追求できるデザインの服を作ってほしいの。それでモデルとしてはね、それを私と麻里奈でその服を着てこのミラノを歩き、日本の可愛いを宣伝してほしいなっていう依頼なんだ。どうかな?」
「いいね!でもさ、日本らしさだけでなくイタリア独自のオシャレもアタシは追及したいんだよね。これは日伊ファッション共同製作ってとこかな?」
「可愛いの国日本とオシャレの国イタリアの共同製作…いいね!私も自分のブランドであるウンディーネとコラボになるけどいいかな?」
「もち!これはマネージャーにはしばらくイタリアで仕事するって連絡入れるわ。ローラ、アタシも協力するよ!」
「ありがとう!」
このローラ・アルディーニはイタリアのモデルで、日本の可愛いファッションに憧れつつイタリアの美しさを求めたオシャレを両立してきたイタリアで一番のモデルだ。
そんな彼女が麻里奈に依頼をするという事はとても光栄な事で、オシャレな国イタリアで一度仕事を受けるのが夢だった麻里奈は喜びをかみしめて仕事を引き受けた。
麻里奈は一度ローラの家に上がって、今回のテーマに沿った服のミーティングをする。
「ローラが言う可愛いってそもそもどんな感じかな?ロリータ系はアタシには無理だよ?」
「そんなあざとい系は私も無理だよ。日本の可愛いは多分だけど、美しいと兼ね備えた清楚さだと思うんだ。だから今回は美しさとアイドル的な可愛さを両立させたいなーって思うんだ」
「アイドルって言ってもアタシもアイドルをやってたからわかるんだけど、アタシを手本にするとギャルっぽくなるよ?」
「えー、日本のギャルは可愛いじゃん!まぁそれは置いといて…ギャル=ミニスカやショーパンという概念を捨てて清楚なんだけどギャルの面影がある服がいいな」
「となればスラックス系か膝下くらいの長さのスカートになるかな。今は秋シーズンだからデニムジャケットなんかもいいかもね」
「Vネックニットとかもいいかも。あ、逆にスクール風にしちゃうのは?」
「スカートならチェック柄が定番だけど、あえて無地にしちゃう?」
「いいね!やっぱり麻里奈とは系統も似てるから気が合うよ!」
「そうだね!アタシら似た者同士ってところかな!じゃあもっと話し合おっか!」
「うん!」
麻里奈はローラの明るさとノリのよさでパリコレ以降はウマが合い、すぐに連絡先を交換してやり取りをしていた。
勉強が苦手な麻里奈もファッション大国で仕事する事を意識して、イギリス英語とフランス語とイタリア語を勉強してきた。
その甲斐があって今はヨーロッパでも仕事するようになり、世界一のファッションデザイナー兼モデルになりつつあったのだ。
麻里奈はミーティングのつもりが途中で雑談に変わってしまったり、休憩が長引いてリラックスしすぎたりとマイペースなところは変わらないが、ファッションに対してのプロ意識はさすがのもので、仕事はキッチリこなしていた。
インスピレーションが浮かんだらすぐに神にデザインして、没でもその案を取り入れて改変したりなど臨機応変さが昔よりよくなっていた。
今回のミーティングはノリのよさと勘の鋭さでわずか3日で完成してしまい、残るはローラのブランド工場で実際に製作するところだ。
工場ではローラの兄が経営していて、妹のファッションのために脱サラして工場を立ち上げ、今や社長になるほどの凄腕だ。
麻里奈は友人のブランドの様子を見て興奮し、新しいインスピレーションが浮かんだのかメモを取る。
ミューズナイツは大人になっても向上心を忘れないという約束があり、今も日々進化を続けているのだ。
製作が終わったと連絡が入り、麻里奈とローラはすぐに雑誌の撮影に取り掛かる。
「今日はよろしくお願いします!」
「よろしくお願いしまーす!」
「まさか元ミューズナイツの板野麻里奈がローラさんとコラボするなんてね!これも何かの縁だ、イタリアを満喫していってよ!」
