自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する 作:九戸政景
創「どうも、幾世創です。一対一か……物語だと良くあるやつだな」
政実「そうだね。この作品でもそういった場面を多く入れていくつもりだよ」
創「わかった。さて……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第11話をどうぞ」
翌日の早朝、着替えを済ませた後、俺はフォルを肩に乗せてアルフレッドの後に続いて街の中を歩いていた。
「んー! 今日も良い天気だな!」
「そうだな」
『ふわあ……こんなに良い天気だと思わず寝ちゃいそうだね』
「へへ、そうだな!」
「それで、俺達はどこに向かってるんだ?」
「この街の広場だよ」
『広場?』
「ああ。今なら誰もいないはずだから、そこで頼みたい事があるんだよ」
「頼みたい事……それって何なんだ?」
「それは着いてからのお楽しみだよ──と、着いたぜ。ここがこの『ガルス』の中心にある広場だ」
「ここが……」
そこに広がっていたのは、大きな噴水が中心に置かれたとても大きな広場だった。
『へー……結構な広さだね』
「ここでは色んな露店商が店を開いてたり、旅芸人が興行をしたりしてるんだ」
「なるほどな……それで、頼みたい事って何なんだ?」
「それはな……」
すると、アルフレッドは背中に差していたロングソードを右手、盾を左手に持つと、ロングソードの切っ先を俺に向けてきた。
「ここで俺と一対一で戦ってほしいんだ」
「お前と一対一で……」
『へえ……面白そうだけど、何でそんな事を考えたの?』
「……お前達も知ってる通り、俺の夢は魔王を倒して勇者になる事だ。でも、その夢を叶えるにはもっと強くならないといけない。少なくとも、お前達に勝てるくらいには、な」
「……まあ、そうかもな」
『魔王に勝てるかはさておき、ハジメなら魔王の四天王相手くらいなら余裕そうだからね』
「ああ。だから、お前と一対一で戦う事で、今の俺の力を試したいんだ。もちろん、勝つ気ではいるけどな」
「……そうか」
「それで、どうだ? この勝負、受けてもらえるか?」
「……良いぜ。その勝負、受けてたつ!」
『まあ、そうだろうね。それじゃあ僕は、湖の特等席から観戦をさせてもらうよ』
「それは良いけど、振り落とされるなよ?」
『それは大丈夫だよ。しっかりと掴まってるからさ』
「わかった。それじゃあ早速……」
「ああ、始めるとしようぜ!」
「ああ」
そして、俺が『
「なるほど……武器を持ち歩いてないのはそういうわけか……!」
「まあ、やろうと思えば拳でも戦えるけど、せっかくなら剣を交えたいからな」
『なんだったら、ドラゴンにもなれるしね』
「ドラゴンにもって……それ、本当か?」
「ああ。けど、今やったら確実に騒ぎになるから、やらないけどな」
「ははっ、そうだな。さて、それじゃあ……行くぜ!」
アルフレッドは駆け出すと、そのままロングソードを斜めに振るってきた。
「はあっ!」
「くっ……!」
俺はすぐにそれを受け止めた後、『創世』で称号を一つ創り出し、それを装備した。そして、そのままアルフレッドの足元にもう片方の手を向けた。
「水よ吹き上がれ! 『
『水魔法』により地面から水が吹き上がろうとした瞬間、アルフレッドは「うおっ!?」と言いながらすぐに後ろへ跳びすさると、その場には勢いよく水が吹き上がった。
「……まあ、このくらいなら避けられるか」
「……はは、と言ってもけっこうギリギリだったけどな」
「そうかもな。けど、次はどうかな?」
そう言いながら俺はロングソードを一度『異空』でしまい、身体の中の魔力が両手に集まっていくようなイメージを頭の中でした後、両手をアルフレッドに向けた。
「聖なる炎よ、ここに来たれ! 『
