自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する   作:九戸政景

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政実「どうも、戦いの最中に戦い方を変えるやり方が結構好きな片倉政実です」
創「どうも、幾世創です。戦いの最中にバトルスタイルを変更するのは中々大変だけど、上手くやれば相手を混乱させられるから、覚えたい技術ではあるよな」
政実「うん。まあ、自分も混乱しないようにしないといけないけどね」
創「そうだな。さてと、それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第25話をどうぞ」


第25話 兵士との戦闘

 さて……戦いに夢中でこの森を荒らさないようにしないといけないし、イア達には攻撃系魔法は控えてもらわないといけないな。もちろん、俺もだけど。

 

 そんな事を考えた後、俺は兵士の一人に向かって『精霊剣レインボーソード』を振るった。

 

「はあっ!」

「ぐうっ……!?」

 

 兵士は俺の攻撃を持っていた槍で受け止めると、まだ少し余裕がある様子でニヤリと笑った。

 

「へえ……そこそこやるじゃねえか……!」

「お褒め頂きどうも。アーリンさん、そっちはお任せしても良いですか?」

「ああ、任せてくれ!」

 

 アーリンさんの返事を聞いた後、俺は一度兵士から距離を取り、後方にいるイア達へと近付いた。

 

「イア、フォル。攻撃は基本的に俺とアーリンさんでやるから、二人は今回はサポート系の魔法に専念してくれ」

「わかりました!」

『僕も了解だけど、向こうが魔法を使って僕達に攻撃してくる可能性もあるんじゃない?』

「もちろん、それについては考えてある」

 

 そう言った後、俺は『創世』でスキルを一つと銀色のナックルダスター──『聖拳ジャスティスナックル』を一組、『拳闘士(グラディエーター)』の称号を作り上げ、『聖拳ジャスティスナックル』と『拳闘士』を装備しながらスキルを使用した。

 

「『分身(アバター)』」

 

 すると、俺の隣にもう一人の俺が現れ、イアはとても驚いた様子を見せた。

 

「え……ハジメさんがもう一人……!?」

『おおー、これはすごいねぇ』

「これは『分身』のスキルで生み出した俺の分身だ。まあ、『創世』のスキルは使えないけど、他のスキルなんかは使えるから、向こうからの攻撃に関してはこいつに任せてくれ」

「は、はい……!」

『ほいほーい』

「という事で……任せたぞ、俺」

『ああ。イア達には指一本触れさせないさ』

 

 分身が力強く頷いた後、俺は『俊足』のスキルを使いながら再び兵士に向かって走り出し、その勢いを利用して兵士に拳を振るった。

 

「はっ、はあっ!」

「ぐぅっ……!?」

 

 鎧越しでも結構なダメージを受けたらしく、兵士は息を切らしながら信じられないといった様子で俺の事を見始めた。

 

「はあ、はあ……お、お前……『剣士(ブレイダー)』だけじゃなく、『武闘家(ウォリアー)』の称号まで持っているのか……!?」

「残念だけど、俺は『剣士』でも『武闘家』でもない。ただの『魔物使い』だ」

「『魔物使い』だと!? そんな馬鹿なことが──」

「あるんだよ、これが。さて……そろそろケリをつけさせてもらうぞ」

 

 そう言った後、俺はイア達に声をかけた。

 

「イア! フォル!」

「は、はい! 風の精霊よ、我が仲間に祝福を! 『俊敏魔法(クイック)』!」

『我が仲間の力よ、更に膨れ上がれ。『強化魔法』』

 

 イアの『俊敏魔法』とフォルの『強化魔法』を受け、俺は目にも止まらぬ早さで重い一撃を兵士へと次々に浴びせた。

 

「はあっ、はっ、はあっー!」

「ぐっ、ぐぅっ、ぐぁっ!」

「これで終わりだ……『ブレイキングナックル』!」

「ぐ……ああぁっー!」

 

 兵士は『ブレイキングナックル』を受けた衝撃で遥か後方に吹き飛ばされ、ゴロゴロと転がった後、近くに生えていた木に激突し、その場にバタリと倒れこんだ。

 

 ふう……これで良いな。さて、アーリンさんの方は……。

 

 そう思いながらアーリンさんへ視線を向けると、アーリンさんは宝剣を鞘にしまっており、その足元には兵士が倒れていた。そして、俺達がアーリンさんに近付くと、アーリンさんはにこりと笑いながら話し掛けてきた。

 

「お疲れ様、みんな」

「アーリンさんもお疲れ様です。それで、この兵士達はどうしましょうか?」

「そうだね……出来るなら、彼らが変わってしまった理由を知りたいところだけど、たぶん話してはくれないだろうね」

「そうですね──あ、一つ考えがあるので試してみて良いですか?」

「それは良いけれど……」

『ハジメ、何をするつもりなの?』

「ん……ちょっとな。でも、まずは……兵士達を一ヶ所にまとめないとだな」

 

 そう言った後、俺は吹っ飛ばしてしまった兵士のところまで行き、その体を支えながらもう一人の兵士のところまで運んだ。そして、スキルを一つ創り出した後、そのスキルを兵士達へ使った。

 

「『浄化(プリフィケーション)』」

 

 すると、兵士達の体から紫色の小さな珠が現れ、それが粉々に砕け散ると、兵士達は小さな呻き声を上げながら静かに目を開けた。

 

「目が覚めたかい?」

「あ……はい──って、いてて!」

「か、体が……死ぬ程、痛い……!」

「あはは……まあ、気絶する程のダメージを与えたからね。ハジメ君、彼らを治してあげてくれるかな?」

「はい」

 

