自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する 作:九戸政景
創「どうも、幾世創です。聖域なぁ……まあ、基本的に入れないところだからこそ入ってみたいという気持ちはわかるけどな」
政実「だよね。すぐにはもちろん無理だけど、もしその機会があったら入ってみたいな」
創「そっか。さて、それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第24話をどうぞ」
アーリンさんの冒険者登録を済ませた後、俺達は受けるクエストを決めるためにクエストが貼ってある掲示板へと向かった。すると、そこにはどのクエストを受けるか悩んでいる様子のアルフレッド達がいた。
「みんな、まだクエストを決めかねてるのか?」
「ん? ああ、まあな」
「ハジメのおかげでアルフレッドも前より強くなったけど、全体的に見ればまだまだだからね。クエストも慎重に選びたいのよ」
『なるほどね』
「たしかに自分の実力よりも上のランクを選んだところで、上手くいかなくなるのは目に見えているからね」
「でも、このまま悩み続けるわけにもいかない」
「そうだな……」
早めに『ヘイム王国』に行くなら、報酬が良い上のランクのクエストを受けていく方がいい。ただ、そうする事で仲間達に無駄な怪我をさせるわけにもいかない。さて、どうするかな……。
クエスト掲示板を見ながら悩んでいたその時、ふとあるクエストが目に入ってきた。
「ん……?」
「ハジメさん、どうかしましたか?」
「いや……今、『ミドガ』っていう文字が見えた気がして……」
「『ミドガ』……あ、これじゃないかな?」
アーリンさんがある一枚を指差すと、フォルは興味津々な様子でそれを見始めた。
『どれどれ……“ミドガ周辺で発見されるゴールデンスライムの粘液が欲しいです”だって』
「ゴールデンスライムの粘液……たしか
「どうやらそうみたいですね。それで、必要数以上採れたら、その分は私達が貰って良いようですけど……これにしますか?」
「そうだな。ゴールデンスライムの粘液は結構貴重な物だから、高値で売れるはずだ」
「だけど、ゴールデンスライムは中々見つけられないモンスターとして有名だ。何か策はあるのかい?」
そのアーリンさんの問いかけにフォルはいたずらっ子のような笑みを浮かべながら答えた。
『まあ、ハジメがいれば大丈夫でしょ』
「そうなのかい?」
『うん。ハジメは『ちょっと変わった事』が出来る『魔物使い』だから。ね、ハジメ』
「ん……まあな」
「……それも、例のスキルというのが関わっているのかな?」
「そんなところです。ただ……イア、お前は平気か? 今回のクエストを受けるなら、もしかしたら『ミドガ』の近くを通る事にもなるけど……」
その言葉に対してイアは少し辛そうな顔をしていたが、すぐに覚悟を決めた表情を浮かべた。
「……私は大丈夫です。それに、もしかしたら今回のクエストの最中に生き残ったり逃げ延びたりした誰かと出会えるかもしれませんから、私はこのクエストを是非受けたいです」
「……わかった。それじゃあ、このクエストを受ける事にしよう」
そして、掲示板からそのクエストの紙を剥がし、俺達はカウンターにいるアナさんのところへ持っていった。
「アナさん、お願いします」
「こちらですね──はい、承りました。それにしても、まさかこのクエストを受注するとは……流石はハジメさん達ですね」
「……と言うと?」
「このクエスト、受けようとする人がやっぱり殆どいなくて、たとえ受けてもゴールデンスライムが見つからなくて途中で諦める人しかいなかったんです」
「それは仕方ないです。ゴールデンスライムは希少なモンスターな上、スライムの中でも特に知能が高く『
「はい。なので、依頼者の方も結構諦め気味だったんですが、ハジメさん達なら大丈夫ですね」
「あはは……そう簡単に行くなら良いんですけどね」
「ふふ、そうですね。さて、それでは皆さん、気をつけて行ってきてくださいね」
『はい!』
『はいはーい』
そして、カウンターから離れ、そのまま入り口へ向かっていると、掲示板の前にいたアルフレッドから声をかけられた。
「まあ、お前達なら問題ないと思うけど、アナさんの言う通り、気をつけて行ってこいよ」
「ああ、もちろんだ」
「皆さんもクエストに行った際は、怪我などに気を付けてくださいね」
「ええ、ありがとう」
「それじゃあ、行ってきます」
『行ってらっしゃい』
アルフレッド達に見送られながら冒険者ギルドを出た後、街の外に向かって歩いていると、アーリンさんがクスリと笑いながら話し掛けてきた。
「彼らと仲が良いんだね」
「ええ、まあ。まだ出会ってから数日しか経ってませんが、一緒にクエストを受けたり戦ったりしたので、絆は深い方だと思います」
「そうか。それで、『ミドガ』の近くまではどう行くつもりなんだい?」
「ああ、それなら『転移魔法』で行こうかと」