その瞬間、アルフレッドの足元から白い火柱が上がり、上空から黒い雷がアルフレッドに向かって落ちた。
「なっ──ぐあぁーっ!!」
白焔と黒雷、二つの魔法を受け、アルフレッドの顔が苦痛に歪む中、フォルはそれを見ながら俺に話し掛けてきた。
『おおー、大分ヤバそうな魔法が出たけど、これって神聖属性の魔法と暗黒属性の魔法って奴?』
「……まあ、そんなとこだな。けど、これでも結構手加減はしてるぜ?」
『手加減をしてこれって……相変わらずハジメは規格外だね』
「そうかもな。さて……次の準備をするか」
そして、『創世』のスキルで剣を一本創りあげた後、ロングソードを杖のようにする事でどうにか立っているアルフレッドに声を掛けた。
「アルフレッド、まだやるか?」
「はあ、はあ……やるに決まってるだろ……! 勇者を目指す者として、これくらいはどうって事無いって言えないといけないからな……!」
「わかった。けど、無理だけはするなよ」
……少しやりすぎたな。仕方ない。ここは一気に決めて、さっさとアルフレッドの回復をしてやるか。
そう決めた後、俺は剣の柄に填められたオーブに手を翳した。
「……炎、水、雷、風、氷、そして土。六属性の力をここに宿し、今全てを切り裂く!」
そう言い終わり、オーブがそれらの色に染まった頃、「はあぁーっ!!」と言いながらアルフレッドがロングソードを振り上げつつ向かってきた。そして、アルフレッドの剣が俺に向かって振り下ろされようとしたその瞬間、俺は小さく息を吐きながらアルフレッドの剣を受け止めるように剣を振るった。
「オールエレメンタルスラッシュ!」
「ぐうっ!?」
その瞬間、アルフレッドのロングソードの刀身は真っ二つになり、切り離された方はカランという音を立てながら少し離れたところに落ちた。
「俺の剣が……こんな簡単に斬られるなんて……」
「……ここまでだな。さすがに剣がそんな状態で勝負をする気にはならないだろ?」
「……そうだな。俺自身も結構ギリギリだし、これ以上は動けないよ……」
「そうだと思った。それじゃあ少しだけ待っててくれ」
そう言った後、俺は創り上げた『精霊剣レインボーソード』を『異空』でしまい、苦しそうに息を切らすアルフレッドに手を翳した。
「『
「……何だ……? 疲れや苦しさが急に無くなっていく……?」
『この『神聖治癒』は大分傷ついた相手でも一瞬で治しちゃう魔法みたいだからね。アルフレッドもそろそろ楽になったでしょ?』
「……ああ、もうすっかり元気だ!」
「それなら良かった。後は……」
俺は飛んでいったロングソードの片割れに視線を向けた後、アルフレッドに声を掛けた。
「アルフレッド、ちょっとそれを貸してもらって良いか?」
「良いけど……何する気だ?」
「んー……さっき、真っ二つにしちゃったお詫びに、そのロングソードを新しい剣にしてやろうかなと思って」
「俺のロングソードが新しい剣に……」
アルフレッドが少し気が進まないような表情を浮かべていると、フォルはそれを見て首を傾げるかのように身体を曲げた。
『あれ、何だか不満?』
「不満じゃないけどさ……なあ、ロングソードを少し強化した状態で元に戻すみたいなのって出来るかな?」
「ああ、もちろん」
「それじゃあそれで頼む。そのロングソード、実はアイリスから貰った物だからさ」
「アイリスから?」
「ああ。まだ故郷にいた頃、アイツから貰った物で、俺にとっては大切な物なんだ」
「そっか……それなら、尚更悪い事したな。本当にごめん」
「良いよ。旅の中でいつかはこうなると思ってたからさ」
「アルフレッド……」
……よし、こうなったらやりすぎにならない程度に強化して返してやろう。
「『
その言葉と同時に、アルフレッドが持つ部分と切り離された部分は白い光を放ち出すと、切り離された部分は独りでに動き出しながら白い小さな光の玉へと変わった。そして、白い小さな光の玉はアルフレッドが持つ部分にくっつくと、ぱあっと強い光を放ち、光が消えた頃にはアルフレッドの手には真っ二つになる前のロングソードが握られていた。
