自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する   作:九戸政景

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政実「どうも、勇者よりは勇者の仲間になりたい片倉政実です」
創「どうも、幾世創です。仲間の方か……まあ、変に重い使命を負わされる勇者本人よりは気は楽か」
政実「まあね。それに、自分はメインを張るよりもサポーター向きだから」
創「なるほどな。さてと……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第5話をどうぞ」


第5話 勇者志望の少年

 イア達に取ってきてもらった果実を食べ終え、『ガルス』の街に戻ってきた後、俺は俺専用のナビゲーターだというクルスの声に従いながら冒険者ギルドを探すフリをしつつ街の中を歩いていた。

 

「さて、冒険者ギルドはどこかな……?」

「ふむ……そうだな。そういった施設は、大凡(おおよそ)街の中心にある物だと思うが……イア、おまえは何か知らないか?」

 

 アーヴィングさんがイアに問い掛けると、イアは少し落ち着かない様子で周りをキョロキョロと見ており、その様子にアーヴィングさんは少し不思議そうに声を掛けた。

 

「イア、どうかしたか?」

「……え?」

「先程から周囲をキョロキョロとしているようだったが……何か探し物でもしているのか?」

「あ、いえ……そうじゃなくて……」

「……イア、もしかしてだけど、周りの人の目が気になってるんじゃないか?」

「周囲の目……なるほど。たしか、イアはこの街には奴隷商が持ってきた商品の一人として来たんだったか」

「はい……なので、それを知ってる人に見られたらと思うと……」

「イア……」

 

 不安げなイアの顔を見た後、俺は静かにイアの手を取った。

 

「ハ、ハジメさん……?」

「大丈夫だ、イア。今のお前は奴隷なんかじゃなく、俺達の立派な仲間だ。だから、胸を張ってこの街の中を歩いていればいい。それに、もしもお前の事を悪く言う奴がいたら、俺達が倒してやるさ」

「……そうだな。ハジメの言う通り、イアは私達の仲間だ。となれば、仲間の事を思いやるのは当然の事だ」

『だね。だから、安心しなよ、イア』

「皆さん……はい、ありがとうございます」

「どういたしまして。さてと、それじゃあそろそろ冒険者ギルド探しをさいか──」

 

 そう言いながら再び歩き始めようとしたその時、『マスター幾世創よ』というクルスの声が聞こえたため、俺は皆に聞こえないような声でそれに答えた。

 

「……何だ?」

『後方よりこちらに向かって走ってくる者あり。注意されよ、マスター幾世創』

「こっちに向かって走ってきてる奴……?」

 

 疑問に思いながら後ろを振り返ってみると、クルスの言う通り、少し離れた所からこっちに向かって誰かが走ってきているのが見えた。

 

 あ、ほんとだ。けど、一体誰だ……?

 

 そう思いながら首を傾げていたその時、その後ろから突然何かが飛んできているのが見え、俺はすぐに『絶対感覚』を使い、スキルの力で上がった動体視力を活かして、飛んできたそれを二本の指で受け止めた。そしてそれを見てみると、それは一本の矢であり、それを見たイアはとても驚いた様子を見せた。

 

「ハジメさん……その矢、一体どこから……?」

「どうやら向こうから飛んできたみたいなんだけど……もしかして、あそこにいる奴が原因かな?」

「あそこ……ああ、こちらに向かって走ってきている奴がいるようだな」

『でも、あそこにいる奴が撃ってきたわけじゃないとすると……アイツ目がけて誰かが撃ったって事になるよね』

「そうなるな。とりあえず、あそこにいる奴がここに来るまで待つか。その間、飛んできた矢は出来る限りどうにかするよ」

「どうにかするって……もしかして、矢がどう飛んできているか見えるんですか?」

「ああ。だから、さっきも受け止められたんだ」

『いつもの『ちょっと変わった事が出来る』って奴だね』

「そんなところだな」

「……そうか。だが、ハジメ。それはちょっとに入らないと私は思うぞ?」

「そうかもしれませんが、今はそれで納得していてもらえると助かります」

「……わかった」

 