 返事をした後、俺は兵士達に手を翳した。

 

「『神聖治癒』」

「……体が……楽になっていく……!」

「もう、全然痛くない……!」

「それは良かった。それで、さっきまでの記憶はあるかな?」

 

 そのアーリンさんの問いかけに対して兵士達は暗い顔をしながら頷いた。

 

「はい……」

「皆さんには多大なご迷惑をおかけしました……本当に申し訳ありません……」

「……うん、それは良いんだけど、その様子だとどうやらさっきの珠のような物が何か関係しているようだね。ハジメ君、さっきのスキルはどういったものなんだい?」

「『浄化』は対象にかかっている呪いや魔術などを消し去るスキルです。なので、この人達は何かしらの呪いや魔術にかかっていたんだと思います」

「そうか……君達、『ヘイム王国』で妙な魔具などを見ていないかな?」

「妙な魔具……あ、見てます見てます!」

「あの不気味な鏡を見てから、自分を抑えきれなくなった記憶があります!」

「不気味な鏡……それを見たのはいつだい?」

「俺達はつい最近ですが、鏡自体は少し前からあるみたいです。それで、突然国王に謁見する事になったと思ったら、その鏡を見せられて……」

「さっきみたいな性格になっていた、と……いや、自分を抑えきれなくなったと言っていたから、自分の奥底にある欲求などを増幅させてしまい、それが暴走したというのが正しいのかな……」

 

 兵士の様子から色々推測をするアーリンさんの顔はどこか哀しげだった。それはそうだろう。もし、アーリンさんの推測が正しければ、『ヘイム王国』の国王や騎士達は心の奥底で奴隷制を推奨し、奴隷や旅人達を殺し合わせたいと思っていた事になるからだ。

 

 そうではないと信じたいけど、たぶんその推測は合っている。そして、それはアーリンさんももちろんわかっている。だからこそ、より悲しいんだろうな。

 

 そんなアーリンさんの姿を見ていた時、兵士の一人が恐る恐るといった様子で俺達に話し掛けてきた。

 

「あ、あの……俺達はこれからいったいどうすれば……」

「……とりあえず、今は『ヘイム王国』には戻らない方が良いですね。戻ったら、またその鏡を見せられると思いますから。なので、『ヘイム王国』が元に戻るまでは近くの町に身を潜めるのが良いかと」

「そうだね……けれど、この格好のままではどこかの兵士というのは丸わかりで、最悪『ヘイム王国』の兵士というのがバレてしまうからどうにかしてあげたいね」

「あ、それなら良いスキルがありますよ」

「本当かい?」

「はい。それでなんですが、お二人の称号を教えてもらって良いですか?」

「称号……俺は『槍使い(ランサー)』で」

「俺は『魔槍使い(マジックランサー)』だけど……」

「『槍使い』と『魔槍使い』ですね。それじゃあ……行きます」

 

 そして、俺は兵士達に『装着(ウェアー)』のスキルを使用した。すると、兵士達は戦国時代の足軽のうな姿へと変わった。

 

「お、俺達の姿が……!」

「すごい……一瞬で変わってしまった……!」

「この姿は……東方にある『ヤマト国』の兵士達が着ている物と似ているね」

「はい。この姿なら動きやすいはずですし、『ヘイム王国』の兵士だとは思われないはずです。それと、せっかくなので槍も普通の物から魔術で鋭さを増した物と魔法を使う時に魔力の減少を軽減する物に変えておいたのでモンスターに襲われても並大抵の事では負けないと思います」

「そうか……! あ、でも……事が済んだ後、支給品の鎧と槍について訊かれたらどうしようか……」

 

『槍使い』の称号の兵士が少し心配そうに言う中、アーリンさんはクスリと笑いながらそれに答えた。

 

「それはたぶん大丈夫だと思うよ。『ヘイム王国』はしばらくそれどころじゃないと思うし、緊急事態だったから仕方ないと思ってもらえるよ」

「それなら良いんですが……」

「とりあえず、まずは身を隠した方が良い。もしかしたら、元に戻った事に気付かれて、追手を寄越されるかもしれないからね」

「わ、わかりました……あの、本当にありがとうございました!」

「ありがとうございました!」

 

 そして、兵士達が去っていった後、俺はアーリンさんに話しかけた。

 

「さて、それじゃあそろそろゴールデンスライム探しを始めましょうか」

「そうだね。でも、どうやって探そうか……」

『それなら、ハジメの『索点』のスキルで探したら?』

「『索点』……それはどういうスキルなんだい?」

「それは──」

 

 その時、兵士達が去っていった方向とは逆の方からこっちに向かって歩いてくる足音が聞こえ、俺達は警戒心を持ちながらそちらに視線を向けた。

 

「……奥の方から誰かが来る……」

「また『ヘイム王国』の兵士だろうか……」

『まあ、たとえそうだとしてもまた倒して、『浄化』のスキルで治したら良いでしょ』

「そうだな」

 

 そんな事を話しながら足音の主が近付いてくるのを待ち、前方に肩に何かを乗せたイアと同じ狼型の獣人種の『亜人族』が見え、その人物が俺達の目の前来た時、イアは信じられないといった様子で「え……」と声をあげた。

 

「トラヴィス……お兄様……?」

「……久しぶりだね、イア」

 

 トラヴィスと呼ばれた男性はその端整な顔で優しい笑みを浮かべた。




政実「第25話、いかがでしたでしょうか」
創「今回の最後にイアの家族らしき人が出てきたな」
政実「そうだね。この人がなぜここにいるのか。それは次回のお楽しみという事で」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしているので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さて……それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」
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