自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する   作:九戸政景

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政実「どうも、RPGでは近距離で戦う職を選ぶ事が多い片倉政実です」
創「どうも、幾世創です。例を挙げるなら、剣士とか聖騎士みたいな奴だな」
政実「そうだね。まあ、その分、体力管理には気をつけないといけないけどね」
創「だな。さて、それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第2話をどうぞ」


第2話 出会い

 スライムのフォルと一緒に森の中を進む事一時間、俺達は一つの街に辿り着いた。因みに、何故一時間と断言出来るのかというと、歩いている最中に『創世(クリエイト)』のスキルでこの世界の言葉を理解する事が出来る『言理(アンダスタンド)』の他に体感時間などを確実に把握出来るスキルである『絶対感覚(フルセンス)』を作っていたからだったりする。

 

「フォル、ここはなんていう名前の街なんだ?」

『ここはね、『ガルス』だよ。『王国』の領地にあって、たしか色々な種族が住んでるっていう話だよ』

「『ガルス』……」

 

 なるほど、ここが『ガルス』だったか。フォルの言う通り、『ガルス』の街は『王国』の領地にあるあらゆる種族が平和に暮らす街で、リンゴなどの果物や小麦などの農産物を特産にしていたはずだ。そして、主人公である勇者達が途中で訪れる街でもあるんだが……まだ来てる様子は無いみたいだな。

 

 そんな事を思いながら街の入り口を通り、中に入っていくと、とても活気に溢れた『ガルス』の街の様子が目に入ってきた。

 

「……スゴく賑やかだな」

『そうだね。でも、ここで何をするの?』

「そうだな……とりあえず、この近くの街の情報を集めたり、野宿の道具なんかの買い物をしようかな」

『でも、お金はあるの?』

「……そうだった」

 

 フォルの言葉を聞いて俺は項垂れた。ここまで歩きながらポケットの中を調べてみたものの、普段からポケットの中には何も入れずに生活しているせいかポケットの中には何も入っていなかった。

 ……たしかこの街にはギルドがあったはずだから、まずはギルドに登録した方が良いか。そうすれば、この世界のどのギルドでもクエストを受注出来るからな。

 

「よし……まずはギルドに登録しに行こう。フォル、行こうぜ」

『うん』

 

 そして、ギルドに向かって歩き始めたその時、タッタッと誰かが走る音が聞こえ、俺は『絶対感覚』を使いながらその音に意識を集中させた。

 

 ……この音、ただ走ってる、というよりは、誰かに追われてるって感じだな。

 

「……フォル、この足音が聞こえるか? 」

『足音……ああ、これだね』

「ああ。まあ、気にはなるけど、進んで関わり合いになる事もな──」

 

 その時、足音がこっちに近付いてくるのを感じ、俺は小さく溜息をついた。そして、足音がする方へ視線を向けると、ボロボロの衣服を着た頭から耳が生えた烏の濡れ羽色の髪の少女とそれを武器を持ちながら追う醜悪そうな顔をした二人の男の姿が見えた。

 

 ……見た感じ、奴隷(どれい)が逃げ出して、それを奴隷商達が追ってるって感じだな。でも、おかしいな……。

 

「俺が覚えてる限り、この世界に奴隷商や奴隷なんて物を作った覚えは無いぞ……?」

 

 こういう創作物に奴隷商や奴隷というのは結構出て来るけど、俺はそういうのは苦手だったため、奴隷商や奴隷という物を作らずに物語を書いていた。なのに、俺の目の前には実際に奴隷商や奴隷らしき少女がいる。

 

 ……考えられるのは二つ。ここが実は俺が作った物語の世界の『リューオン』に似た異世界だという可能性と『リューオン』に俺とは違う誰かの力が働いてる可能性の二つだ。

 

「……もし後者だとしたら、俺も他人事じゃいられないな。この世界の創造者としてもこの世界を愛する者としても……。でも、まずは……あの子を助けないと、だな」

 

 俺は『創世』のスキルでロングソードを一本創り上げ、それを持ちながらこっちに向かって走ってくる奴隷らしき少女へ向かって近付き、少女の手を取った。

 

「君、こっちだ!」

「え……? あ、あなたは……?」

「いいからこっちに!」

「は、はい……」

 

 そして、少女の手を取りながら街の外に向かい、さっきまでいた森の中に戻った後、少女を後ろ手に庇いながら俺が男達を通さないように手を横に伸ばすと、奴隷商らしき男達は怒りに満ちた表情を浮かべながら俺に話し掛けてきた。

 

「おい、ボウズ。そこをどけ」

「俺達はその女に用があるんだからな」

「嫌だ、と言ったら?」

「お前を痛めつけさせてもらう」

「せっかくの商品を逃がすわけにはいかないからなぁ!」

「……そうか。だったら、俺だって容赦しない」

 

 男達に対してそう言った後、俺はロングソードを握りなおしながら『創世』で『剣皇(ソードマスター)』の称号と幾つかのスキルを創り出し、『剣皇』の称号を装備した。

 

 よし……これで問題ない。後はスキルを活かして戦うだけだ。

 

 そして、俺がロングソードを構えると、男達は声を上げながら一斉に襲いかかってきた。しかし、『創世』のスキルで創り上げた『俊足(ハイスピード)』のスキルを使って少女を抱きかかえながら躱すと、男達はとても驚いた様子を見せた。