 アーヴィングさんが静かに頷いた後、俺達が視線を戻すと、こっちに向かって走ってきていた人物との距離が縮まっており、その人物が俺と同じくらいの年齢の赤い鉢巻きを締めた緑色の服に藍色のズボン姿の男である事がわかった。そして、ソイツは息を切らしながら俺達の目の前で足を止めると、必死そうな表情で俺に話し掛けてきた。

 

「な、なあ! ちょっと隠れさせてくれないか?」

「隠れるって……お前、何かしたのか? さっき、矢も飛んできたし……」

「あ、本当か? それは迷惑を掛けたな……本当にすまん」

「まあ、受け止められたから良いけどな。それで、何をしたんだ?」

「実は……」

 

 ソイツが説明を始めようとしたその時、「はあ……ようやく追いついたわよ……」という声が聞こえ、そちらに声を向けると、そこには若草色の衣服を身に纏った金髪のポニーテールのエルフの女の子が息を切らしながらソイツの事を睨んでいた。

 

「エ、エスメラルダ……」

「アルフレッド……アンタ、本当に逃げ足だけは速いわね……。勇者志望の冒険者じゃなく、盗賊志望にでもなったら……?」

「いいや、嫌だね! 俺は魔王を倒して、勇者としてみんなから崇め奉られるのが夢なんだ!」

「……いや、無理でしょ。アンタを含め、アタシ達はまだGランク冒険者なんだから」

「ランクなんて関係ない! 大切なのは強くなりたいという気持ちと向上心だ!」

「はあ……ほんと、暑苦しい奴。それで……そこにいるのは誰?」

 

 エスメラルダが不思議そうに俺達に視線を向ける中、アルフレッドは更に不思議そうな様子で首を傾げた。

 

「そういえば……お前達、誰だっけ?」

「誰だっけって……はあ、まあ良いや。せっかくだから、自己紹介するか」

「あ、申し訳ないけど、それならもう少しだけ待ってくれる? もう少しでアタシ達のパーティメンバー達が来るはずだから」

「おいおい……アイリスはともかく、アンガスを置いてきたのはマズくないか? アンガス、メッチャ足遅いだろ?」

「最初に置いてきたのはアンタでしょ? それに大丈夫よ。アイリスにはパワーグローブを持たせてきたから、アンガスくらいなら持ち上げながら走れるでしょ」

「ああ、それなら大丈夫だな」

 

 アルフレッドが納得顔で頷いていたその時、向こうから何かを持ったままとても速いスピードで走ってくる人物の姿が見え、それを見たアルフレッドは嬉しそうな笑みを浮かべた。

 

「おっ、来た来た。おーい、アイリスー! アンガスー!」

 

 アルフレッドが手を振りながら大声で呼びかけている内に、黒いフードが付いた黒い軽装に黒いマントを付けた小柄な『魔人族(デビナス)』の女の子はアルフレッドの目の前で足を止めると、持ち上げていた銀色の鎧姿のドワーフらしき男性を傍に下ろし、ズイッと自分の頭をアルフレッドに近付けた。

 

「アンガス、連れてきた。撫でて」

「ああ、偉い偉い。よくアンガスを持ち上げたまま来てくれたな」

「……これくらい楽勝」

 

 アイリスは静かに言うものの、その顔はとても嬉しそうで、それを見たエスメラルダはまた溜息をついた。

 

「はあ……この幼馴染みコンビは本当に見てて胸焼けしそうだわ……」

「はっはっは! まあ、良いじゃないか、エスメラルダ。仲が良いのは良い事だろう?」

「アルフレッドとアイリスのは、ただ仲が良いというか口の中が甘くなって、苦い物が欲しくなるレベルなのよ!」

「くく、そうかそうか。それで……そこにいるの若者達は何者だ?」

「……ああ、彼らはアルフレッドが迷惑を掛けてた人達よ」

「おい、迷惑を掛けてたのはお前もだぞ、エスメラルダ。お前が撃った矢がコイツに当たりそうだったみたいだからな」

 

