自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する 作:九戸政景
創「どうも、幾世創です。光属性か……ゲームなんかだと勇者や聖騎士がよく使うイメージだな」
政実「そうだね。そして対になる闇属性は魔王や暗黒騎士みたいなのが使うイメージだね」
創「そうだな。さてと、それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第10話をどうぞ」
アルフレッド達と合流してから数分後、俺達は『ガルス』へと到着した。そして、冒険者ギルドへ向かって歩いていた時、街の人達の視線がルスムさんに注がれているのに気付いた。
「……やっぱり、身体が小さくても、ドラゴンを連れてるのは珍しいのかな」
「そうだろうな」
『その上、その正体が『獄炎竜ルスム』だと知ったら、街の人達はどう思うんだろうね』
「大層驚く……いや、それよりも恐怖を抱くだろうな」
「それはそうだろ。だって、ルスムは先代の魔王の四天王なんだろ? 事情を知らなきゃ、怖くなるのも当然だよ」
「そうね……まあでも、アーヴィングとハジメはルスムよりも更に強いわけだし、それを聞けばみんなも安心するでしょ」
「そう……だと思う」
「まあ、一番驚くのはハジメ達にクエストを受けさせたギルド長じゃな。力が未知数だったとはいえ、冒険者見習いを『獄炎竜ルスム』と戦わせたわけじゃからな」
「たしかに……」
そんな会話を交わしながら歩く事更に数分、冒険者ギルドに到着した後、ドアをゆっくりと開けた。すると、ギルドにいた冒険者達の視線が一斉に俺達へ注がれ、その中を歩いていくと、受付のお姉さんは驚きと嬉しさが入り交じったような表情で話しかけてきた。
「皆さん! よくぞ御無事で──って、その肩のところにいるドラゴンはもしかして……!」
「はい。今は小さくなってもらってますけど、俺達が受けたクエストの討伐または使役目標になっていたドラゴンです」
「やっぱり! 一緒にいるという事は、使役に成功したんですね!」
「あはは……正確には使役じゃなく、目標が一致した事で仲間になってもらったんですけどね」
「それでもきっと大丈夫ですよ! 皆さんが出発した後、ギルド長は討伐または使役が出来なくてもドラゴンの情報を持ち帰って来られればクエスト達成にしても良いと言っていましたし」
「情報を……ハジメさんが予想していた通りですね!」
「そうだな。それで、クエスト結果の報告はどこで……」
「ああ、それなら──」
そう受付のお姉さんが言ったその時だった。
「……その報告、私が受けましょう」
そう言いながら奥から長い銀髪の『人間族』の女性が姿を現すと、受付のお姉さんはとても驚いた様子を見せた。
「グレイスギルド長!」
「この人が……ここのギルドのギルド長……」
「はい。私がこの『ガルス』の冒険者ギルドのギルド長であるグレイス・ドイルです。よろしくお願いします」
「あ、はい……こちらこそよろしくお願いします」
「それで、例のクエストを達成したのですね?」
『そうだよ。まあ、他にもドラゴンがいるって言うなら、もしかしたらそっちなのかもしれないけど』
「いえ、このドラゴンはこのギルドの情報屋や冒険者達から報告されている姿とほぼ一致するので間違いないでしょう。なので、あなた方が受注したクエストは達成とします。おめでとうございます」
「クエスト達成……という事は、フォルさんも一緒に冒険者になれるんですね!」
『うん、そうだね。あ、そうだ……ねえ、グレイスギルド長』
「はい、何でしょうか?」
『このルスムも冒険者にしてもらう事って出来るのかな?』
グレイスギルド長に対してフォルが問いかけると、受付のお姉さんはルスムさんを見ながら嬉しそうな様子を見せた。
「……あ、やっぱりそのドラゴンってあの『獄炎竜ルスム』ですよね!」
「そうですけど……やっぱりというのは?」
「私、昔からモンスターに興味があって、小さい頃は『魔物使い』になってドラゴンを使役するのが夢で、その過程で魔王の部下なんかも結構調べていたんです。まあ、『魔物使い』の適正は無かったので、今はこうして適正があった『鑑定士』の称号を装備しながら冒険者ギルドの受付をしているんですけどね」
