自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する   作:九戸政景

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政実「どうも、好きなゲームのジャンルはRPGの片倉政実です」
創「どうも、幾世創です。まあ、予想通りではあるよな」
政実「色々なゲームが好きではあるけど、一番はどれかって訊かれたら、RPGって答えるかな」
創「そっか。さて……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第4話をどうぞ」


第4話 新たな旅立ち

「さあ、お前の血を私に寄越せ……!」

 

 そう言いながら男性が鋭い牙を俺の首筋に近付けてくるのを横目で見ながら、俺は急いで『創世』のスキルを使ってスキルを創り上げた。そしてそれを発動した瞬間、男性の牙が俺の肌に触れた。けれど、いくら待っても男性の牙が俺の肌を貫く事は無かった。

 

「な、何故だ! 何故、牙を立てられないのだ!?」

「……俺はちょっと変わった事が出来る『魔物使い』ですから、ちょっとした細工をさせてもらったんですよ。肌を鋼鉄と同じくらいに硬くするという細工を」

「何だと!?」

「さて……これであなたは俺から血を吸う事は出来ない。それでも、あなたは俺にその鋭い牙を向けるつもりですか?」

「ぐ……!」

 

 男性は悔しそうな様子で声を上げていたが、やがて諦めたように項垂れた。

 

「……降参だ。空腹でなければまだ手段はあったが、今は本来の力の半分も出せないのだからな」

「……わかりました」

 

 そして、男性が俺から離れた後、俺は使っていた『変質(オルター)』のスキルを解除しながら体を起こしつつ男性に話し掛けた。

 

「それで……あなたは誰で、どうしてこんなところに来たんですか?」

「……私はアーヴィング・ハイド、先代の魔王様の生まれ変わりを捜して旅をしている先代の魔王様の元側近だ」

「先代の魔王の生まれ変わり……?」

「そうだ。私達の魔王様はとても素晴らしいお方だったが、先代の勇者とその仲間との戦いで命を落とされた。しかし、私が手に入れた情報によれば、魔王様はご自身に転生の術をかけておられたらしく、次世代の魔王が誕生するのと同時にご自身がこの世に再び生まれるように設定されていたらしいのだ」

「それで、アーヴィングさんはその生まれ変わりを捜すために旅を……でも、どうして先代の魔王の生まれ変わりを捜しているんですか?」

「元側近としてそのお側にいたいからだ。もっとも、魔王様がどのようなお姿でいらっしゃるかはわからん。だが、必ず再会を果たし、再びお側に置かせてもらう。それが私の悲願でもあるからな」

「なるほど……」

「それで、お前は何者なのだ? 先程、『魔物使い』と名乗っていたが……」

「俺は幾世創、ある理由から今の勇者が今世代の魔王を討伐するのを阻止するために旅をしている『魔物使い』です」

「ほう……? 本来、我々の敵であるはずの人間が、今世代の魔王様が討たれるのを阻止するために旅をするとは……」

「まあ、まだこの事は仲間達には言ってないですけどね」

「そうか……」

 

 アーヴィングさんは俺の言葉を聞いて考え込むような素振りを見せた後、「ならば、その方が良いか」と言ったかと思うと、俺の目を真っ直ぐに見ながら静かに口を開いた。

 

「ハジメ、その旅に私もついていっても良いだろうか」

「え、俺は別に構いませんけど……一体どうしたんですか?」

「なに、お前についていけば魔王様に再びお目にかかれると思ってな。それに、その目的を達成するためにお前も戦力は欲しいところだろう?」

「……たしかにそうですね。一応、全員戦う事は出来ますけど、先代の魔王の元側近であるあなたが仲間に加わってくれるなら、スゴく心強いです」

「今世代の魔王様が討たれるのを阻止するために旅をしていると聞いて、良い顔をする者は多くないからな」

「はい」

「しかし……何故、お前は今世代の魔王様の命を守ろうとするのだ? 先代の魔王様に命を救われ、そのご恩に報いるために側近となった私のように何か魔王様にご恩でもあるのか?」

「……いえ、そういうのはないですし、どちらかというなら勇者達を応援している側です。ですが、今世代の魔王を討つ事でこの先苦悩をする人が最低でも一人はいる事を知っている。ただそれだけです」

「……そうか」

 

 俺の返答にアーヴィングさんが納得顔で頷くのを見て、俺はそれを疑問に思いながら話し掛けた。

 

「……詳しく訊かないんですか?」

「訊いたら答えるのか?」

「…………」

「なら、お前が話せると感じた時までは何も訊かんさ。誰しも秘密というのはある物だからな」

「……ありがとうございます。そして、これからよろしくお願いします」

「……ああ、こちらこそよろしく頼む」

 