 

「なっ、速い……!?」

「てめえ……只者じゃねえな……!」

「……いや、俺はただの『魔物使い』だ。まあ、少し変わった事は出来るけどな」

「変わった事……だと?」

「ああ。見せてやるよ、俺の力!」

 

 そう言いながら俺が指をパチンと鳴らすと、手に持っていたロングソードは俺の手を離れて宙に浮かび、『分裂(ディビジョン)』という言葉と同時に光を放ちながら二本に分裂した。そして、「行け!」と声を上げると、二本のロングソードは意思を持っているかのように男達へ向かって飛び、独りでに攻撃をし掛け始めた。

 

「な、何だ……これ……!」

「あ、あり得ん……! 剣が独りでに攻撃をしてくるなんて……!」

「ふふ……『剣舞(ソードダンス)』のスキルは効いてるみたいだな」

「て、てめえ……本当に『魔物使い』か……!?」

「だから、言っただろ? 少し変わった事は出来るけどな、って。さて……この子を置いて逃げるならこれ以上は攻撃しないでおくけどどうする?」

「逃げる、だと!?」

「そんなことするわけ無いだろ!」

「……そうか」

 

 それなら、ちょっと驚かしてやるか。さっき作った『あのスキル』を使って。

 

「……だったら、覚悟しろよ。『変身(チェンジ)』」

 

 その言葉と同時に、俺の身体は光に包まれていき、身体や手足には次々と鱗が生えだし、大きくゴツゴツとした物へと変わっていった。そして、完全に光が消えると、俺は大きな龍へと姿を変えていた。

 

「なっ……!?」

「ド、ドラゴン……だと!?」

「ひっ……!」

『うわぁ……なんだか眺めが良くなったねぇ……』

 

 男達と少女が怯えたような声を上げ、フォルがのんびりとした声で言う中、俺はいつでも戦える準備をしながら男達へ声を掛けた。

 

『さて……まだやるか、お前達?』

「う、あ……」

「く、くそ……! 仕方ない、ここは撤退するぞ!」

「だ、だが……!」

「いいから行くぞ! 商品が一人いなくなったところでアンタには痛くも痒くも無いんだろう?」

「……わかった」

 

 奴隷商らしき男は悔しそうに答えると、もう一人の男と一緒にそのまま森を後にした。そして、それを確認した後、俺は『変身』を解除して元の姿に戻り、手元に戻ってきた二本のロングソードを『異空(アイテムルーム)』のスキルで創り出した収納スペースへとしまった。すると、フォルは少しだけ残念そうな声を上げた。

 

『あ、眺めが戻っちゃった』

「まあ、機会があったらまた『変身』を使って、高いところからの景色を見せてやるよ。それにしても……フォル、俺が龍に姿を変えても驚かなかったな?」

『え、驚いてたよ?』

「そ、そっか……」

 

『創世者』の称号や『創世』のスキルを持ってる俺が言うのもあれだけど、フォルってよくわからないな……。

 

 そんな事を思った後、少女の方へ視線を向けると、少女は俺に恐怖を感じた様子で体をビクリと震わせた。

 

 あー……これはちょっとこの子にも怖い思いをさせちゃったみたいだな。となったら、ここでも『創世』に──。

 

「……いや、少しは『創世』に頼らずにやってみるか」

 

 そう独り言ちた後、俺は少女に話し掛けた。

 

「えっと……自分から言うのもあれだけど、俺は怪しい者じゃない。さっきアイツらに言ったようにただの『魔物使い』だ」

()()()()変わった事が出来る、ね』

「そうそう。だから、怯えなくていい。俺は君の敵じゃないからな」

 

 すると、少しだけ恐怖が薄れたのか少女は小さく笑みを浮かべた。

 

「は、はい……わかり、ました。あ、あの……さっきは助けて頂きありがとうございました」

「どういたしまして。けど、どうして奴隷商なんかに?」

「それは──」

 

 その時、少女から突然グーッという音が聞こえ、フォルは納得顔で頷いてから俺に話し掛けてきた。

 

『ねえ、ハジメ。この子、お腹空いてるみたいだし、まずはどこかでご飯にしようよ』

「そうだな。けど、さっきも言ったように金は無いぞ?」

『あ、そうだったね……うーん、それなら……』

 

 フォルが腹拵えの手段について考え始めたその時、頭の中にクルスの声が響いた。

 

『マスター幾世創。この森には食用の果実が多数あるため、それを取りに行くのが得策だと私は判断する』

「食用の果実……それならそれを取りに行くか。クルス、教えてくれてありがとうな」

『礼は不要。私はマスター幾世創専用のナビゲーターであるので』

「それでも、だよ。よし……フォル、まずは食用の果実を探すぞ」

『食用の果実、だね。わかった』

「君もそれで良いかな?」

「あ……はい、大丈夫……です」

「よし。それじゃあ早速行こうか」

『うん』

「はい」

 

 こうして元奴隷の少女を仲間に加えた俺達は、腹拵えのために食用の果実を探しに森の中へと入っていった。




政実「第2話、いかがでしたでしょうか」
創「今回は奴隷の少女との出会いがあったけど、名前とかは次回明かされるんだよな?」
政実「そうだね」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと……それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」
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