「そうだったんですね」
「はい。それにしても……あの『獄炎竜ルスム』さえも仲間にしてしまうなんて、皆さんは本当にお強いんですね」
『まあ、その中でもハジメとアーヴィングは圧倒的な強さを持ってるよ。ハジメは一瞬でルスムの部下を無力化したし、アーヴィングは一人でルスムを倒したからね』
「……そうなんですね」
フォルの話を聞くと、受付のお姉さんは楽しそうな笑みを浮かべ、それを見たグレイスギルド長は小さくため息をついてから受付のお姉さんに話しかけた。
「アナ、久しぶりに強い人に出会えて嬉しいのはわかりますが、まずは仕事をして下さい」
「……あ、わかりました。それでは、早速冒険者ライセンスの発行に移りますね」
「はい」
「まず、冒険者ライセンスについてですが、これは『リューオン』の冒険者であれば誰もが持っている物で、これを提示すれば冒険者ギルドと提携している宿屋を無料で利用出来たり、武器屋などで幾らかの値引きを受ける事が出来ます」
「それはありがたいですけど、宿屋を無料で利用出来たら、宿屋は儲からないんじゃ……」
「ああ、それなら大丈夫です。その分の代金はそこにある冒険者ギルドから支払われているので、冒険者の皆さんは安心してその制度を利用してください」
「なるほどな」
「それでは、次に冒険者のランクについてです」
『ランク……たしか、GからSSまであるんだっけ?』
「その通りです。冒険者登録を済ませたら、まずはGランクからのスタートになります。Gランクで受けられるクエストは本当に簡単な物ばかりですが、それらを一定数こなす事で次のFランクに上がるための昇級クエストを受ける事が出来ます。そして、その昇級クエストを達成出来れば、皆さんはFランクへと上がる事が出来ます」
「ランクが上がる事で何か良い事ってあるんですか?」
「はい、それはもちろんです。先程お話しした値引きの額が上がったり、他の冒険者からのスカウトがあったりしますし、現状四人しかいないSSランクになれば、グレイスギルド長達よりも上のギルドマスターからの依頼を受けるなんて事もあるそうです」
「SSランク……やっぱり、目指すならそこかな」
「ふふ、それならより一層頑張らないとですね。さて、それではそろそろ登録に移りましょうか。まずは、そこにあるオーブに順番に手を触れて頂けますか?」
そう言いながらアナさんが手で指し示した方を見ると、そこには白紙のライセンスと紫色の台座の上に置かれた透明なオーブがあった。そして、俺達がそのオーブの前に立つと、アナさんはワクワクした様子で説明を始めた。
「それは
「その収集される情報というのは、具体的にはどういったものなんですか?」
「まずは皆さんのお名前や生年月日、現在装備している称号や主に使う能力、後は腕力や魔力などの強さを文字で表記した物などが表示されます。因みに、ライセンスを手に持ちながら『
「なるほど……」
……そうなるとちょっとマズイな。本来存在しないはずの『
そう思いながらどうしようかと考え始めた時、頭の中にクルスの声が響いてきた。
『マスター幾世創、『創世神』と『剣皇』の称号、『創世』や『剣舞』のスキルは、マスター幾世創のみが有する物のため、マスター幾世創がその存在を話すか上位の『鑑定士』が鑑定をしなければ見られる事はない。安心されたし』
「そっか……わざわざありがとうな、クルス」
誰にも聞こえない程度の声でクルスにお礼を言っていると、アナさんはにこりと笑いながら俺達に話しかけてきた。
「それでは、まずはどなたから登録をしますか?」
「そうだな……それじゃあ、俺からにします」
「はい、わかりました。それでは、録名殊に触れてください」
「はい」
返事をした後、俺が録名殊に触れると、透明だった録名殊は虹色に輝いた。
「虹色……」
「録名殊が虹色に輝くなんて……グレイスギルド長、こんな事ってあるんですか?」
「いえ、私も見た事はありませんね……」
「あの……虹色に輝くのはそんなに変わった事なんですか?」
