自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する   作:九戸政景

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政実「どうも、好きな状態異常は眠りの片倉政実です」
創「どうも、幾世創です。眠りか……結構色々な物語に出てくるよな」
政実「うん。まあ、他の状態異常も好きだけどね」
創「そっか。さて……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第16話をどうぞ」


第16話 氷魔姫との語らい

 この人が『氷魔姫ニヴル』さん……パッと見は俺やイアと変わらない感じだけど、この人もルスムさんと同じ先代の魔王の四天王なんだよな……。

 

『氷魔姫ニヴル』さんを見ながらそんな事を考えていたその時、氷の向こうから宿屋の子を含めた数人の子供達がひょこっと顔を出し、その姿にアナさんはとても安心した様子を見せた。

 

「みんな……良かった、無事でしたか」

「ええ、もちろん。私が保護をしたのだから、それくらい当然よ」

「そうですね。ニヴル様、本当にありがとうございます」

「どういたしまして。ところで、アナ?」

「はい、何でしょう?」

 

 アナさんが首を傾げながら訊くと、『氷魔姫ニヴル』さんはアナさんに近付きながら再び妖しい笑みを浮かべた。

 

「あなた……暫く見ない内にまた綺麗になったんじゃない?」

「そうですか? 最近は冒険者ギルドの仕事が楽しくて、美容にはあまり気を使っていなかったはずですけど……」

「いいえ、このまま氷像にして傍に置いておきたいほど綺麗だわ。ふふ……やはり、私の目に狂いは無かったわね」

「あはは……ニヴル様、未だにその嗜好は変わってらっしゃらないんですね」

「もちろん。綺麗なものは変わらないまま置いておきたい。そう思うのは当然でしょう?」

「まあ……その気持ちはわかりますけど……」

 

 アナさんが少し困ったように答える中、フォルはこっそりアーヴィングさんに話し掛けた。

 

『ねえ、アーヴィング。『氷魔姫ニヴル』って昔からこんな感じなの?』

「……そうだ。奴は自分の気に入ったものをすぐ近くに置いておきたがるところがあり、それは物体であろうと生き物であろうと変わらん。そして、その中でも特に気に入ったものは、ああやって氷像にしたがるのだ」

「うわ……それは流石に勘弁ね」

「うん、普通に寒そう」

「いや、アイリス。寒そうの前にあのゴブリンキングのように死んじゃうから」

 

 エスメラルダが氷漬けになっているゴブリンキングを指差すと、『氷魔姫ニヴル』さんは少しムッとした。

 

「あれはこの洞窟に迷い混んだこの子達を襲おうとしたから罰を与えただけ。あんな醜いもの、傍に置いておきたくはないわ」

「そ、そう……」

「まあ、そこにいる『亜人族』の子なら話は別だけれど」

 

『氷魔姫ニヴル』さんがイアを見ながら言うと、イアはとても驚いた様子で自分を指差した。

 

「わ、私ですか……!?」

「ええ。そのローブや杖もとても似合っているし、容姿もすごく整っている。あなたもそう思うでしょう? 隣にいる『人間族』のぼうや」

「あ、はい……イアはとても可愛いと思いますし、仲間になってくれているのはとても嬉しいです」

「ふふ、そうよね。けど、氷像にしたらもっと綺麗になると──」

「あ、それには流石に賛同出来ません。イアは今のままが一番だと思いますから」

「……ふふ、冗談よ、冗談。良かったわね、イアちゃん。あなたの恋人はあなたの事をしっかりと見てくれてるみたいよ?」

 

 その言葉にイアは一瞬驚いた表情を浮かべた後、顔を真っ赤にしながら慌てた様子で首を横に振った。

 

「わ、私はハジメさんの恋人なんかじゃないですよ!? 私はただの旅の仲間で!」

「あら、そう。すごくお似合いの二人だと思うけれど……」

「『氷魔姫ニヴル』さん! それ以上は止めてください……は、恥ずかしいですから……!」

「……ふふ、本当に可愛いわね、あなた。ああ、それと……私の事はニヴルで良いわよ。一々氷魔姫を付けるのは面倒だから。もちろん、他のみんなもね」

「わかりました。それで、ニヴルさん。先代の魔王の四天王であるあなたがどうしてここに?」

「まあ、それは疑問に思うわよね。簡単な話よ。旅のついでに私の可愛い弟子の仕事ぶりを見に来た。ただそれだけよ」

 

 ウインクをしながらニヴルさんが言うと、アナさんは不思議そうに首を傾げた。

 

「私の仕事ぶりを……ですか?」

「ええ。私、これでも今は一冒険者として旅をしているから、あなたが勤めているギルドを訪れて、あなたがどんな風に仕事をしているか見たいと思ったのよ」

「冒険者……あ、それならアーヴィングさんとルスムさんと同じですね。お二人も今はハジメさんのお仲間の冒険者として新たな一歩を踏み出されたんです」

「あら、そう。となると……その旅の目的も同じよね?」

 

