自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する 作:九戸政景
創「どうも、幾世創です。魔法剣士に竜騎士か……ゲームなんかだとどっちも上級職として扱われるイメージだよな」
政実「そうだね。まあ、そもそも魔法剣士は魔法の適正が、竜騎士は相方の竜が必要になりそうだけどね」
創「そうだな。さて……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第7話をどうぞ」
『ガルス』の街を後にし、件のドラゴンが出るという洞窟へ向けて歩いていた時、「そういえば……」とイアが何かを思い出した様子で声を上げ、俺達を見ながら不思議そうに首を傾げた。
「私達が受けたクエストの内容は、今から向かう洞窟に棲むドラゴンの討伐か
『うーん、そうだねぇ……例えば、そのドラゴンが何かをしたとか? ほら、そのドラゴンのせいで『ガルス』の住人の誰かが被害を被ったとか』
「でも、そうだとしたら私達のような実力も未知数な人達に頼むでしょうか? アルフレッドさんが言うには、本来ならこのクエストはDランクの冒険者から受けられるクエストらしいですし……」
「私達がそれ以上の実力があるように見られた……というのは考えづらいな。その指示を出したというギルド長は、私達の事をまったく見ていないからな。もっとも、そのギルド長が『
『『鑑定士』……ああ、色々な道具や武具の様子からあらゆる人物の強さまで調べられるっていう奴だね』
「そうだが……フォル、お前は思っていたよりも知識が豊富なのだな」
『んー……まあ、そうなのかもね。でも、流石になんでギルド長がこんなクエストを僕達にやらせようとしてるのかまではわからないよ』
「そうだろうな。ハジメ、お前はどう思う?」
「そうですね……実はギルドの方もまだそのドラゴンがどんな奴かは把握しきれていないから、クエストという体で実力が未知数な俺達にドラゴンの調査をさせようとしているというのはどうでしょう?」
「ドラゴンの調査……ですか? でも、私達が受けたクエストの内容はドラゴンの討伐か使役のはずじゃ……」
「そのクエストの内容がわかった時、他に行こうとするグループや代わりに行こうというグループはいなかった。それはたぶん、あの場にはDランク以上の冒険者がいなかったからなんだと思う。そして、ギルド長はそれをわかっていたから、わざとドラゴンの討伐か使役を達成目標という事にして、俺達にクエストを受注させた。そうじゃなきゃ、他にやりたいっていう奴も出てくるかもしれないからな」
「な、なるほど……」
「まあ、たぶんだけど、ギルド側はドラゴンが自分達にとって危険な物じゃなくなれば良いと思ってるんだろうし、ドラゴンについては俺達の好きにさせてもらおう。友好的だったり、俺が使役出来る程度なら仲間にしたいし、もし無理そうならこの近くから立ち退いてもらう程度にするしな」
「え? でも、使役するなら未だしも逃がしたらクエストを達成出来ないんじゃ……?」
「ギルド側の考えが俺の思ってる通りなら、とりあえずドラゴンの情報を持ち帰れば良いんだと思う。向こう的にも下手に死人は出したくないだろうし、どんなドラゴンだったかや身体の一部でも持ち帰れば特例って事で認めてくれるよ」
『そういう物かなぁ……』
「そういう物だよ」
そう言いながら進行方向に視線を戻すと、そこには一つの洞窟があった。
「どうやら着いたみたいだな、件の洞窟に」
「中はとても暗そうですね……灯り、どうしましょうか?」
「……ハジメ、『ちょっと変わった事』が出来るお前なら、なんとか出来るのではないか?」
「そうですね……ちょっと待っててください」
そう言った後、俺が『
「何もないところから松明が3本も……!」
「ふむ……やはり、お前は不思議な奴だな、ハジメよ」
「あはは、そんな事無いですよ。さてと、それじゃあ早速……」
『うん、行こうか』
フォルの言葉に頷いた後、俺達は松明を持って洞窟の中へと入っていった。そして、歩き続ける事数分、クルスの声が突然頭に響き渡った。
『マスター幾世創、遥か前方より数種のモンスターの気配を察知。注意されたし』
「モンスターの気配……わかった、ありがとうな」
クルスに対してお礼を言った後、俺はどこからモンスターが出てきても良いように収納スペースロングソードを取り出して少し身構えながら洞窟内を進んだ。そして、歩き続けて更に数分が経った頃、とても拓けた場所に出ると、そこには多くのモンスターの姿があった。
「この洞窟、こんなに多くのモンスターがいたんですか……!?」
「どうやらそのようだが……」
