自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する   作:九戸政景

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政実「どうも、騎士系のキャラが好きな片倉政実です」
創「どうも、幾世創です。たしかに騎士系のキャラは良いよな」
政実「うん。パーティに一人いるだけで、パーティ内の空気が引き締まる感じがするし、強いキャラも多いんだよね」
創「そうだな。さてと、それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第23話をどうぞ」


第23話 アーリンの依頼

 アーリンさんと一緒に歩くこと数分、俺達は冒険者ギルドの中に入った。すると、とても心配した様子のアナさんがカウンター越しに話し掛けてきた。

 

「あ、皆さん! さっき、例の奴隷商が逃げ出したという報告がありましたが大丈夫でしたか!?」

「はい。襲われはしましたけど、こちらのアーリンさんに助けて頂いたんです」

「そうでしたか……それじゃあ誰も怪我はしていないんですね?」

「はい、そうみたいです」

『でも……どうやって逃げ出したんだろ?』

「それは今調査中です。恐らく、『開錠魔法(アンロック)』を使ったんだと思いますが……」

「ふむ……そうだとすれば少し妙ではないか? 詳しくは知らんが、流石に魔法を使える状態で牢には入れんだろう?」

「はい……魔法の使用を阻害するマジックアイテムは着けさせていた筈なんですが、開け放された牢にはそれがこじ開けた様子もなく落ちていたという話ですから、その奴隷商の男が外して牢まで開けたというのは考えづらいんです」

「そうですよね……」

 

 つまり、奴隷商の男が逃げられるように手引きをした人物がいるわけだけど、それは一体誰なんだ……?

 

 その謎の人物について俺達が考え始めたその時、「……あら、どうかしたの?」という声が入り口の方から聞こえ、俺達はそちらに視線を向けた。すると、そこには不思議そうな顔で俺達を見るニヴルさんの姿があった。

 

「ニヴルさん……あれ、先にここに来てたんじゃ……?」

「さっきまでね。でも、あなた達が少し遅いから、その辺の様子を見に行ってたのよ。それで、何があったの?」

「実は──」

 

 俺達が奴隷商の男に襲われた事などについて話すと、ニヴルさんは「なるほど……」と納得顔で頷いた。

 

「たしかにそれは謎ね。まあ、あのマジックアイテムを無効化するアイテムはあるけど、結構高価な物だし、そもそもそれを持ち込めないようにはしてるわよね?」

「それはもちろんです」

「そうよね……でも、その誰かさんは恐らくそれを持ち込み、奴隷商の男を牢から出してみせた。これは結構な問題よ。もし、そんな人が色々な国で捕らえられている犯罪者を外に出そうものなら、世界は大混乱になるもの」

「世界が大混乱に……」

 

 ニヴルさんの言葉を聞いてイアが恐怖で体を震わせていると、ニヴルさんはそれを見て優しい笑みを浮かべた。

 

「大丈夫よ、イアちゃん。今のはあくまでももしもの話だから。それに……もしそうなってもハジメ君やアーヴィング達がいれば大丈夫よ」

「あはは……そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、ちょっとプレッシャーが……」

「でも、そうでしょう? たしかに私とルスム、アーヴィングは先代の魔王様の関係者だけど、そんな私達よりもあなたの方が強いもの」

「え……そうなのかい?」

 

 とても驚いた様子でアーリンさんが俺を見る中、それを聞いていたアーヴィングさんとルスムさんは深く頷きながら答えた。

 

「……違いないな」

「うむ……少なくとも、ハジメを相手にして一対一で勝てるとは思わん」

「先代の魔王の関係者にそこまで言わせるなんて……ハジメ君、君はそんなに強い人なんだね……」

「強いと言っても、それはあくまでもスキルのお陰ですよ?」

「それでもだよ。やはり、そんな君達にならこの件を依頼しても問題なさそうだ」

「依頼……そういえば、その依頼って何なんですか?」

 

 その俺の問いかけにアーリンさんは少し暗い顔で答えた。

 

「……君達には、ボクと一緒に『ヘイム王国』まで来て欲しいんだ」

「『ヘイム王国』に……」

「ああ、そうだ。『ヘイム王国』が今どういう状況かは知っているよね?」

「はい、もちろんです」

「本来、『ヘイム王国』は誇り高き騎士達の国で、国王もとても正義感が強い人だった。けれど、いつからか『ヘイム王国』は真逆の国へと変わってしまった。日夜、コロシアムで奴隷達を殺し合わせ、自分の気に入らない相手は問答無用で処刑する。そんな残虐非道極まりない国になってしまったんだ……」

「アーリンさん……」

「だけど、ボクはそんな『ヘイム王国』を変えたい。こうなってしまった原因を突き止め、元の『ヘイム王国』に戻したいんだ。でも、その為には腕の立つ人が必要となる。だから、ボクはそんな人達を求めて『ヘイム王国』を旅立ったんだ」

「アーリンさん……」

「みんな、お願いだ。『ヘイム王国』を救うためにどうか力を貸してくれないか?」

 

 アーリンさんの目の奥では決意の炎が燃え盛っており、心から『ヘイム王国』をどうにかしたいという気持ちがひしひしと伝わってきた。そして、俺はパーティメンバーのみんなと頷き合った後、にこりと笑いながらアーリンさんに話しかけた。

 