 その問いかけにアーヴィングさんは静かに頷いた。

 

「先代の魔王様の生まれ変わりを探すというものであればそうだな。そして、先代の魔王様を見つけた暁には、今度こそはそのお傍にずっとおかせてもらうつもりだ」

「ふふ、やっぱりね。あなた、先代の魔王様には色々お世話になったみたいだし、誰よりも先代の魔王様の事を思っていたもの。まあ、先代の魔王様を大切に思っていたのは、私達四天王も同じだけど。ねえ、ルスム?」

「……ふん、我は先代の魔王の四天王としてその傍にいた方が良いと思っているだけだ」

 

 ルスムさんがぷいっとそっぽを向きながら答えると、その様子を見てニヴルさんは懐かしそうな表情を浮かべた。

 

「……ほんと、あなたは素直じゃないわね。さて、ハジメ君から感じる大量の魔力の件とかあなた達の出会った経緯とか色々訊きたい事はあるけど、まずはこの子達を『ガルス』に帰してあげないといけないし、そろそろ外に出ましょうか」

「はい。ところで、ニヴル様。このゴブリンキングの事はどうしましょうか?」

「うーん……このまま放っておいても良いのだけど、冒険者ギルドとしてはそうもいかないのだろうし、氷を融かしてからこのまま連れていって──」

 

 その時、頭の中にクルスの声が響き渡った。

 

『マスター幾世創。ゴブリンがこの広間へ向けて進行中。注意されたし』

「……ゴブリンが?」

 

 俺はすぐさま『索点』を使って、周辺のゴブリンの位置を探った。すると、クルスの言う通り、裏山や洞窟内をうろついていたゴブリン達がこちらに向かって次々と近付いてきていた。

 

「ひいふうみい……マジか、こんなに数がいたのかよ……」

「ハジメ……またクルスが何か言ってたのか?」

「ああ。どうやらこのゴブリンキングの部下のゴブリン達がこっちに向かって次々と近付いてきているみたいだ」

「ゴブリンが……ああ、なるほど。このゴブリンキングには『警報魔法(アラーム)』が掛けられていたのね。ゴブリンキングの死をスイッチにして、部下達がその下手人を仕留められるように」

「えっと……ハジメさん。ゴブリンは全部で何体程いるんですか?」

「……合計で30近くだ」

 

 それを聞いて子供達の顔からサーっと血の気が引いていく中、「30、ねえ……」とニヴルさんは呟いたかと思うと、すぐに何かを思い付いた様子で俺に話し掛けてきた。

 

「ねえ、ハジメ君。ちょっと良いかしら?」

「はい、なんですか?」

「私がこの子達を無事に親の元へ送り届けると約束するから、あなた達にゴブリンの大群を任せても大丈夫?」

「え? それは大丈夫ですけど……」

 

 俺が答えると、ニヴルさんは安心した様子でにこりと笑った。

 

「なら、良かったわ。それじゃあ、アナ。あなたもこっちに来なさい」

「私もですか?」

「ええ。何かあった時にあなたがいてくれた方が心強いのよ。それに、それはこの子達も一緒だと思うから」

「……わかりました。それでは、お供します」

「ええ、お願いね」

 

 アナさんがニヴルさんの近くに寄ると、ニヴルさんは目を瞑りながら詠唱を始めた。そして、詠唱を終えると同時に、ニヴルさんは目をかっと開けた。

 

「『転移魔法(テレポル)』!」

 

 そして、『転移魔法』でニヴルさん達の姿が氷漬けのゴブリンキングと一緒に消えると同時に、ゴブリン達は俺たちのいる広場へ次々となだれ込み、俺たちの姿を見て舌なめずりを始めた。

 

「うわ……ほんとに多いわね」

「合計で約30……でも、私達なら勝てない相手じゃない」

「そうだな」

「我としてはもう少し多くても問題はないが……」

『いやいや、これより多かったらもっと面倒だから……』

 

 みんながそんな事を言いながら戦闘をする体勢を整える中、アルフレッドは少しだけ緊張した様子で剣を構えていた。

 

「アルフレッド……大丈夫か?」

「……あ、ああ……ちょっとさっきのアナさんとの戦いを思い出してただけだよ」

「……そっか。でも、その反省会は後にしよう」

「……ああ。このゴブリン達の相手が先だからな」

「そういう事だ。よし……行こう、みんな!」

 

 そして、その声にみんなが揃って頷いた後、俺達はゴブリン達へ向かって走り出した。




政実「第16話、いかがでしたでしょうか」
創「次はゴブリン戦だな」
政実「そうだね。まあ、ゴブリン戦と+αっていう感じにはなると思うよ」
創「そっか。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」
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