「……よし、これで良いな」
「……すげぇ、本当に元通りだ……!」
「けど、その強さは段違いだ。そうだな……試しに今から出す物を斬ってみろよ」
そう言いながら俺が『創世』のスキルで巨大な岩を創り上げると、アルフレッドはとても驚いた様子を見せた。
「え、ええっ!?」
『おおー、またでっかい岩が出てきたねー』
「いやいや、そんなのんびりと言えるような大きさじゃないって! というか、どうやってこんな岩を──」
「俺は『ちょっと変わった事』が出来る『魔物使い』、だからな」
「……そうだったな」
「さあ、この岩を斬ってみろよ。今のその剣なら簡単に斬れるはずだからさ」
「……こんなに大きな岩を……簡単に……」
アルフレッドは手の中のロングソードを見つめると、覚悟を決めた様子でロングソードを握り直した。
「そこまで言うならやってやるよ。けど、あまりに凄すぎて腰抜かすなよ!」
アルフレッドは剣を構えると、目を瞑りながら意識を集中させた。そして、目をカッと開くと、「てやあぁーっ!」と気合いのこもった声を上げながら剣を振り下ろした。すると、岩はいとも簡単に切り裂かれた。
『おおー』
「……出来た。はは、すげぇ……こんなに大きな岩を簡単に斬れた……!」
「そのロングソードなら、相手の武器も簡単に斬れるはずだ。それと……」
そう言いながら俺はアルフレッドの額に手を当て、『
『なんだか苦しそうだけど、何をしてるの?』
「ちょっとな。けど、そろそろ良いはずだ」
そして、俺が額から手を離すと、アルフレッドは滝のような汗を流しながら苦しそうに息を切らし始めた。
「はあ、はあ……なんだ、これ……」
「さっきまで無かったはずの力が巡ってる感じがするだろ?」
「あ、ああ……でも、これって……?」
「魔力だよ」
「魔力……?」
「それと、新しい称号があるはずだから、装備してみろよ」
「新しい称号……って、これは『
「ああ。お前の中に魔力を宿したついでに付与したんだ」
「称号の付与って……ハジメ、お前は本当に何者なんだ?」
「俺は……ただの『魔物使い』だよ。『ちょっと変わった事』出来るだけのな」
そう言うと、アルフレッドは一瞬ポカーンとしたものの、すぐに愉快そうに笑い始めた。
「……はは、はははっ! そうだよな、お前は『ちょっと変わった事』が出来る『魔物使い』だもんな!」
「ああ。まあ、これでお前も色々な魔法や『魔法剣』が使えるようになった。その力、大事に使ってくれよ?」
「ああ、もちろんだ」
そして、俺とアルフレッドが握手を交わしていたその時、「見事ですね」という声が聞こえ、俺達は揃ってそちらに視線を向けた。すると、そこにいたのはアナさんとグレイスギルド長だった。
「アナさん……」
「グレイスギルド長まで……もしかして、さっきの俺達の戦いを見ていたんですか?」
「はい、その通りです」
「ふふ……さっきの戦いを見て、ますますハジメさんに興味が湧きましたよ」
「俺に……ですか?」
「はい。録名殊を虹色に光らせるその不思議なところ、そして──」
アナさんは一度言葉を切ると、目をキラリと光らせてから俺達が驚く事になる言葉を口にした。
「その『
政実「第11話、いかがでしたでしょうか」
創「アナさんがなんで俺が創世神の称号を持ってるのかわかったのは、次回で明らかになるんだろうけど、それ以前の話の中の情報だけでも何となくはわかるんだよな?」
政実「そうだね。具体的には前回かな」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いていただけると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」