「オッケー!でもローラと一緒にいて十分満喫できたって感じかな!それに…マイノリティギャルとウンディーネの貴重なコラボだし、せっかくだからその服を着て街を歩いてもいいかな?」
「いいけど…もしかして宣伝ってやつ?麻里奈は話に聞いた通りノリがいいんだなー」
「へへ!じゃあ早く撮影に入りましょう!」
麻里奈は今回の撮影と宣伝がてらの散歩が楽しみで仕方がなかった。
カメラマンの写真撮影の時もポージングや角度にこだわったりして、今回のコラボ企画が本気なんだと現場から伝わった。
しかもこのコラボはイタリア中のマスコミも参加していて、この企画が成功すれば麻里奈のブランドにとって大きな宣伝となる。
そんな大仕事に張り切って撮影した麻里奈は、その衣装のままローラの手を引っ張ってミラノへ出かけた。
街を歩くと、ミラノの人々は温かく見守るだけでなく麻里奈とローラだとわかった瞬間に人が徐々に集まり、この服が可愛いとSNSでバズった。
ローラの服は赤と黒のギンガムチェックスカートに黒タイツに茶色のローファー、さらに白いワイシャツに赤と黒のネクタイ、黒いカーディガンの袖に赤い二本ラインの入ったコーデとなった。
一方の麻里奈は青緑と黒のギンガムチェックスカートに黒タイツ、青緑とミントグリーンのネクタイ、黒のテーラードジャケットという以外にもシンプルなコーディネートだった。
ワイシャツとローファーはお揃いで、スクール風清楚ギャルファッションとして気崩さないスタイルで可愛さとカラーリングによるギャルっぽさを両立させた。
イタリアで話題になった事でマイノリティギャルの知名度が上がり、今度ファッションショーで私のコーデをデザインしてくれと本社の方に問い合わせが来たと麻里奈に連絡が多く入った。
ローラも今回の依頼とコラボ企画が成功したことを大いに喜び、麻里奈に思いきりハグをしてきた。
「麻里奈!今日のコラボは成功だよ!ありがとう!」
「やったじゃんローラ!って、そろそろお腹がすいたからイタリアン料理でも食べない?もう夕方だしさ」
「そうだね!美味しいパスタ料理店があるからそこに行こうよ!」
「オッケー!」
ローラの紹介でパスタ料理店に向かい、二人で今後の方向性について雑談する。
麻里奈は今後も日本だけでなくヨーロッパを拠点にして、活動の幅を広げて自分なりのオシャレを広めたいとローラに嬉しそうに語った。
パスタ料理店についてバジルのパスタを注文して待っていると、匿名であるメッセージが届いた。
「ん?誰からなんだろ?えーっと…久しぶりだね。突然だけど今年の大晦日に渋谷駅のハチ公前に集まってほしいので、仕事をオフにして時間を空けておいてください。秋山加奈子より。ってマジ!?あの加奈子先輩からじゃん!」
「加奈子…?」
「ほら!元SBY48のアイドルだった秋山加奈子だよ!覚えてないの!?」
「あー!あのイタリアでも人気だった伝説のアイドルでしょ!?そんな人から連絡キタの!?」
「うん!」
「ちょっと読ませて!えーっと…これは詐欺かもしれないけど、それが本当なら行くべきだよ!念のために秋山拓也さんに相談した方がいいかも!」
「だな!あの人は定期的に連絡入れてるみたいだし!アタシらアドレスまでは知らないからさー!ローラ、もうすぐ日本に帰るから今言うね!今日は誘ってくれてありがとう!またイタリアに遊びに来るよ!」
「今度は日本に行くから待っててね!」
「オッケー!」
麻里奈はあまりの出来事に嬉しさと同時に戸惑いがあった。
一応秋山プロデューサーに連絡を入れてアドレスを確認してもらったところ…本人ので間違いないという連絡があった。
麻里奈もまたミューズナイツで同窓会でも開くのかなとワクワクして、飛行機の中でずっと笑顔のまま帰国した。
そして大晦日の日は本社に連絡してスケジュールを空けてもらい、いつでもハチ公前に集まれるようにした。
つづく!