 アルフレッドが俺の手の中にある矢を指差しながら言うと、エスメラルダは申し訳なさそうな表情になりながら静かに頭を下げた。

 

「あ、本当だわ……ごめんなさい……」

「別に良いよ、当たったわけじゃないし。さてと……それじゃあそろそろ自己紹介しようぜ?」

「んー……そうだな。こっちも全員揃ったし、そうするか。それじゃあ俺達からするな。俺はアルフレッド・ラファティ、見ての通り『人間族(ヒューマン)』で、勇者を目指してコイツらと旅をしているんだ」

「勇者を目指してって……勇者は女神からの祝福を受けた奴じゃないとなれないぞ?」

「いいや、なれるね。そういう生まれつきの勇者じゃなく、魔王を倒した勇ましい者という意味の勇者なら誰でもなれるんだ」

「まあ、簡単にアルフレッドの事を説明するなら、勇者志望のアホね」

「誰がアホだ!」

「アンタよ。さてと、次はアタシね。アタシはエスメラルダ・セラーズ、『亜人族(デミヒューマン)』のエルフ種で、『亜人族』が多く住む『イオース』の出身よ」

「……私はアイリス・エンジェル。『魔人族』で、アルフレッドと同じ『アテヌ』の出身」

「最後はワシじゃな。ワシはアンガス・アドラム。『亜人族』のドワーフ種で出身は『パルテー』じゃ。よろしく頼むぞ」

「あ、はい。それじゃあ今度は俺達が自己紹介します。俺はハジメ・イクセ、『人間族』で『魔物使い』をしてます」

「えと……私はイア・アリス。ハジメさんの仲間で、種族は『亜人族』の狼型の獣人種(ビースト)。出身は『ミドガ』です」

「『ミドガ』って……あの『ミドガ』?」

「は、はい……そう、です……」

「……そっか。まあ、色々あったんだろうけど、詳しくは訊かないわ」

「……ありがとう、ございます」

「良いわよ、お礼なんて。さて、それじゃあ自己紹介の続きをお願い」

「……私はアーヴィング・ハイド。『魔人族』で出身は『レイテ』だ。よろしく頼む」

『最後に僕はフォル。出身はここの近くの森で、見ての通りのスライムだよ』

 

 フォルが自己紹介をすると、アルフレッド達はとても驚いた様子を見せた。

 

「う、嘘だろ……『魔物使い』じゃない奴に声を伝えられるスライムなんて見た事が無いぞ……!?」

「あはは、まあそうだろうな」

『正直、僕も驚いてるけどね。こうやってハジメ以外と話せるようになったのは、ついさっきの事だし』

「え、そうなの?」

『うん、そうだよ。どうやらハジメは『ちょっと変わった事』が出来るみたいで、僕が話せる事やエスメラルダの矢を受け止めたのも全部それが理由みたい』

「その『ちょっと変わった事』……って、結局なんなんだ?」

「うーん……今は『ちょっと変わった事』としか説明出来ないかな。まあ、何かの折には話すよ。ところで、ちょっと訊きたいんだけど、冒険者ギルドってどこにあるか知ってるか?」

「冒険者ギルド? ああ、それなら今から行くから案内するぜ」

「ありがとうな、アルフレッド」

「へへ、良いって事よ。んじゃ、行こうぜ」

 

 そのアルフレッドの言葉に全員が頷いた後、俺達はアルフレッドの後に続いて歩き出した。




政実「第5話、いかがでしたでしょうか」
創「次回は遂に冒険者ギルドに到着する感じだな」
政実「そうだね。そして、その冒険者ギルドでは何があるのか、それは次回のお楽しみという事で」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」
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