 そして、俺とアーヴィングさんが固く握手を交わしていたその時、こっちに向かって歩いてくる足音が聞こえ、俺達は揃ってそちらに顔を向けた。すると、頭にフォルを乗せながら両手一杯に美味そうな果実を持ったイアの姿が見え、俺は安心感を覚えながらイア達が近付いてくるのを待った。そして、俺達の目の前で足を止めた後、俺はニコリと笑いながら声を掛けた。

 

「おかえり、二人とも。だいぶ採れたみたいだな」

「はい。こういう物を採るのは、故郷でもやっていたので簡単でした」

『ところで、そこの人も起きたみたいだね』

「ああ。この人はアーヴィングさんっていうんだけど、俺達の旅についてきたいんだってさ」

「わあ、そうなんですね……! でも、どうしてなんですか?」

 

 そのシアの問い掛けにアーヴィングさんは少しだけ話しづらそうな表情を浮かべたものの、覚悟を決めたような表情を浮かべた後、血を吸うために俺を襲った事や俺に話したのと同じ内容をイア達にも話した。すると、イアはとても驚いた様子を見せた。

 

「先代の魔王の側近だった方……そんな方が旅についてきて下さるんですね」

「ああ。まあ、ハジメからは了承を得ている故、後はお前達さえ良ければだが……」

「私は賛成です。自分の命を救って下さった方の側にいたいというそのお気持ちはわかりますし、とても心強いです!」

『僕も賛成だよ。まあ、ハジメにそんな危機が起きていたとは知らなかったけどね』

「たしかに……でも、ハジメさんはもうその事は水に流してらっしゃるんですよね?」

「ああ。いきなり襲われたのは驚いたけど、空腹を満たすためだったわけだし、仕方ないと思ってるよ」

『……まあ、ハジメが良いなら僕も良いけどさ。けど、お人好しが過ぎると後々後悔するかもしれないよ?』

「かもな。だからこそ、そうならないようにみんなに俺の舵取りをお願いしたいんだ。俺だけの判断だと間違う事も多いだろうからさ」

「ハジメさん……わかりました。私、精いっぱい頑張りますね!」

『僕も了解したよ』

「私もわかった」

「ありがとう、みんな。よし……それじゃあそろそろ集めてきてもらった物を食べようか。そして、食べながらこれからの事を話そう」

 

 その俺の言葉に全員が頷いた後、俺達は円形になって座り、いただきますの挨拶をしてからイア達が集めてきてくれた果実を食べ始めた。

 

「……うん、美味いな」

「はい。甘くて瑞々しくて……これならいくらでも食べられそうです」

『そうだね。それで、これからどうするの? また街に戻ってみる?』

「そうだな。街に戻ってまずは冒険者ギルドを探してみよう」

「冒険者ギルドか……たしかに、冒険者としてギルドに登録する必要はあるな。私やハジメの目的を達成するためにもな」

「ハジメさんの旅の目的……」

『そういえば、まだ聞いた事が無かったね』

「そうですね。それで、ハジメさんの旅の目的は何なんですか?」

「それは──」

 

 俺が旅の目的を話すと、二人は少し不思議そうな顔をしながら顔を見合わせた。

 

「勇者による今世代の魔王の討伐の阻止……」

『人間のハジメがそれを目指すなんて珍しいね』

「そうだと思う。けど、阻止をしないと確実に一人の人物が苦悩に満ちた人生を送る事になる。だから、俺は阻止をしたいんだ」

「なるほど……そういう事なら私もそれをサポートします。ハジメさん達に助けられなかったら、私はこの先も奴隷として辛い日々を送る事になっていたと思いますから。全力でお手伝いさせて頂きます!」

『僕もサポートさせてもらうよ、ハジメ。魔王が討たれる事で誰かが辛くなると聞いて、ほっとくわけにはいかないからね』

「イア……フォル……ありがとう」

「ふふ、どういたしましてです」

『それじゃあさっさと食べ終えて街に戻ろうよ。冒険者ギルドに登録しておけば、各地の色々な情報を知る事も出来るから、その内に勇者達の動向もわかってくると思うよ』

「そうだな。よし……それじゃあみんな、改めてこれからよろしくな」

「はい!」

『うん』

「うむ」

 

 みんなが返事をするのに頼もしさを感じた後、俺達は再び果実を食べ始めた。そして、仲良く話をしながら果実を食べる仲間達の姿を見ながら、俺は幸福感と安心感に満ちていた。

 

 突然飛ばされたこの『リューオン』で出来た新しい仲間達。これから色々な事に巻き込まれると思うけど、この仲間達と一緒ならきっと大丈夫だ。

 

 そう思った後、俺はイア達の話へと混ざっていった。




政実「第4話、いかがでしたでしょうか」
創「また新しい仲間が増えたけど、しばらくはこの四人でやっていく感じか?」
政実「そうだね。もっと仲間を増やしたいところだけど、それは後々になるかな」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」
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