「アーヴィングさん、どうかしましたか?」
「いや、あそこにいる者達……どこかで見た事があるような……」
不思議そうにしながらアーヴィングさんがモンスター達に近付くのと一緒に近付いていったその時、モンスターの内の一体がアーヴィングさんに気付くと、そのモンスターはとても驚いた様子を見せた。
「アーヴィング様!? ど、どうしてあなたがこのような場所に!?」
「……やはり、か」
「やはりって……」
「どういう事ですか?」
「コイツらは先代の魔王様の部下だったモンスター達、言ってみれば私の同胞達だ」
『先代の魔王の部下……でも、なんでそんな奴らがこんな洞窟にいるの?』
「ふむ、たしかにな……さて、何故お前達がここにいるのか話してもらっても良いか?」
「は、はい……実は──」
モンスターが話を始めようとしたその時だった。「んむ……?」という声が聞こえ、俺達は揃ってそちらに顔を向けた。するとそこには、表面が黒光りした巨石のような物があった。
「……今、あの巨石が喋ったのか……?」
「は、はい……たぶん……」
「……お前達、あれは恐らく巨石じゃないぞ」
『巨石じゃない……じゃあ、何だって言うのさ?』
そうフォルが問いかけたその時、巨石らしき物がゆっくりと動き出し、その内に首や手足のような物が伸び出すと、それを見たアーヴィングさんは「やはり、か……」と少しだけ懐かしそうに言った。そして、巨石らしき物が完全に竜の姿になると、アーヴィングさんは竜に対して親しげに声をかけた。
「久しぶりだな、先代の魔王様の四天王の一人である『獄炎竜ルスム』よ」
「ほう……その声はアーヴィングか。何やら『人間族』や『亜人族』の匂いがするが、もしや手土産として人間を連れてきたのか?」
「残念だが、コイツらはお前の食事なんかではない。私の大切な仲間だ」
「仲間……くははっ! 先代の魔王の側近であったお前が『人間族』や『亜人族』の仲間になるとは、なかなか面白い冗談だ」
「冗談ではないぞ、『獄炎竜ルスム』。ハジメ達は生まれ変わりを果たされた先代の魔王様を探して旅をする私の大切な仲間だ」
「ふん……そうか。まあ、良いだろう。それで、お前達はここに何をしに来たのだ?」
「受けたクエストを達成するためだ。」
「クエスト、だと?」
「そうだ。それもお前の討伐または使役が達成目標のクエストだ。もっとも、お前に戦う意志が無いのなら、私達はどんなドラゴンがいたかだけをギルド側に話す事にする。私とてかつて共に魔王様の世界征服のために戦った仲間に無駄に血を流させたくは無いからな」
「……そうか。仲間として共に戦ったお前からそのような言葉が聞けて我は嬉しいぞ。だが……!」
『獄炎竜ルスム』はその大きな身体を起こすと、怒りに満ちた眼差しをアーヴィングさんに向けた。
「四天王としてあらゆる敵を相手に戦った我に容易に勝てると考えているのだけは気に食わん! その
「……はあ、その血の気の多さは治っていないようだな。ならば、仕方ない。お前に私の仲間達の力を証明してやるとしよう」
そう言うと、モンスター達が次々と武器を取るのを見ながらアーヴィングさんは俺達に話し掛けてきた。
「という事だ。やるぞ、お前達」
「はい」
「わ、わかりました……!」
『いっちょやってやりますかねー。でも、アーヴィングはどうやって戦うの?』
「それはだな……これを使うのだ」
そう言いながらアーヴィングさんが取り出したのは、血液が入った小瓶だった。
「それは血……ですか?」
「そうだ。これを使ってどう戦うのは……まあ、見ていればわかるだろう。そして、戦う前に一つだけ頼みがある」
「何ですか?」
『もし、私が死したその時は戸棚にしまってある菓子を食べても良いぞ……とか?』
「違う。部下のモンスター達の事だ」
「モンスターの事、ですか?」
「ああ、出来る限りで良いが、アイツらを傷つけないように戦ってほしい。甘い考えなのはわかっているが、アイツらの中に死者を出したくないのだ」
「アーヴィングさん……」
「……わかりました。出来る限りやってみます」
「感謝する。よし……では、行くぞ!」
「「はい!」」
『レッツゴー』
そして、俺達は戦う気満々の『獄炎竜ルスム』とその部下のモンスター達へ向かって走り出した。
政実「第7話、いかがでしたでしょうか」
創「次回はようやくバトル回だな」
政実「そうだね。そして、アーヴィングは血液でどう戦うのか、そこは次回のお楽しみということで」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いていただけると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」