自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する   作:九戸政景

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政実「どうも、主人公についての秘密が明らかになるシーンが結構好きな片倉政実です」
創「どうも、幾世創です。まあ、定番ではあるけど、盛り上がるところではあるよな」
政実「そうだね。まあ、主人公以外の仲間や敵の過去や隠していた秘密が明らかになるシーンももちろん好きだけどね」
創「だろうな。さてと、それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第12話をどうぞ」


第12話 真実を語る時

「……え?」

 

 アナさんの口から飛び出した言葉に俺が疑問の声を上げていると、隣にいるアルフレッドが不思議そうに首を傾げた。

 

「『創世神』……? 聞いた事が無い称号だな」

『そうだね。でも、名前的にこの世界を創り出した神様が持ってそうな称号だけど……』

「……あ、たしかに──って、ちょっと待てよ! それだと、ハジメはこの『リューオン』を創った神様って事になるぞ!?」

 

 アルフレッドがとても驚いた様子で俺を見たが、フォルは特に驚いた様子を見せずにアルフレッドの言葉に答えた。

 

『まあ、そうだね。でも、僕的にはそんなに不思議では無いかな?』

「え、何でだよ?」

『だって、ハジメは僕達が持っていなかった称号をいとも簡単に付与したり、折れた剣を打ち直す事なく強化して直して見せたんだよ? それなら、神様だって言われてもあまり驚かないでしょ』

「それは……まあ……」

『……それで、実際のところはどうなの?』

 

 そうフォルから訊かれ、アルフレッド達の視線が俺に集まる中、俺は小さくため息をついてから頷いた。

 

「はあ……そうだよ。この世界、『リューオン』は俺が創り上げた世界だ」

「って事は……ハジメは本当に神様なのか?」

「この世界の住人から見ればそうなるんだろうけど、俺自身はただの人間だよ。ある目的のために旅をするただの人間だ」

「目的……そういえば、ハジメの旅の目的ってまだ聞いた事無かったな」

「ああ、それは──」

 

 俺がこの世界を旅している理由を話そうとしたその時、辺りから『ガルス』の人達が集まってくる声が聞こえだした。

 

「……仕方ない。他のみんなにも説明したいし、話の続きは宿屋でする事にしよう」

「ああ、わかった。けど、そんなに他の人には聞かれたくない事なのか?」

「うーん……まあ、そうかな」

「わかった。えーと、アナさんとグレイスギルド長はどうしますか?」

 

 そのアルフレッドからの問いかけにアナさんとグレイスギルド長は顔を見合わせて頷き合ってから答えた。

 

「私達も同行します」

「謎の称号を持つハジメさんの事も気になりますが、その旅の目的も気になりますから」

「わかりました。よし、それじゃあ宿屋に戻るか」

 

 それに対して頷いた後、俺達は揃って宿屋へ向けて歩いていった。

 

 

 

 

 宿屋に戻ってみると、宿屋の入り口ではイアがとても心配そうな顔をしながら椅子に座っており、俺達の姿を見ると、安心した様子で椅子から立ち上がり、急ぎ足で俺達に近づいてきた。

 

「皆さん……おかえりなさい!」

「ああ、ただいま、イア。その様子だと……心配をかけちゃったみたいだな」

『ただいま、イア。でも、僕達の部屋に置き手紙を置いてなかった?』

「はい、置いてありました。けれど……その御用事の途中で何かあったらどうしようと思っていたら、だんだん不安になって……」

「……そっか。心配してくれてありがとうな、イア」

 

 そう言いながら俺がイアの頭を撫でると、イアは一瞬驚いた様子を見せたが、すぐにとても嬉しそうな笑みを浮かべた。

 

「えへへ……ハジメさんの手、とても暖かくてホッとします……」

「それならよかった。それで、イア。他のみんなは?」

「皆さん、お部屋にいますよ」

「そっかぁ……良いなあ、ハジメは。こんなに可愛い子に出迎えてもらってさ」

 

 アルフレッドが心底羨ましそうに言うと、それを聞いたイアは急に顔を真っ赤にし始めた。

 

「か、可愛いって……! そ、そんな事ありませんよ……!」

「いや、イアは普通に可愛いと思うけど?」

「ハ、ハジメさん……!?」

「イア、イアはもっと自分の容姿や性格に自信を持って良いと思うぞ? その烏の濡れ羽色の長い髪も綺麗だし、笑った時の顔もとても愛らしい。それに今みたいに身を案じて心配してくれる程の気の使い方も出来るし、正直イアが恋人だったらどんなに良いかって思うくらいだ」