「はい。本来、録名殊はその人が一番適正を持つ魔力の色に反応する物です。ですが、虹色となると……もしかしたら歴代の勇者が使ったとされる神聖属性や歴代の魔王が使ったとされる暗黒属性まで使えるのかもしれません」
そのアナさんの言葉を聞いて周りがざわめく中、アーヴィングさんは俺を見ながら小さくため息をついた。
「……やれやれ、お前の事は規格外な存在だと思っていたが、まさかそこまでとはな……」
「まったくだな……」
「あはは……自分でも正直驚いてるんですけどね……」
「まあ、お前ならばその力を悪事には使わんだろうが、自分が有するのは世界を簡単に掌握出来る力だという事は忘れるなよ?」
「……はい、もちろんです」
アーヴィングさんの言葉に返事をした後、俺は俺の情報が浮かび上がった冒険者ライセンスを手に取った。
アーヴィングさんの言う通りだ。強い力を持つという事は、それ相応の責任が伴うわけだし、この力に溺れる事無く、みんなを守るためや俺の目的のためにだけこの力は使わないと。
自分の中に流れる魔力や『創世神』の称号で得た『創世』の強さを改めて噛み締めながら俺はそう誓った。そして、イアやアーヴィングさんの冒険者登録を終えた後、俺達はアルフレッド達と一緒に冒険者ギルドから出た。すると、空はすっかり夕焼け空になっていた。
……さて、そろそろ今日の宿を探さないとだな。
「なあ、アルフレッド。この街の宿屋ってどこにあるんだ?」
「ん? ああ、それなら案内してやるよ。俺達もそろそろ宿屋に戻ろうとしてたしな」
「そっか。それじゃあ頼む」
「おう!」
そして、アルフレッドの後に続いて、俺達は『ガルス』の街の宿屋に向かって歩き始めた。
「……ふう、今日は本当に色々な事があったなぁ……」
その日の夜、入浴や夕食を済ませた後、俺は『創世』で出した寝巻き姿で部屋に置かれたベッドに腰掛けながら独り言ちた。突然の異世界転移に仲間との出会いと今日だけでもかなり多くの出来事があり、そのせいか転移直後に感じた不安などはいつの間にか無くなっていた。
……まあ、こうなった以上、覚悟を決めて魔王の討伐阻止を果たすまで頑張るしかないな。
「よし……頑張ろう」
拳を軽く握りながら小さな声で独り言ちていたその時、部屋のドアがガチャリと音を立てながら開くと、フォルを頭に乗せたアルフレッドがゆっくりと入ってきた。
「アルフレッド、フォル、おかえり」
「おう、ただいま!」
『アーヴィング達成人組は食堂で酒盛り、イア達女の子組は部屋で楽しそうに話をしてたよ』
「そっか」
「ところで、ハジメは何をしてたんだ?」
「ん……今日一日の事を思い出してた。フォル達との出会いやルスムさん達との対決まで色々な事があったからさ」
「ははっ、なるほどな。そういえば、明日からはガンガン依頼を受けていくんだろ?」
「そのつもりだ」
「そっか……それなら、明日の朝にちょっと付き合ってほしいんだけど……良いか?」
「別に良いけど……」
『どこかに一緒に行こうとか?』
「そんなとこだ。さて……と、それじゃあその用事のためにそろそろ寝ようぜ」
「ん……そうだな」
『さんせーい……』
そして、魔力で動いている照明を消した後、俺とアルフレッドはそれぞれのベッドに入り、フォルは俺の枕元で静かに目を瞑った。
「それじゃあおやすみー……」
「ん、おやすみ」
『おやすみー』
返事をした後、俺は静かに目を瞑った。その瞬間、意識はスーッと遠退いていき、その内に俺は眠りについた。
政実「第10話、いかがでしたでしょうか」
創「これで冒険者になれたわけだけど、アルフレッドの用事が気になるところだな」
政実「まあ、それは次回のお楽しみということで」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いていただけると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さて……それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」