俺の返答にアーリンさんはとても驚いた様子を見せた。
「え……君も『転移魔法』が使えるのかい?」
「はい。まあ、今回のように少し急ぎたい時くらいしか使うつもりはないですけどね」
「そ、そうか……」
『正直、僕達くらいになるとハジメが『転移魔法』を使えるぐらいじゃ驚かなくなったけどね。なんだったら、古代魔法を含めた全部の魔法が使えるでしょ?』
「ああ、まあな」
「古代魔法まで……!? ハジメ君、君は本当に何者なんだい……?」
「フォルの言う通り、『ちょっと変わった事』が出来る『魔物使い』ですよ。さて……それじゃあそろそろ行きましょうか」
そう言った後、俺は俺達を対象にし、自分が『勇者の戦記』で描写した『ミドガ』の様子を思い浮かべながら『転移魔法』を唱えた。
「『転移魔法』」
その瞬間、俺達は強い光に包まれ、光が消えるとそこは『ガルス』の街ではなく、豊かな自然が広がる森の中だった。
「よし、到着。それで、ここは……」
「ここは……『ミドガ』の中にある『聖域の森』です」
『『聖域の森』?』
「はい。『ミドガ』を見守ってくださっている守り神様を祭る祭壇がある場所で、普段は限られた人物しか入る事が許されない場所なんです」
「なるほど……でも、そんな神聖な場所に僕達が入ってしまって大丈夫なのかな?」
「大丈夫ですよ。ここは里長とその家族、そして里長達が親愛を示した人達なら誰でも入れますから。ただ、今は……」
「『ヘイム王国』の兵士がいてもおかしくはないって事か……」
「はい……本当ならお祖父様が専用の結界を張っているのですが、先日の襲撃の際に亡くなってしまった事で、その結界も無くなってしまいましたから、本当に誰でも入れるようになってしまいました……」
そう言うイアの顔は本当に哀しそうで、アーリンさんはそんなイアに対してどう声をかけたら良いかわからない様子でただイアの事をじっと見ていた。
……正直、イアの悲しむ顔は見ていて気持ちの良いものじゃない。焦っても仕方ないのはわかるけど、それでも早めに『ヘイム王国』まで行かないといけないな。
イアの事を見ながら心の中で強く誓っていたその時、こちらに向かって歩いてくる足音が聞こえてきた。そして、その音にイア達が警戒した様子を見せる中、俺は『創世』のスキルであるスキルを創った。そして、それを早速使うと、足音がする方から吐き気がする程の強い悪意を感じ、思わず俺は口に手を当ててしまった。
「くっ……」
「ハジメさん!?」
「大丈夫かい、ハジメ君!?」
「は、はい……」
『その様子だと……何か感じ取ったのかな?』
「ああ。向こうから強い悪意を感じてな……」
「強い悪意……つまり、向こうから来ているのは恐らく『ヘイム王国』の兵士か魔王の手先辺りだね……」
そう言いながらアーリンさんが宝剣を手に取るのに続いて俺達も自分達の武器を手に取り、足音の主が来るのを待った。すると、程なくして銀色の甲冑に身を包んだ二人の人物が姿を現し、俺はさっき感じたのと同じ悪意をその二人から感じ取った。
なるほど……さっき、『
「アーリンさん、あの二人はもしかして……」
「ああ、『ヘイム王国』の兵士だ。だけど、襲ってきたら容赦はしなくて良い」
「……わかりました」
アーリンさんとの会話を終えた後、俺は前に一歩踏み出してからその二人に話し掛けた。
「お前達、ここに何の用だ?」
「……あ? 誰だ、お前は?」
「クエストのためにここを訪れた冒険者だ」
「冒険者、だぁ? へへ、ちょうど良い。男は奴隷にして、スライムは虐殺。女の方は俺達で楽しませてもらうとするか!」
兵士達がイアを見ながらイヤらしい笑みを浮かべていると、アーリンさんは嫌悪感を露にした様子で兵士達の事を睨み始めた。
「……なんて低俗なんだ。同じ『ヘイム王国』の人間として呆れるよ」
『本当だね。こんな奴ら、さっさと倒しちゃおうよ』
珍しくフォルが嫌悪感を露にしながら言うと、兵士達はそれに一瞬驚いたものの、すぐに楽しそうな笑みを浮かべた。
「へえ、喋るスライムか。予定変更だ。そいつは見世物小屋にでも売り払うぞ」
「そうだな。そして、その金でまた新しい女を買うとしようぜ」
「ひひっ、そうだな」
そして、兵士達が持っていた剣を構える中、俺達は各々の武器を持つ力を更に強めた。
「……みんな、さっきも言った通り、容赦はしなくて良い。むしろ、本気で叩き潰してくれ」
「……はい」
『……僕達の恐ろしさ、思い知らせてあげよう』
「そうだな。よし……行くぞ!」
その声を合図に俺とアーリンさんは兵士達へ向かって走り出した。
政実「第24話、いかがでしたでしょうか」
創「次回は兵士戦+αみたいな感じか?」
政実「そうだね」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと……それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」