「わ、私が……ハジメさんの……!?」

 

 イアの顔が更に赤みを増す中、それを聞いていたフォルとアルフレッドは同時にため息をついた。

 

『……ねえ、ハジメ。もはや、それは告白だよね』

「俺もそう思うぞ、ハジメ。というか、何でそんな言葉がすらすらと出てくるんだ?」

「何でって……思った事を言っただけだぞ? まあ……言ってる時は流石に気恥ずかしさがあったけどさ」

『そっか……まあ、それはさておき。イア、嬉しさと恥ずかしさを感じてるのも良いけど、まずはみんなを僕達の部屋まで呼んできてくれる?』

「……はっ! わ、わかりました!」

 

 我に返ったイアが急いで他のみんなを呼びに行った後、俺達は俺やアルフレッドが泊まっている部屋へと向かった。そして部屋に着くと、アナさんはクスクスと笑いながら俺に話しかけてきた。

 

「それにしても……ハジメさん、イアさんからとても愛されてますね。正直、羨ましいくらいでしたよ」

「イアとはまだ昨日出会ったばかりなんですけどね。あそこまで想ってもらえてるのは、本当に嬉しい限りですよ」

『まあ、イアから見たらハジメは奴隷商の魔の手から救ってくれた勇者みたいなものだからね。そりゃあ恋い慕うのもわからなくはないよ』

 

 フォルの発言を聞くと、グレイスギルド長は眉を潜めた。

 

「奴隷商……ですか?」

「はい。昨日追い払ってからはどこにいるかわからないですが、イアは元々奴隷だったんです。それで、イアが逃げているところに偶然俺とフォルが出会って、奴隷商と用心棒みたいな奴を追い払ってイアを仲間に加えたんです」

「なるほど……という事は、その奴隷商達はまだ近くにいるかもしれませんし、もしそれらしい姿を見かけたら、クエストの一つとして加えるのも良いかもしれませんね」

 

 グレイスギルド長が顎に手を当てながらそう言っていた時、「皆さん、お待たせしました」という声が聞こえ、俺達は揃ってそちらに顔を向けた。そして、アーヴィングさん達が揃っているのを確認していると、アーヴィングさんはグレイスギルド長達の姿を見て、少し驚いた様子を見せた。

 

「……ほう、ギルド長までいるとは、余程重要な話でもあるのか?」

「まあ、たしかにそうですが、正確にはハジメさんからお話があります」

「ハジメから……?」

「はい、実は──」

 

 俺は自分が異世界から来た事や『創世神』の称号などの事、そしてこの『リューオン』は俺が書いた『勇者の戦記』の舞台である事を話した。すると、イアやエスメラルダはとても驚いた様子だったが、アーヴィングさん達はフォルのように特に驚いた様子を見せなかった。

 

「『創世神』の称号に『創世』の能力……なるほど、それがお前の『ちょっと変わった事』の正体だったか」

「この世界を創り出した神……くく、なるほど。道理で勝てないわけだ」

「あはは……」

「でも、どうしてこの世界に来たのかはわからないのよね?」

 

 そのエスメラルダからの問いかけに俺はコクリと頷いた。

 

「ああ、それはまったく。でも、こうして転移してきたからには、何か達成しないといけないんだと思うし、とりあえず旅の目標の達成を目指しながらそれは見つけていくよ」

「ハジメの旅の目標……現在の魔王を勇者が討伐するのを阻止する事、か……」

「ああ。俺が書いた物語だと、魔王を討伐させた事で主人公である勇者に色々と悩ませてしまった。けど、まだ勇者が魔王と出会っていない今だからこそそれを阻止したいんだ」

「なるほどな……でも、勇者と魔王が今どこにいるのかはわかるのか?」

「わかるぞ? スキルの内の一つ、『索点』を使えば、探したい存在が今どこにいるのかを瞬時に知る事が出来るんだ」

「おいおい、そんな事まで出来るのかよ……!」

 

 アルフレッドが心から驚いた様子を見せていると、「それなら……」とアーヴィングさんは期待を込めた視線を俺に向け始めた。

 