「そういう事なら喜んで手伝わせてもらいます」

「本当かい!?」

「はい。それに、俺達も囚われたイアの故郷の仲間達を助けるために『ヘイム王国』には行く予定だったので」

「囚われた故郷の仲間……もしかして、君の故郷は……」

「……はい、『ミドガ』です」

「やはりか……国王達の行動を『ヘイム王国』の国民として謝罪するよ。本当に申し訳ない……」

「いえ、アーリンさんが謝る事ではないですよ。それに、『ヘイム王国』の皆さんがそのような事をし始めたのは恐らく何か理由があると思うんです。それこそ、私達には計り知れないような理由が……」

「ボク達には計り知れないような理由……か」

 

 イアの言葉をアーリンさんが繰り返していると、アルフレッドは真剣な顔をしながらアーリンさんに話しかけた。

 

「アーリンさん、何か心当たりは無いですか?」

「心当たり……いや、特には無いかな」

「そうですか……」

「ふむ……となれば、現地に赴いて調べるしかないな」

「うむ、しかし……出発するにはまだ時間が掛かるな」

「はい。まずは旅の準備が必要ですから」

 

 俺達がそんな事を話していると、それを聞いていたニヴルさんが少し不思議そうな顔をしながら話し掛けてきた。

 

「あら……旅の準備なんて必要? 『転移魔法』で飛んでいけば済む事じゃない?」

「たしかにその手もありますけど、『ヘイム王国』やその近くに飛んでいった場合、それを見られて騒ぎになったら、兵士達に捕まりかねませんから、今回は『転移魔法』は使わない事にしたいんです」

「なるほど。まあ、そういう事なら仕方ないわね」

「はい。アーリンさん、そういう事なので、申し訳ないんですが、旅立ちまでにはもう少し時間がかかってしまいます。それでも良いですか?」

「ああ、構わないよ」

「ありがとうございます」

「どういたしまして」

 

 アーリンさんがにこりと笑いながら言うと、それを見ていたニヴルさんは「へえ……」と言ってからアーリンさんの顎に手を当てた。

 

「あ、あの……?」

「あなた……顔も綺麗な上に性格も優しいのね」

「い、いや……これくらい普通ですよ……?」

「ふぅん……? 普通って言えちゃう辺り、やっぱり心が広いわね。ふふ……あなたも中々良い氷像になりそうね」

「ひ、氷像……? あ、あの……これって一体……?」

 

 アーリンさんが心から困った様子を見せていると、アーヴィングさんは小さくため息をついた。

 

「すまないな……ニヴルは自分の気に入った相手を氷像にして、手元に置いておこうとするのだ」

「そ、そうなんですね……」

「まあ、アナとイアちゃんの事もまだ諦めてないけどね♪」

「はあ……弟子の私はまだしもイアさんの事は諦めて下さいね、ニヴル様」

「考えておくわ」

「さて、それじゃあこれからどうやってクエストを受けていくかですけど、何か案がある人はいますか?」

 

 その問いかけにニヴルさんは静かに手を上げた。

 

「せっかくだから、ここは二チームに分かれてクエストを受けていかない?」

『二チームに?』

「ええ。自分で言うのもあれだけど、私達のパーティーは戦力は申し分ないでしょう? それなら、手分けをしてクエストを受けていった方が効率的だと思うのよ。ねえ、アナ。実際にそういうパーティーもいるわよね?」

「はい、もちろんいますよ」

「なるほど……それじゃあどうやってチーム分けをしましょうか」

「それならば……ハジメとイアとフォルの組、そして我ら先代魔王の関係者の組に分けるのはどうだ?」

「なるほど……たしかにその分け方なら戦力差もちょうど良いかもしれませんね」

「では、私達のチームのリーダーは私が務めよう。ハジメ、そちらのチームは任せたぞ」

「はい、任せてください」

 

 アーヴィングさんの言葉に対して自分の胸をポンと叩きながら答えていた時、隣からアーリンさんに肩に手を置かれながら声をかけられた。

 

「ハジメ君、よければボクにもクエストを手伝わせてもらえないかな?」

「え、でも……良いんですか?」

「ああ。ボクもただここで待っているよりももう少し色々な人の助けになりたいんだ。まあ、その前に冒険者登録をしないといけないけれどね」

「……わかりました。それじゃあお願いしても良いですか?」

「ああ、任せてくれ」

 

 アーリンさんがにこりと笑いながら答えた後、ルスムさんはアーヴィングさんの肩に乗りながら声をかけてきた。

 

「では、我らは先に行くぞ」

「わかりました。あ、そうだ……ニヴルさん、俺達のパーティについてなんですけど……」

「ああ、名前の事なら知ってるわよ。たしか『エルピス』だったかしら? 理由も名前も結構気に入ったわ」

「ありがとうございます……って、あれ……教えましたっけ?」

「ふふ、アーヴィングとルスム以外は気付いてなかったと思うけど、私の魔力を使って氷のコウモリを作って話は聞いてたのよ。まあ、話が終わったのを確認したらすぐに解除しちゃったから、あなた達が奴隷商の男に襲われていたのは知らなかったけどね」

「なるほど……」

「さて、それじゃあ私達は先に見つけていたクエストを受けてくるわね」

「わかりました」

 

 そして、アーヴィングさん達がクエストの紙が貼ってある掲示板へ向かう中、俺はイア達を見回しながら声をかけた。

 

「よし……それじゃあアーリンさんの冒険者登録が終わったら、俺達もどんどんクエストを受けていこう!」

「はい!」

『ほいほーい』

「ああ!」

 

 イア達が返事をした後、俺達は俺達を見ながらにこにこと笑うアナさんがいるカウンターへ向かって歩き始めた。




政実「第23話、いかがでしたでしょうか」
創「今回からアーリンさんが仮のメンバーとして加わったわけだけど、これからどんな風に活躍していくんだろうな」
政実「それは次回からのお楽しみという事で」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さて……それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」
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