「ハジメ、先代の魔王様が生まれ変わった存在がどこにいらっしゃるかもわかるのか?」

「えっと……たぶんですが、わかると思います。ただ、まだ目覚めていない場合は見つけられないかもしれませんが……」

「そうか……わかった、もし万策尽きた時は頼らせてもらう」

「わかりました」

 

 アーヴィングさんの言葉に頷きながら答えていると、アナさんはクスクスと笑いながらアーヴィングさんに声を掛けた。

 

「やはり、先代の魔王の側近としては自分の主の居所が気になるんですね」

「そうだが……まさか、その情報は私を鑑定して得たのか?」

「いいえ。昨日もお話しした通り、私は魔王の部下も結構調べていたので、アーヴィングさんの事も知ってたんです。まあ、その本人と会う事になるとは思っていませんでしたが……」

「そうか。だが、ハジメの『創世神』を探り当てたのは、『鑑定(アプレイズル)』の能力によるものなのだろう?」

 

 アーヴィングさんの問いかけにアナさんは静かに頷いた。

 

「はい。私は『鑑定士』の中でも上位に位置するので、『鑑定』のスキルで様々な物が見られるんです」

「そういえば……この『リューオン』に来てからずっと声だけでサポートをしてくれてるクルスも上位の『鑑定士』なら見られるって言ってたな……」

「あ、そうなんですね。まあ、私がアーヴィングさんとルスムさんの事を知っていた理由はそれだけじゃないんですけどね」

「……というと?」

 

 イアが首を傾げながら訊くと、アナさんはアーヴィングさんとルスムさんを見ながらある名前を口にした。

 

「『氷魔姫ニヴル』、この名前に聞き覚えはありますよね?」

「……もちろんだ」

「我と同じ先代の魔王の四天王の一人だが……まさかお主は奴の関係者か?」

「はい、そうなんですが……」

 

 アナさんはチラリと時計を見ると、少し残念そうな顔をした。

 

「……そろそろ仕事の時間みたいですね。皆さん、この話の続きは今日の夕方頃でも良いですか?」

「あ、はい……」

「もちろん、構わん」

「ありがとうございます。それじゃあ、行きましょうか、グレイスギルド長」

「ええ。では、皆さん。また後程」

 

 そして、アナさんとグレイスギルド長が宿屋を去っていった後、アルフレッドは不満そうな表情を浮かべた。

 

「うぅー……あんな話の切られ方したら、余計に気になるってぇ……」

「あはは、まあな。けど、今日の夕方にはわかるわけだし、その時の楽しみにしとけよ」

「……はあ、そうだな。それじゃあ俺達もクエストを受けるためにそろそろ食堂に行くか」

「ああ」

 

 アルフレッドの言葉に返事をし、アルフレッド達は食堂に行くために部屋を出ていった。そして、同じように食堂に行くために歩き始めたその時、「ハジメ」とアーヴィングさんから声を掛けられた。

 

「はい、何ですか?」

「お前が何であろうとお前は私達の仲間だ。それだけは忘れるなよ?」

「え……」

「アーヴィングさんの言う通りです! ハジメさんはとても大好きな人で、大切な仲間です!」

「イア程真っ直ぐな言葉を言う気は無いが、お前が仲間だという事は変わらん。それは約束しよう」

『むしろ、もっと頼りたくなるくらいだけど、それだとハジメが潰れちゃうからね。ハジメも何かあったら僕達を遠慮無く頼ってよ?』

「みんな……」

 

 恐らくだけど、俺がみんなに『創世神』の事などを言わなかったのは、それを知られたらみんなが離れていくと心の奥底で思っていたからだと思う。でも、みんなはそれを知ってもなお俺の傍にいてくれて、そういう言葉を掛けてくれる。こんなにも嬉しい事はたぶん今まで無かったと思う。

 

 このみんなとなら、魔王の討伐阻止も夢じゃないし、どこまでも行ける気がするな……。

 

「みんな、本当にありがとう。そして、改めてこれからよろしくな」

「はい!」

「「うむ」」

『はいはーい』

 

 みんなの返事に対して頷いた後、俺達は揃って食堂へと向かった。




政実「第12話、いかがでしたでしょうか」
創「これでイア達やアルフレッド達は俺が創世神の称号なんかを持ってる事を知ったわけだけど、この先仲間になる奴以外にも話す感じなのか?」
政実「相手による、かな」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さて……それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」
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